アメリカでは1年間でサッカーグラウンド約710万個分の森が山火事によって消失している|野火を早期発見して山を救うための3Dプリントデバイス
温暖化で急増する山火事
気候変動は様々なところに影響をもたらしている。有名なところでは北極の氷や永久凍土の溶解だが、それだけにとどまらない。たとえば近年の山火事の増加もまた気候変動を主な原因としているのだ。
アメリカでは2021年だけで58985件の山火事が起きている。それによって焼失したエリアは710万エーカー以上。日本ではエーカーという単位にはあまり馴染みがないが、1エーカーが大体サッカーグラウンドひとつぶんだと言われている。つまり、昨年のたった1年間でサッカーグラウンド710万個分の土地が燃えたという計算になる。その規模は年々増しており、すでに2022年の最初の2ヶ月で過去10年間の山火事のエーカー数の平均を上回っているらしい。これはちょっと普通じゃないだろう。
もちろん、山火事対策もまた進んでいる。新しいテクノロジーは山火事を抑制したり、その火の拡大を防ごうと日々技術開発を進めているが、その上で何よりも重要なことがある。そう、山火事の早期発見だ。
山火事を早期発見するためのシステム
実は現在、野火の早期発見のために非営利の教育プロバイダーであるNew Collar Netwaorkの3Dプリント技術者チームが、マイクロアコースティックマイクのメーカーであるKnowled Corporationとの技術を使用して開発したあるシステムが、国際ハードウェア助成金のコンペにおいて入賞し助成金を賞与されたという。そのシステムとは、3Dプリントされたケースに収められた山の音声監視対応センサーだ。
なんでもこのセンサーは機械学習を使用して森の自然音と森で起こる野火の音とを区別し、野火の音を感知次第、当局に山火事の可能性を警告するらしい。さらに、同システムはその信号をフィールドカメラなどの他のデバイスに中継することで、森林局の消防士たちに山火事の即自認識を提供できるということだ。
画像引用/New Collar Netwaork
設置場所は木の幹であり、簡単に取り付けられるようストラップ付きのデバイスケースが3Dプリントで作られた。あるいは金属表面でも役立つ磁石を備えたケースなども3Dプリントすることができるという。センサーの電源としては、開発チームは太陽光発電を考えているようだ。
このような早期発見システムは、山火事による森林の焼失エリアを抑えるのみならず、近隣のコミュニティが安全に避難する猶予を作り出すことができる。また山火事の起こっているエリアをより詳細に特定することで、消防士の活動をスムーズにし、消火時間を短縮することも期待されている。
ところで、日本は山が多いにも関わらず、山火事は比較的少ない。平均的には1年間に約1200件ほど、焼損面積も約700ヘクタール(1730エーカー)くらいに収まっている。少ない理由は日本の高い湿度だとされているが、もちろんそれでも山火事を少しでも抑えれるに越したことはない。また、気候変動によって日本の気候環境が変化していく可能性もある。備えあれば憂いなし。日本の森林にも是非とも導入して欲しい。