3Dプリンター初心者必読! サポート材設置のつまづきやすいポイントと最低限必要な知識
礼に始まり礼に終わる。どうも、合氣道初段、SK広報のエリナです、おすおすっ!
いくらかっこいい3Dモデルを作っても、サポート材がなければプリントすることはできない。これは3Dプリンターの基本だ。もちろん、ただ漫然とサポート材を付ければいいってものでもない。思った通りに出力するためには、サポート材を正しく設置していく必要があり、これが初心者にとってなかなかの難関なのだ。
そこで今回は、サポート材を設置する上でのつまづきやすいポイントと、最低限必要な知識、コツを皆さんに解説してみようと思う。
初心者がつまづきやすいサポート材のポイント
まずは、サポート材の設置に関して、初心者の方がつまづきやすいポイントをいくつか挙げてみたい。
①ラフトをつけていない
②そもそもサポートされていない
③サポートが少なすぎる/細すぎる
④サポートが多すぎる/太すぎる
⑤レジンの逃げ道がない
以上の5点だだ。それでは順番に見ていこうと思う。
①ラフトをつけていない
これはよく見かける初心者の失敗だ。造形物の断面より広いラフトでしっかりプラットフォームに貼り付けておかないと、フィルムへ張り付く力に負けて落下してしまう (図1)。気をつけて欲しい。
ただ、ラフトを分厚くつけてしまうと剥がすときに苦労するので要注意。
②そもそもサポートされていない
さすがに初歩的すぎる!と思うかもしれないが、頂点になる部分や細かい部分は意外と見落としがちだ(図2)。サポート材の設置忘れがないか、出力前の再確認を心掛けよう !
また、中空構造で出力する場合は、造形物の内部にもサポートをつけておかないと歪みが起きたり造形ミスが起きるので気を付けよう!
③サポートが少なすぎる/細すぎる
途中でサポートがちぎれてしまう原因は主にこれだ。柱の太さは十分でも、サポート先端が小さすぎて剥がれてしまう場合もある。サポート痕はなるべくつけたくないというのも分かるが、しっかり支えたほうが歪みを抑えることが出来たり、結果的にきれいに出力される。急がば回れ、だ。
④サポートが多すぎる/太すぎる
がっちり支えて安心なのはいいけれど、はずすのに苦労するし、サポート痕だらけで表面処理が大変になってしまう。レジン使用量も増えるので経済的ではないだろう。つまり、③と④はバランスが大事ということ。細めのサポートを多めにつけるのが成功しやすい傾向にあるが、造形物の形や大きさによって異なるため「これだ」という正解はない。数をこなして、経験的に学んでいきたい。
⑤レジンの逃げ道がない
造形物に角度がついていなかったり、お椀状になっていたりしてレジンの逃げ道がないと、造形物の表面や内部に溜まったままになってしまう 。プリント後にきれいにとりのぞければ良いが、漏れた光が何度も当たってそのまま固まってしまうことがある。特にクリアレジンは光を通すので、造形物の上にたまったレジンもがっちり固まってしまう。
サポートの高さが低すぎたり、サポート同士が密集しすぎたりしても、そこにレジンが溜まりやすくなる。とくに粘度の高いレジンではこうしたことが起こりやすいので、注意して欲しい。
初心者がまずサポート材をつける上での最低限必要な知識とコツ
さて、ここまでサポート材を設置する上で初心者がつまづきやすいポイントを見てきたが、以下ではさらに初心に返って、サポート材に関して最低限おさえておきたい基礎知識をおさらいしておこう。あわせて、上手にサポート材を設置する上でのコツも伝授する。それなりに場数は踏んできてはいるけど、いまいちサポート材については苦手意識のある中級者以上の方もあらためて学び直しておいて損はないはず だ。
①まずは自動生成
②手動で修正
③設定の意味を知ろう
④造形物の角度
⑤張り付く力と引っ張る力
⑥逆にしてみる
以上の6点を順番に見ていこう。
①まずは自動生成
プリンタ付属のスライサーソフトには、たいてい自動でサポートを付けてくれる機能がある 。まずはその機能を使って自動で生成してみるのが良いだろう。造形物の角度を変えながら、設定を変えて何度でも試してみて欲しい。
②手動で修正
自動サポートだけでは不足な場合も多い。有料ソフトFormware3Dなら精度は上がるが、それでも完璧にはならない。造形物本体にサポート柱が接していないか、サポート不足なところがないか、いろいろな角度から見てチェックし、修正しよう。たいていのスライサーソフトには、スライダーを動かして断面を見ることができる機能がある。宙に浮いた箇所がないかよく観察することをオススメする。
https://skhonpo.com/product/formware3d
色々と妄想しながらサポートをつけるのも楽しいぞ!
