見る角度によって絵柄が変わる! MITが開発した3Dプリント「レンチキュラー」
MITが3Dレンチキュラープリント技術を開発
レンチキュラーという技術をご存知だろうか。
端的にいうと、かまぼこ状のレンズを用いて、見る角度によって絵柄が変化したり、3Dのような立体感が得られたりする印刷物を出力する技術だ。
いわゆる3Dポスターなどはこのレンチキュラー印刷によって作られている。見るたび、見る場所に応じて色味がガラっと変わって感じられるようなあの光学的な錯視効果はどこか魔法のようだ。子供の頃、レンチキュラー仕様の下敷きを使っていた同級生をとても羨ましく思っていたことを覚えている。
実は昨年10月、マサチューセッツ工科大学のコンピューター科学人工知能研究所が、レンチキュラーを3Dプリントする方法を設計、これを発表した。さらに研究者たちはこのプロジェクトで開発された技術をオンラインでオープンアクセスで利用できるようにしたという。
マサチューセッツ工科大学のコンピューター科学人工知能研究所の論文
http://groups.csail.mit.edu/hcie/files/research-projects/lenticular-objects/lenticular-objects-paper.pdf
実際に映像を見てみれば分かると思うが、やはりレンチキュラーは実に面白い。研究チームはすでに2年にわたってこのプロジェクトに取り組んできたという。使用したマシンはストラタシス社のPolyJet。クリアレンズとカラーパターンの両方を十分な解像度で曲面に3Dプリントすることでレンチキュラー特有の光学的効果が生み出された。最大の難関はレンズの研磨などの後処理だったという。
研究チームはこの技術の実証として4種のオブジェクトを出力している。ケトルベルと呼ばれるトレーニング器具(適切な姿勢で持っていると表示される絵が変わる)、ランプシェード(人がベッドに横たわった姿勢から見ると「おやすみなさい」と表示される)、スニーカー(履いている人だけにフロントのメッセージが見える)、イヤフォンケース(様々な彩りを放つ)だ。
あるいは専門家筋はこの技術を軍事部門におけるカモフラージュ技術に使用されるとも指摘している。アニメ化、映画化された人気漫画『攻殻機動隊』でおなじみのいわゆる「光学迷彩」だ。
いずれにせよ、レンチキュラーの3Dプリントが一般化すれば、3Dプリンティングの幅、想像力の可能性はまたグッと広がる。果たして、今後どのような3Dプリントレンチキュラーが生み出されていくのか、楽しみだ。