
英国研究者がバイオ素材のリサイクル可能なフォトポリマー樹脂を開発
環境に優しい3Dプリンティングを実現するために
光造形3Dプリントではお馴染みのフォトポリマー樹脂。
そもそもフォトポリマーとは光機能性高分子の一種である感光性樹脂のことだ。光を照射することで溶解性などの物性を変化させることから光造形3Dプリンティングにおいて重宝されている。
実はこのフォトポリマー樹脂に変革が起ころうとしている。科学ジャーナル誌『nature』によると、英国バーミンガム大学の研究者らが、最近、高解像度の印刷が可能で、かつリサイクルおよび再印刷できるバイオソース材料からフォトポリマー樹脂を作成することに成功したようなのだ。
この新しいバイオフォトポリマー樹脂の利点は何よりも環境負荷の低減にある。伝統的なフォトポリマー樹脂は石油化学製品から作られている。先述したように、これらの樹脂は光にさらされると硬くなり、長持ちする構造を形成するが、その一つの欠点として石油化学ベースであることとリサイクル性の低さが指摘されてきた。
今までのフォトポリマー樹脂は材料が硬化すると不可逆的な結合を形成し、より多くの化学物質を追加せずに分解することを困難にしていた。研究者らによればこのプロセスがしばしば樹脂のリサイクルのためにより多くの材料が生成されることになり、環境への影響の悪化が懸念されていたのだ。
その点、今回バーミンガム大学が開発した新しいフォトポリマーレジンは完全にリサイクル可能でありながら高い印刷品質も維持しているという。彼らの研究によると、天然に存在する脂肪酸であるリポ酸から派生した新しい樹脂は、元の成分に分解して再印刷することができるとのことだ。
研究の主任研究者であるアンドリュー・ダブ教授によれば「私たちのアプローチは、効率的にリサイクルできない石油化学製品から作られた樹脂に頼ることから抜け出すための重要な一歩です。私たちにはまだ改善点がありますが、この研究は開発のためのエキサイティングな新しい道を開くでしょう」とのこと。
すでにこの新しい樹脂で彼らは3Dプリンターの品質をベンチマークするために使用される小さなボート「3DBenchy」を出力して、その品質の高さを示しており、特許出願も済んでいる。商用化が達成された暁にはより持続可能な3Dプリントへの道が開かれることは間違いない。
画像:バーミンガム大学
参照記事
『A renewably sourced, circular photopolymer resin for additive manufacturing|nature』
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07399-9