3Dプリンターが食を「芸術化」する?|BluRhapsodyが起こしたパスタ革命
これまでのパスタの概念を3Dプリンターが覆す
パスタには様々な種類がある。スパゲッティ、ペンネ、リングイネ、フェットゥチーネ。ただ、これらはいずれも基本的には同じ方法で作られる。パスタの原料である穀物を捏ねたものを、押し出し機によってそれぞれの形に成形するのだ。
今では家庭用パスタ製麺機などもメジャーだ。それらを用いれば本当に簡単に自家製の生パスタを作ることができる。作れるパスタの種類も豊富で、なおかつ原材料の配合なども自在。筆者も使用しているが、料理前に気軽に製麺できるのは嬉しい。それにどこか製麺機を使ってパスタを押し出していく感覚は、3Dプリンターで好きなものを出力している時の感覚にも似ている。
ただ、これまでは製造できるパスタの形状にはある制約があった。その制約とは押し出し機によって成形可能な形状であること。たとえば、どうしても成形が難しいのは球体形だ。あるいは、より意匠を凝らした複雑なフォルムのパスタを作ろうという場合、押し出し機では限界がある。
そこを変えたのが3Dプリンターだ。
BluRhapsodyの革新的な3Dプリントパスタ
パスタの本場であるイタリアでは、すでにパスタメーカーBarillaとオランダの科学調査会社TNOとのコラボによる、BluRhapsodyというプロジェクトが立ち上がっている。このBluRhapsodyが行おうとしているのが、3Dプリンターを用いたパスタの形状革命だ。
実際、このプロジェクトの成果は目覚しい。すでに彼らは全く新しい形状のパスタの3Dプリントに成功している。その形状は実に様々だ。公式サイトを覗いてみると、まるで木ノ実や貝殻、あるいは陶器のような、独創的なパスタの写真が並んでいる。これらはいずれも従来の押し出し機では作ることが難しかったものだ。
BluRhapsodyの様々な3Dプリントパスタ
https://blurhapsody.com/prodotto/forme-pasta-stampata-3d/
使用されている食材は、最高級の穀物から得られるセモリナなど厳選された最高品質のものとのこと。料理人たちは3Dプリント技術によって、自然や季節の味からインスピレーションを受けて、これまでよりも自由に、かつ高度にカスタマイズされた、芸術作品としてのパスタを作ることができるようになったのだ。
現在、BluRhapsodyの3Dプリント製パスタは通販でも販売されているものの、発送先はイタリア、英国、スイスのみに限定されており、残念ながら日本への通販は行なっていない。是非とも実際に食べて試してみたいところだが、今しばし待つ必要がありそうだ。
いずれにしても3Dプリント技術が、食の可能性をこれまで以上に拡張しつつあることは間違いない。今後も引き続き注目していきたい。