世界初、韓国カトリック大学が他人の幹細胞から3Dバイオプリントした気管の移植手術に成功
3Dバイオプリンティング技術が引き起こす医療革命
医療の現場で3Dプリント技術が新たな達成を果たした。
今回、その大きな一歩を踏み出したのは韓国カトリック大学の研究チーム。彼らが成功させたのは、他人の成体幹細胞を使用してカスタマイズされたバイオ3Dプリント人工気管の移植手術だ。
チームを率いるのは耳鼻咽喉科のキム・ソンウォン教授。今回の手術の患者となったのは甲状腺がんの手術を受けたのちに気管の一部を失っていた50代の女性だ。手術が行われたのは昨年の8月。その後、半年にわたる術後の観察期間を経て、今回の発表に至ったという。
他人の成体幹細胞から実際の3D細胞をプリントすることで開発した人工臓器の移植は実に世界初である。キム教授は今回の移植の成功に触れて「患者にカスタマイズされた3Dバイオプリント人工臓器移植のための商業化技術の開発の基礎を築き、将来的にはさまざまな難治性疾患のための高度なバイオ医薬品の開発プロセスにおいて重要な役割を果たすだろう」と述べており、これが3Dバイオ医療にとって重要なマイルストーンであることを強調している。
画像/韓国カトリック大学
今回、韓国カトリック大学と共同して3Dバイオプリンティング技術において重要な役割を果たしたのは3Dバイオプリンティング技術と再生医療の先駆的な研究で知られるT&Rバイオファブだ。生体適合性材料とその構造作成に関する専門知識は、人工気管の開発と外科的移植の成功に欠かすことができなかった。そのほか、メアリー病院をはじめとするさまざまな医療機関がこのプロジェクトの成功を支えた。
呼吸器系において不可欠な部位である気管は、首と胸をつなぐ管状の構造であり、空気の流入と流出、気管支からの分泌物の排出を可能にする。甲状腺がん、頭頸部がん、先天性異常、外傷など、さまざまな理由で損傷する可能性があり、今回の成功はそうした損傷によって苦しんでいる人にとって希望となることは間違いない。