美容整形の3Dプリント革命を牽引する韓国企業「FITme」の展望
インプラントは「ワンサイズでは誰にもフィットしない」
個人に最適化された3Dプリント医療用インプラント市場が急成長中だ。
特に美容分野において、その発展が著しい。美容はとりわけ需要の多様さが際立つ分野である。インプラントの3Dプリンティングはそうした様々な需要に応じることを可能にし、個人の解剖学的構造によりフィットするのみならず、迅速さの点でも従来よりも優れた方法となっている。
この分野においていま注目の企業の一つに韓国企業のFITmeがある。韓国といえば、美容整形のメッカとしても知られる。 FITmeは、各患者の固有のニーズを満たすように設計および作成されたカスタムインプラントソリューションを専門とする企業だ。このFITme独自のアプローチは、既製のインプラントを患者の要望に適応するように修正するという外科医療における従来の方法とは異なるものとなっている。
FITmeの革新性、それは手術計画をAI主導で作成していること、そして、患者の固有の特性を正確に吸い上げる「THE FACE ON」というプラットフォームを用いていることだ。
画像/FITme
このプラットフォームは患者の写真を細心の注意を払って分析し、外科医に正確な術前計画を立てるための詳細な3Dモデルを提供することで、処置の効率と精度を大幅に向上させるものだ。また、このアプローチは、手術プロセスを合理化するのみならず、インプラントが各患者の解剖学的に複雑なニュアンスに合わせて正確に調整されることを保証するものである。
その背景にはFITmeの「ワンサイズでは誰にもフィットしない」という理念があり、こうした革新的な取り組みによってFITmeは韓国初のオーダーメイド インプラントの主要プロバイダーとしての地位を確固たるものにしている。
実際、FITmeは毎月平均450個のパーツを生産しており、それらを6か国140以上の病院へ提供している。もちろん、安全性に関しては韓国食品医薬品局 (KFDA) の承認も受けており、医療的観点からも患者満足度を追求している。
画像/FITme
さらにFITmeは現在、身体構造や皮膚の弾力性の違いなど、人の解剖学的構造の多様性に対応するために、インプラント素材のレパートリーを拡大することにも取り組んでいる。具体的にはシリコンインプラントのさまざまな材料特性と硬度を調査することで、身体の多様なニーズに応じ、かつ安全性、快適性の向上を追求している。
世界の美容整形外科市場は、2022年から2030年までの予測期間中に10.6%の複合年間成長率を記録し、2030年までに1650億米ドルまで成長すると予測されている。一昔前なら個人にとっても周囲にとっても「おおごと」だった美容整形だが、現在ではかなりカジュアル化し、今後ますます一般化していくだろうことは間違いない。
FITmeはそうした美容整形業界の最前線をひた走っている。今後の展開から目を離せない。
画像/FITme