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アパレル業界の3Dプリンター「ホールガーメント横編機」が起こしたニット革命

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アパレル業界の3Dプリンター「ホールガーメント横編機」が起こしたニット革命

 

環境にも優しいアパレル業界の3Dプリンター

 

冬に必需の衣料品のひとつにセーターがある。このセーターの製造に関して、人知れず静かな「革命」が起こっていたということをご存知だろうか。

その革命の主役の名は「ホールガーメント横編機」。「アパレル業界の3Dプリンター」とも呼ばれているマシンだ。メカニズムは3Dプリンターとは異なるが、簡単に説明してしまうと、糸を素材に自動的に洋服を編み上げてくれる近未来の服作りマシンである。

 

 

 

 

 


ホールガーメント横編機においては裁断や縫い合わせまで全部マシンが担ってくれる。機械に糸を設置すれば、あとはプログラムに従って、完成品まで全てオートで制作してくれるのだ。これによって何が変わったのか。まず従来の服作りにおいて発生していた膨大な「無駄」をかなりの程度カットすることに成功した。

ここでいう「無駄」とは裁ちクズのことである。たとえばセーターであれば原料に使用する糸の30%がこの裁ちクズとして無駄を作っていたし、ちょっと凝ったデザインのドレスなどになると、およそ50%が無駄になっていたらしい。これは料理で考えると、300gのお肉のうち150gをゴミ箱に捨ててきたみたいなものとも言える。言うまでもなくこれはもったいなく、無駄づかいである。

特に2000年代頃よりファッション界では「エコラグジュアリー」という言葉も生まれている。ようするに、環境に優しく、なおかつファッショナブルである、ということが時代のトレンドでもあった。しかし、その実情はといえば、どうしても服作りにおいては膨大な無駄が発生してしまっていた。それを変えたのが、このホールガーメント横編機というわけだ。

 

 

 

 



裁ちクズは単に糸が無駄になるだけじゃなく、そうしたクズの廃棄焼却における二酸化炭素排出も問題にいなっていた。温暖化の原因とされる二酸化炭素排出量のうち、およそ10%がアパレル業界によって排出されているというデータもある。つまり、生産の自動化は環境保護の観点からも重要だということだ。

また、アパレルに関しては特に、ファストファッションブランドなどが先進国で商品を低価格で販売するために、発展途上国などの工場で服を作ることが一般化していた。こうした低賃金労働は非人道的だという指摘もあり、さらに発展途上国に工場を作れば、いずれその土地の経済が発展し、賃金が上がる。そのため、常に工場を移転し続けなければいけないという「チャイナプラスワン」問題も生んでいた。そうした他の諸国も工場が増えればいずれ賃金が上がる。だから、ファストファッションはいずれあの価格帯を維持することが不可能になるとも言われているのだ。

そこに登場したのがホールガーメント横編機であり、まさにアパレル業界を刷新する技術革新として注目を集めている。では、果たしてこのホールガーメント横編機を開発したのは誰なのだろうか。実はそれはある日本人なのだ。

 

 

世界を変革する日本企業「SHIMA SEIKI」

 

ホールガーメント横編機の開発を行った企業は和歌山県にある編機メーカー「SHIMA SEIKI」(島精機製作所)。会長は島正博さんという方だ。

 

 

 

 

 


「SHIMA SEIKI」サイトにはホールガーメント横編機で作ったセーターの写真や動画があるが、いずれも可愛く、魅力的な仕上がりとなっている。

その特徴はホールガーメントであるがゆえに縫い目がないということ。実はすでにユニクロの「3D KNIT」シリーズなどにも使われていて、多くの人が「SHIMA SEIKI」の服を身にまとっている。

この島さんが起こした変革については、『アパレルに革命を起こした男』という本にも纏められてる。ホールガーメント横編機がもたらす環境負荷の低減や、労働問題の改善などについても詳しく纏められている。

 

 



この島さんは、10代の頃から天才発明少年として数多くの特許を個人で取得していて、「紀州のエジソン」という異名も持っているらしい。このホールガーメント横編機にしても、構想は30年前からあったそうだから、まさに「先見の明」。「SHIMA SEIKI」は、エルメスやグッチ、プラダ、クリスチャン・ディオールなどなど、海外の名だたるハイブランドの製品も製作してて、島正博さんの名前も海外での知名度は非常に高い。ニュースなどでも、その技術開発についてが度々取り上げられている。それに実は、ホールガーメント横編機の技術は宇宙服にも採用されているらしい。

さらに「SHIMA SEIKI」では、現在、このホールガーメント横編機とデザインツール「デザインシステム」を連携させることで、手頃なオーダーメイド、カスタムメイドの衣服制作の実現に向けても動いているらしい。

同じものを大量に生産する時代から、それぞれが本当に欲しいものを必要なぶんだけ生産する時代へ。そうした時代のパラダイムシフトに関わっているというところからも、ホールガーメント横編機はアパレル業界の3Dプリンターと呼ばれているのだ。



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