3Dプリンターを子供に持たせるのは良いこと、悪いこと? メリットとデメリットを考える
3Dプリンターに早くから慣れておくことは重要、だがしかし…
3Dプリント技術が今後の世界で今よりもっと重要なテクノロジーとなっていくだろうことは間違いない。つまり、3Dプリンターに関連する知識や技術の重要性が、これからますます増していくということだ。
すると当然、子供達にも早くからそうした知識や技術の習得を学ばせた方が良いのではないかという発想に至る。本欄でも兼ねてより子供向けの3Dプリンター学習の機会をもっと増やした方がいいのではないかと提言を行ってきた。
しかし、一方で3Dプリンターはそれなりに取り扱いに注意の要するマシンでもある。子供が3Dプリンターに触れることで、思わぬ事故が発生してしまう可能性もあるのだ。実際、世界的に見てもキッズ3Dプリンターの浸透はなかなか進んでおらず(商品は開発されているものの)、現状、3Dプリンター学習も基本的には中学生以上を対象としているケースがほとんどだ。
キッズ向け3Dプリンターの浸透が進まない中でToyBoxはほぼ唯一の例外かもしれない。
では、やはり小学生以下の子供たちには3Dプリンターは触れさせるべきではないのだろうか? その判断をする上で、まず考えうるメリットとデメリットを挙げて起きたい。
3Dプリンターは子供の想像力を養い、先端テックに対する感受性を高める
まずはメリットから考えてみよう。
小さい頃から3Dプリンターを使ったものつくりを行うことで、子供の想像力は確実に刺激されるだろう。
また、いわゆる工作的なものつくりとは異なり、先端テックに対する感受性も身につけることができる。高性能マシンを扱う上で必要な忍耐力の醸成にも役立つかもしれない。3Dモデリングも学習することができれば、3D空間に対するセンスをネイティブで養うことだってできる。
そうした能力を早いうちに高めておくことは、将来的に市場価値のあるスキルにつながる可能性が高い。
3Dプリンターは子供にはまだ危険? メンテナンスも大変かも
一方のデメリットも考えてみよう。
やはり気になるのは安全面だ。3Dプリンターの加熱されたベッドは、子供が触れれば火傷の危険性がある。化学物質を用いる以上、扱い方を間違えれば健康を害する危険もある。
またプリンターのメンテナンスも子供には大変かもしれない。適正なメンテナンスを行わないとマシンの消耗速度が高まるのはご存知の通りだろう。
あるいはキッズ3Dプリンターであれば安全性はある程度担保される。しかし、キッズ3Dプリンターは簡便さと安全さを高めるために、性能を犠牲にしている。ありていに言えば、大したものは出力できないのだ。これはともすれば、3Dプリンターに対する子供の期待値を下げる結果に繋がってしまいかねない。
おすすめは子供がデザインして大人が出力する
さて、メリットとデメリットを踏まえた上で最後に現状でのまとめをしてみたい。
3Dプリント技術に早くから触れることは子供のクリエイティビティを向上させる上で非常に良いことだ。一方で子供が安全に扱うには3Dプリンターというマシンはややハードルが高いということもいなめない。
すると、暫定的な最良の結論としては、大人向け3Dプリンターを保護者と一緒に楽しむ、というのが最適解になるかもしれない。ゼロからデザインしたものを出力するいう一連の流れの中で、まず子供たちにはデザインを担当してもらうのだ。
たとえばTinkercadなどを使えば、遊び感覚でデザインする楽しさを子供たちに伝えることができる。子供たちが四苦八苦して3Dデータを作り上げたなら、そのデータを元に保護者が実際に3Dプリントして子供たちに見せてあげるのだ。もちろんプロセスも込みで。
当然、うまくいく時もあればうまくいかない時もある。うまくいかなかった時はその原因を子供たちと一緒に考え、よりうまく出力するためのアイディアを模索していくのがいいだろう。こうしたものつくりのプロセスを小さな頃に経験しておくことは、きっと子供たちの将来にも役立つはずだ。
というわけで、お子さんをお持ちの3Dプリンターユーザーの皆さん、是非ともお子さんと一緒に3Dプリントを楽しんでみてほしい。そしてもし面白いコラボ作品が出力できた暁には、是非とも弊社ツイッターアカウント宛に画像付きでお知らせしてほしい。