ビル・ゲイツとジェフ・ベゾスが3Dプリント人工肉時代の到来を宣告「すべての富裕国は100%合成牛肉産業へとシフトすべきだ!」
2021年はオルトミート元年になるか
SK本舗メディアでこれまで幾度も人工代替肉(オルトミート)のバイオ3Dプリントについてを取り上げてきた。その「本当の肉と区別がつかない」ほどの精度については、世界から驚きと賞賛の声が多くあがっており、あとはその普及を待つばかりと言われてきたが、どうやらこの2021年は、このバイオ3Dプリント人工肉にとって、記念すべき一年となりそうである。
以前、取り上げたように、この業界を牽引しているのはイスラエルのスタートアップ企業「Redefine Meat」(以下、RM)だ。このRMが2021年の資金調達ラウンドにおいて、2900万ドルの調達に成功したことを発表したのである。主要な投資家には、Redefine Meatの初期からの支援者でもあるCPT Capital、グアテマラを拠点とするLosa Group、オランダのPrime Venturesの創設者で金融コンサルタントのSake Bosch、シンガポールのK3 Venturesなど、注目すべき国際的な新規投資家が名を連ねている。
今回の資金調達によって、RMは産業用代替食肉(オルトミート)3Dプリンターの大規模生産施設の2021年後半における完成を目指している。この完成が意味するものは他でもない、ついに3Dプリント人工肉が大量生産段階に入るということだ。
RMはヨーロッパでの製品の発売を皮切りに、次はアジアと米国市場への展開を計画しているようだが、しかし、果たして本当に、オルトミートは今後一般化していくのだろうか。実際、その需要はどれくらいあるのだろうか。今、オルトミートへと資金が集まっていく背景には、いくつかの理由がある。
ビル・ゲイツとジェフ・ベゾスがオルトミート時代を宣告
まず、オルトミートが注目度を高めている第一の理由は、国際的な食肉産業の持続可能性への関心の高まりだ。世界の人口増加に伴う食糧需要の増加は、あと数十年で完全に食肉ロジスティイクスを崩壊させると言われている。
また従来の畜産工業の環境負荷(たとえば畜産牛が放つメタンガスには二酸化炭素の25倍の温室効果があると言われている)も問題となっており、これは3Dプリント人工肉への移行によって、劇的に負荷を低減することができる。あるいはCOVID-19パンデミックの中で既存のサプライチェーンに対する信頼が崩れたことも、この流れを後押ししている。そうした様々な背景を受け、いま、名だたる投資家たちがオルトミート企業に群がり始めているのだ。
たとえば、マイクロソフトのビル・ゲイツは、最近のインタビューで、すべての富裕国は100%合成牛肉産業へとシフトすべきだ、という考えをはっきりと示している(MITテクノロジー・レビュー)。アマゾンのジェフ・ベゾスもまた、”家畜からの世界的な温室効果ガス排出量 “を削減するためには、オルトミートを開発している企業に積極的に投資していく必要性があるということをインタビューにおいて語っていた(WIRED)。要するに、世界のビジネス界のトップたちがこぞって、オルトミートの普及を後押しし始めているのである。
ビル・ゲイツ氏(Picture: Russell Watkins/DFID)
もちろん、いかにそれが「必要」であったとしても、美味しくなければやはり広まらない。その点、RMの植物性代用肉は、熱心な肉好きにも満足を与える(味、食感、口当たりなどの重要な評価基準で90%以上の支持)ハイクオリティな仕上がりとなっている。さらにアニマルフリーのそれらステーキは、牛肉よりも95%以上持続可能で、健康的で、しかも安価であるというのだから、普及しない方が不自然だ。
「Alt-Steak」Redefine Meat
RMのCEOであるEshchar Ben-Shitritは、今回の新たな資金調達によって「我々のビジョンが現実のものに近づいた」と述べている。すでに2021年の世界的な発売に向けて準備は整っているようだ。まずは上半期にイスラエルのレストランや高級精肉店においてRedefineの製品の商業販売が開始される予定である。その動向から目が離せない。