
プロの彫刻家が3Dプリンターを手にしたらこうなった|ウェリー・フレッチャーの画期的な試み
粘土造形を3Dスキャンして巨大出力
3Dプリント技術をよりクリエイティブに使いこなしたい。その上でも参考になるのは現代アーティストたちの発想だ。
すでに何年も前から現代アートの担い手たちは3Dプリント技術を様々に駆使してきた。その中でも現在注目を浴びているのが、ウェリー・フレッチャーである。
ウェリー・フレッチャーは彫刻家であり、ニューメキシコ大学では彫刻科の教授を勤めている。そんな彼女が自身の個展のために制作したある「画期的な彫刻」が話題となったのだ。
(https://www.wellyfletcher.com/)
彼女がその作品制作の上でインスピレーションを求めたのは、2023年夏にドイツのウルムの博物館で見た先史時代のホラアナライオンの彫刻だったという。
紀元前40000年に作られた古代の芸術に導かれるように、ウェリーは長さ70インチに及ぶ等身大のライオンの頭の彫刻を制作することに決めた。
さて気になるのは制作方法だ。ウィリーによれば「「実践には、デジタルとアナログのツールとテクニックを織り交ぜたワークフローが含まれている」とのこと。つまり、テクノロジーの統合というわけだ。
彫刻のライオンの頭のコンポーネントは、まず粘土で直に造形した小型のライオンの頭部を、Artec Leoによって3Dスキャン、そして最終的に3Dプリンター「BigRep」によって造形されるというプロセスを経て作られている。これは伝統的な彫刻技術と最先端3D技術のシームレスな組み合わせと言えるだろう。
(https://www.wellyfletcher.com/)
実際、この方法は実に可能性を秘めている。彫刻家のアナログな技術力は、造形物に繊細なディティールを与える。3Dモデリングでゼロから再現することの難しい、手作りゆえの感情の豊かさ。これを最先端の3Dスキャン技術によって3Dデータ化。そのデータを元に精巧な3Dプリンターによって縮尺を変えて出力する。そこで生まれた作品は、ある意味で巨人の手が作った彫刻のようなものと言えるかもしれない。
普段から3Dプリントでものつくりしている人たちならば、こうした情報に触れると「自分ならこうするのにな」「自分はもっとこういう工夫をしてきたけどな」など、様々な思いを感じることだろう。きっと、まだまだ未発見の3Dプリンターの面白い使い方が存在するはず。皆さんの創意工夫のヒントになったなら幸いである。