FDM3Dプリンターを使用する上で最適のノズルのサイズは? 新たに浮上する「0.6mm」説
FDMノズルの最適サイズに関する新説登場
現在、デスクトップ型のFDM(熱溶解積層方式)3Dプリンターのほとんどは0.4mmのノズルを使用している。ここまで多くの人がさらに精緻な表現を求めてより小さいノズルを、あるいはさらなる高速印刷を求めてより大きなノズルを試してきたが、結局ほとんどのユーザーはその中間である0.4mmにこだわってきた。
0.4mmノズル。すでにFDM3Dプリンターの常識といってもいいこの数値に対して、しかし、いま変化の時期が到来しているとしたらどうだろうか。
その提案をしているのは3Dプリント動画を定期配信している人気YouTuberのThomas Sanladererだ。トーマスによれば最新版のスライサーソフトを使用する場合、0.4mmノズルは最適の選択ではないという。新たな推奨値は0.6mmだ。
0.6mm説の条件は「Prusa」のアラクネモード
トーマスは3Dプリンターユーザー系のYouTuberとしては非常に高い信頼を集めている。その理由は彼が机上の空論ではなく検証をベースとして論を展開するところにある。もちろん、今回も彼はその主張をするにあたり、きちんとテストを行っている。
どうやら今回のトーマスの主張と鍵となっているのは人気スライサーソフト「Prusa」のアルファ版で現在利用可能なアラクネモードのようだ。このアラクネモードは押し出す樹脂量をパスの最中に変更することで造形幅を可変させる技術で、元々はCuraが開発し、先行して搭載していた技術だ。このアラクネモードを使用することで、パスとパスの間に生じる小さなギャップを幅を変更することで埋めることができるため、パスの無駄がなくなり造形品質が向上すると言われている。
造形物のディティールの精度に関してはFDMよりもSLAの方が上だ。これはすでに分かりきっていることである。確かに今回の0.6mmノズル&Prusaアラクネモードを試してみたところで、その差が完全に埋まることはないだろう。ただ、下の動画を見ればわかるように、トーマスは今までFDMではうまく出力できなかったものを、この新設定とスライサーによって出力してみせている。
細かい設定などは是非動画を参考していただくとして、まずは試してみてほしい。いずれにせよ、昨日の常識が今日の非常識であるというのはテクノロジーの常である。今の推奨値に安住せず、より最適解を目指して、新たな設定を野心的に試し続けていきたいものだ。