月面にアートギャラリーが登場? 2022年、3Dプリントアートが宇宙に飛び立つ
太陽系初となる地球外のアートギャラリー
日本でも各地にあるアートギャラリー。とりわけ都市部には無数と言っていいほどたくさんのギャラリーが存在し、日々、古典美術や現代美術、あるいはグラフィックデザインや民芸などの様々なジャンルの展示が行われている。もちろん、世界の都市も同じ状況であり、その数なんと約19,000。どうやらアートギャラリーは人間社会に欠かすことのできない、とても重要な存在であるようだ。
実は現在、思いもよらぬ場所に新たなギャラリーの立ち上げが準備されている。なんでもその場所は電車でも飛行機でも船でも行けない場所なのだという。では、何に乗ったらそこに行けるのか。正解は宇宙船。そう、アートギャラリーの新たな新天地となるのは、他でもない月面なのだ。
このプロジェクトを手掛けているのはその名もずばりムーンギャラリー財団。同財団は現在、地球で唯一の自然衛星である月に2025年を目標にアートギャラリーを立ち上げる計画を進めている。そのための第一段階として、世界中のアーティストから集められた100の作品が、来年、地球を飛び立つという。今回は国際宇宙ステーションを目的地とした飛行だが、2025年に月面に恒久的なホームベースを確立次第、そこに常設される予定だ。
果たしてそれらの展示を誰が見るのだろうか。正直、そこはよく分からない。宇宙人? あるいはそれ以外の何か? いずれにせよ、宇宙におけるアートの可能性を切り開く、先進的な取り組みだと言えるだろう。
画像:MOON GALLERY
宇宙を駆ける3Dプリントアート
さて、来年に宇宙へ向かって放たれるアート作品とはどのようなものだろうか。今回集められた100の作品はいずれも1cm×1cm内の小作品となっている。それらが10cm×10cmのグリッドプレートに収められ、月着陸船の外部パネル上に接続されるとのことだ。
画像:MOON GALLERY
すでに87点の作品が集められており、作品のサイズが小さいことから、3Dプリントアートも数多く含まれている。以下のリンクから作品一覧を見ることができるが、コンパクトながらどれも意匠の凝らされた面白い作品ばかりだ。
http://www.moongallery.eu/grid/
とりわけ注目すべきはシンガポールの南洋理工大学の積層造形専門家たちのチームが建築家でありデザイナーのラクシュミ・モハンバブが制作した《構造と反射》という作品。こちらは3Dプリンターを使って出力された立方体状の作品で、各面に異なるシンボルが示されている。
画像:シンガポール南洋理工大学
なんでも、これらのシンボルはいずれも宇宙の秘密に関わるものとのことで、制作者たちは文化交流の範囲を地球から宇宙へと拡張することをイメージしたという。果たして作品を通じた宇宙とのコンタクトは実現するのだろうか?
先日、元ZOZO社長の前澤友作さんが宇宙旅行へ旅立ち、「宇宙なう」とツイートして話題になったばかりだが、いまだ膨大な費用がかかるとはいえ、宇宙旅行が現実のものになりつつあることは、紛れもない事実でもある。あるいはいずれ、ヴェネツィアビエンナーレのような芸術祭が月面で開催されるようなこともあるのかもしれない。アーティストの皆さん、制作準備はできていますでしょうか?