おすすめ3Dスキャナーを低価格から高価格帯まで紹介!
3Dスキャナーはいまだ発展途上の技術か
3Dスキャナーといえば、対象となる物体をスキャニングし、3Dデータに変換してくれるという有能なマシンだ。
しかし、現状においては、その取り扱いは簡単ではない。スキャンしただけで完璧な3Dデータが手に入る、ということはなく、基本的にはその後、手動による3Dデータのリタッチが必要であり、そしてその障壁が一般ユーザーにとって、3Dスキャナーを依然として使用にあたってハードルの高いアイテムとしてしまっている。
とはいえ、3Dスキャナーも日々進歩している。家庭向けにも様々なタイプの安価な3Dスキャナーが登場しており、その性能は向上の一途だ。ただし、まだお値段、使いやすさ、性能を完璧に兼ね備えた「これを買えば間違いない!」と言える3Dスキャナーは存在しないように思う。100%の自信を持っておすすめできるかといえば、どの3Dスキャナーにも一長一短があり、難しいのだ。
そうなると問題になるのは、今、3Dスキャナーを買うべきなのか、それとも…。もちろん、3Dスキャナーを使いこなして日々の「ものつくり」に活用されている方もたくさんおり、これはあくまでも一般論としての話ではある。
そこで、ここではあくまでも現状で注目の3Dスキャナーをいくつか紹介してみたい。何事もトライ&エラーによって向上していく。3Dスキャナー開発はまさに過渡期にあるということをご理解いただいた上、是非とも買うか買わないかを含めてご購入の参考にしていただきたい。
今注目の3Dスキャナー6選低価格・高価格ともに紹介
1.Ciclopの3Dスキャナー
対象となる物体をスキャニングし、3Dデータに変換してくれるという有能なマシンだ。
対象となる物体をスキャニングし、3Dデータに変換してくれるという有能なマシンだ。
まず紹介するのはCiclopの3Dスキャナーだ。このスキャナーの特徴は、まず安さにある。日本円で2~3万円程度。購入後に組み立てが必要なオープンソースのキットで、レビューなどを見ると、現状ではまだまだスキャニングの精度は高くないようだ。ある記事においては「使用にあたっては禅の忍耐が必要」とまで書かれていた。
今すぐ大活躍とはいかなそうだが、注目すべきはオープンソースであるということ。ユーザーの知が結集した暁には、いずれ優秀なマシンへと化けるかもしれない。
2. Matter&Form V2 3Dスキャナー
低価格で高性能な3Dスキャナーとしては、Matter&formも有名だろう。約2000点/秒の速さで細部に至るまでデータを読み取り、高価格帯の3Dスキャナーにも引けを取らない性能を発揮すると言われている。付属のソフトウェアも使いやすいと定評があり、総合点は高い。
ただ、問題は前タイプのV1と比較するとそれほど安価でもないということ。日本では約10万円程度の価格帯となっており、「その価格ならちょっと」という声もチラホラ。趣味的な使用よりも、建築家やアーティストなど、個人のプロユースで重宝されているようだ。
3.SOLの3Dスキャナー
3Dプリンター専門メディアである「ALL3DP」において2020年のベスト3Dスキャナー(1000ドル未満部門)に選ばれたSOLの3Dスキャナー。amazonなどの評価を見ても、概ね高評価で、現状では低価格帯の3Dスキャナーでは一番人気のマシンかもしれない。
日本円でも10万円以内で購入ができ、スキャナーとしては手頃な価格ではある。スキャン精度については、相対的に評価されており、工業製品のような精細さは求められず、スキャン後の微調整は必要なものの、そうしたことを理解した上で使用すれば、ユーザー満足度の高い良アイテムと言えそうだ。
4.EinScan―SE 3Dスキャナー
中価格帯の雄としてはEinScanの3Dスキャナーだろう。SEとSPの2種類があり、SPの方が高性能な分、値段は少しお高めだ。ちなみにここに紹介するSEは約20万円ほど。高品質スキャンを体験する上ではもっとも安い価格帯で、実際に性能の評判も高い。
ただ、一方でソフトウェアの使いやすさに難点があるとの声もある。高価格帯には手が届かないが、とはいえ、低価格帯のスキャナーでは物足りない。そういう方にとっては現状で最もちょうどいいスキャナーかもしれない。
5.Next Engine 3Dスキャナー
あの3Dプリンター企業としては最大手である3Dシステムズ社が販売を行っていた3Dスキャナー。価格帯はいよいよ3000USDオーバーだが、このNext Engineの3Dスキャナーの性能は本格的な業務用レベルだ。一般人が手にすることのできる3Dスキャナーとしては最高ランクのスキャナーと言ってもいいかもしれない。
特にフルカラー高精度スキャンで非常に使いやすいとされているが、一方で光沢のあるオブジェにはやや弱いという。有名なのは顔のスキャニングで、日本の方の体験動画はこちらだ↓。
6.Artec Eva
最後は超本格派の方のために、高価格帯のArtec Evaを紹介しておこう。iReviewsにおいて50,000USD未満で購入できる3Dスキャナーの最高峰に選ばれている。ちなみにお値段は14,000USD。実際に様々な場面で活用されているようで、以下の動画ではレーシングパーツの改造にArtec Evaが用いられている。
携帯可能な軽量スキャナーのため、持ち運びしやすいのが利点。CM撮影における出演者のCG制作、美術館のデジタルアーカイブ作成などにも多用されているようだ。実用性は高いが、しかし1400USDは高い…。このレベルを10万円台くらいで買えたらいいのだけど。
個人におすすめの3Dスキャナー
ここまでは今注目の3Dスキャナーをピックアップして紹介した。
紹介した3Dスキャナーは価格帯によらず、どれもテクニカルな面で優れている。
