3Dプリンティングジュエリー業界の市場規模が1500億円規模に|3DSystemsの最新機種が市場成長を加速する
3Dプリンティング・ジュエリー市場調査の2023年版
ここ10数年、3Dプリント技術がジュエリー業界に与えてきた影響は大きい。
SmarTech Analysisの最新のレポート「3Dプリンティング・ジュエリー市場2023:市場調査と予測」によれば、3Dプリンティング・ジュエリーの市場規模は2031年までにおよそ9億8,900万ドルに達すると予想されている。
市場規模の拡大の推進力として見込まれいるのは、金属とポリマーの両方を使用して金型とパターンを共に3Dプリントする最新のソリューションだ。これはロストワックス・キャスティング用の高品質で複雑、かつ正確なワックスジュエリーパターンを製造するために用いられ、特にジュエリー業界の要件を満たすように設計されている。
中でも注目すべき最新の3Dプリンターに3DSystems「ProJet MJP 2500W Plus」がある。本機は、高解像度かつ滑らかで繊細なワックス・キャスティングパターンを数時間というこれまでにない速度で印刷することができる。そのため、ジュエリー製造の生産性を大幅に向上させることが期待されている。さらに、貴金属廃棄物の量を減らすためにパターンの仕上げにかかる工程は最小限に抑えられており、複雑な形状でも迅速かつ費用対効果の高いジュエリー生産を実現するのに役立つと言われている。
ジュエリー業界の環境課題
そもそもジュエリーは贅沢品であり、環境改善が叫ばれる昨今においては、どうしてもその風当たりは強い。ただ、人はパンのみで生きるにあらず。生活をバラで飾りたいと思ってしまうことそれ自体は誰にも責めることはできない。ただ、その際に発生する無駄はできるだけ減らしたい。その上で3Dプリント技術が大いに役立つというわけだ。
実際、すでに3DプリントジュエリーとしてはJenny WuやGanit Goldsteinなどをはじめとするデザイナーたちによって多くデザインされてきている。あるいは、3DSystems、HP、B9Creations、Formlabsなど、多くのAM(アディティブマニュファクチャリング)関連企業もこの分野に参入している。
Jenny Wuの作品
Ganit Goldsteinの作品
ただ、これまではジュエリーを手作業で研磨する必要があったためにリソースに大きな負荷がかかり、収益性という観点で問題を抱えていた。そこに登場したのがProJet MJP 2500W Plusなのだ。同機はワックス材料の消費を増やすことなく、3Dプリントされた鋳造パターンの垂直解像度を最大で2倍改善すると言われるZHDプリントモードを備えている。このモードでは、高品質の表面仕上げが施された状態で作品が出力される。つまり、素材の損失が少なくなり、かつ最終的なオブジェクトを研磨する必要が少なくなる。
さらに、本機は100%VisiJetワックス材料でプリントされ、シャープなディテールとエッジを備えたCADデータに忠実な形状でジュエリーを印刷できる。つまり、より複雑なデザインの出力にも対応しているというのだから、これは革新的だ。
おそらく、ジュエリー業界は今後、3Dプリント技術の導入をこれ以上に求められることになる。そして、それはジュエリーそのものを大きくアップデートする効果を生み出していくはずだ。