とはいえ、これから3Dスキャナーを始めてみたいという方が扱うには、少々手に余る製品があるのも事実だ。
3Dスキャナーを初めて扱う上で苦労する点は、数多く存在する。
たとえば、置き場所だ。
据え置き型の3Dスキャナーは、慣れていない方には想像以上に大きい。
実際に据え置き型の3Dスキャナーが手元に届くと、置き場所に困ってしまう方も少なくない。
他にはアフターサービスも気になるところだろう。
3Dスキャナーは説明するまでもないが、精密機械だ。扱いを誤ると、次の日には動かないことも十分にありうる。特に3Dスキャナーを初めて扱う場合には、故障の可能性は増えるだろう。動かなくなった場合の対処法については、気になる方も多いはずだ。
ここからは初心者の方、これから3Dスキャナーを扱ってみようと考えている方に向けて、おすすめの3Dスキャナーを紹介する。
どの3Dスキャナーも安心して使える物ばかりなので、要チェックだ。
1.Bevel 3Dスキャナー
Bevel 3Dスキャナーは非接触式のハンディタイプ。強みはなんといっても、手軽さだ。
iPhoneやandroidといったスマートフォンにBevel 3Dスキャナーを接続するだけで使える。3DデータはBevel 3Dスキャナーのレーザーとスマートフォンのカメラで取得していく。
非接触式・ハンディタイプは手軽さにメリットがある反面、測定精度に問題が発生する。たとえば、手ブレだ。
計測中に発生する手ブレにより、据え置きタイプと比較すると精度の面では劣ってしまう。3Dスキャナーに精密さを求める方には、向いていないタイプかもしれない。
しかし、スマートフォンという誰もが持っているアイテムで測定できる点はこれ以上ないメリットといえよう。
3Dスキャナーにそれほど精度を必要としない場合には、Bevel 3Dスキャナーでも十分だ。エントリーユーザーが必要とするお手軽さを考えると、Bevel 3Dスキャナーはおすすめの1品といえる。
2. Sense 2nd generation
次に紹介するのが、Sense 2nd generation。こちらも非接触・ハンディタイプの3Dスキャナーだ。Sense 2nd generationの強みは大きく2つある。
1つ目はポータビリティ性の高さだ。Sense 2nd generationは電源を必要としないタイプの3Dスキャナー。電源ケーブルに煩わされる心配はなく、使い手が思うままに体を動かして、データの取得ができる。持ち運びが自由であり、場所を選ぶことのない3Dスキャナーだ。
2つ目はオートフォーカス機能だ。
ハンディタイプの3Dスキャナーを扱う上で問題となるのが、データの取得だ。
例えば、対象にある背景もスキャンしてしまうケースだ。
データを取得する際にスキャナーが背景も対象と認識してしまい、正しくデータが取れない場合がある。スキャナーが正しく対象を認識しないと、精度の面でも効率の面でも不安が尽きないだろう。
そんな心配もSense 2nd generationなら、不要だ。Sense 2nd generationのオートフォーカス機能なら、対象物を自動で認識してくれる。
3Dスキャナーを初めて扱う人もSense 2nd generationなら、データの取得はバッチリだ。
3. SOL 3Dスキャナー
最後に紹介するのが、SOLの 3Dスキャナー。今注目の3Dスキャナーとしてピックアップしたが、個人的にかなりおすすめできるので再度ピックアップする。
おすすめしてきた2つの3Dスキャナーとは非接触という点では同じだが、SOLの3Dスキャナーは据え置きタイプだ。
しかし、大きさは長さ45㎝・幅35㎝とそこまで大きくないので、安心して欲しい。
SOLの3Dスキャナーをおすすめする理由は、アフターサービスの充実度だ。やはり精密機械を扱う上では、アフターサービスの充実度は外せない要素だ。特に初めて扱う方は、不安も多いから尚更だろう。
SOLの3Dスキャナーは、価格とスキャン精度のバランスが絶妙に保たれているのは既に説明したとおりだ。その上で、SOLの3Dスキャナーは故障や修理などアフターサービスに優れている。
充実したアフターサービスができるのも、製造元であるグローバルスキャニング社の実力があるからだろう。
グローバルスキャニング社は30年以上にわたって、業界をリードしてきたトップランナーだ。これまでのノウハウや経験があるからこそ、充実したアフターサービスが実現できている。
手の出しやすい価格帯に精度の高さ、そして充実したアフターサービスを求めているならば、答えは1つかもしれない。そう、SOLの3Dスキャナーだ。
低価格帯で実践力の高い3Dスキャナーの登場が待たれる
いかがだっただろうか。最初にも書いたように、まだ一般ユーザーが3Dスキャナーでオブジェをスキャンして、即3Dプリンターで出力、という状況にこそ技術的には至っていないものの、市場はすでに様々な3Dスキャナーで賑わいを見せている。今後ますますの活況を呈するだろうことは間違いない。
どの3Dスキャナーを試してみるかはそれぞれの用途や能力に応じてご判断いただく他ないが、簡単にいえば、より高価な3Dスキャナーはその後の手作業が少なくて済み、解像度が高くなる傾向がある。コストパフォーマンスの上では、スキャンごとに手作業の時間が膨大にかかっていた場合、安めのスキャナーを購入しても、結局は損ということもありえるので、一概に安いのを買ったほうが良いとは言えない。
あるいは、今が3Dスキャナーの買い時かと言えば、はっきりしたことを言えないというのが正直なところでもある。
ただ、いずれにしても、今後が楽しみな分野であることは間違いない。安価で高解像度、手作業いらずの超ハイスペックな3Dスキャナーが登場した暁には、真っ先にみなさんにもお知らせしたい。