③設定の意味を知ろう
設定項目が多く、全てを理解するのは大変だが、訳もわからず値をいじっても収集がつかなくなるばかりだ。最低でもサポートの柱サイズ、ベースサイズ、先端サイズと形状、ラフト形状と厚さ、サポート密度の項目は把握しておこう 。
④造形物の角度
造形物の角度や向きを変えれば、サポートの付き方は全く変わってくる。無限の組み合わせがあるため、どこに重点を置くのかをはっきりしておかないと永遠に答えがでない。「他がどうなってもこの表面には絶対にサポートをつけたくない」「少し精度が犠牲になっても角度は最小限にしてプリント時間を短くしよう」など、自分なりの優先順位を決めておくと決定しやすい ぞ。
⑤張り付く力と引っ張る力
光造形においてサポートは、フィルムに貼り付いた造形物を引き剥がす役割もある。サポートが造形物を引っ張ったときに無理な力がかかっていると、歪み、はがれ、ささくれなどの原因にもなる。そのためにも造形物には角度をつけて接地面積を小さくし、サポートをある程度の密度で配置して、張り付く力と引っ張る力のバランスをとる必要がある 。
⑥逆にしてみる
サポートがちゃんと出来ているかイメージがつきにくい場合は、造形物をサポートごと逆さにしてみよう。スライサーソフトの画面上では、床からサポートが立ち上がって造形物を支えているイメージになっているが、実際は光造形では天井から吊り下げる形になる。逆にしてみることで、レジンが溜まりやすい場所やサポートが足りない場所を発見できるかもしれないぞ。
サポート材設置をより極めるために必要なこと
さて、最後にサポート材設置をより極めていくために必要なことをいくつか挙げてみたい。ここまでの項目を読んで、それなりにサポート材設置に慣れてきたという人は、以下の3つの点を心がけることで、ますます技術が上達していくはずだ。
①トライアンドエラー
実際にプリントしてみなければ、サポート付けがうまくいったかどうかはわからない。出力したものをよく観察し、改善点を見つけて修正してはまたプリントする、という繰り返しによって、プリンティングの精度は上がっていく。3Dプリントは時間がかかるため、なかなか試行回数を重ねることができないのだが、くじけずにどこまで設定を詰められるかは、その人のこだわり次第だろう。
特に最近のモノクロLCD機の3Dプリンターは印刷速度が劇的に高速化されている。Phrozen Sonic MiniやElegoo Mars2 Pro等は大変オススメの機種だ!
https://skhonpo.com/product/sonicmini
https://skhonpo.com/product/elegoomars2pro
②情報収集
一人で回数だけをこなしていても、限界がある。そういう時は意固地にならず、先人の知恵を集め、集合知に頼るべきだろう。とはいえ、サポート付けは環境と経験によるところが大きいため、なかなか設定値やコツをまとめて公開している人はいない。それでも、探せばヒントになるような画像やつぶやきはたくさん見つかると思う。
ただし、詳しそうだからといって面識のない人にいきなり凸ってあれこれ聞かないこと。自力で調べて努力している人にこそ、情報は集まるものだ…。
(もちろんSK本舗はどんなお悩みにも極力丁寧に対応していきたいと思っているぞ!特に有償サポートは若干お高いが、弊社のスペシャリスト達が親身になって相談してくれると評判だ!)
③3Dプリンターのしくみを知る
造形の仕組みがわかっていれば、改善ポイントも見つけやすくなるものだ。その上でも、3Dプリンター全体の構造を理解しておくことが肝要だろう。ある環境で完璧にプリントできても、他のプリンタではうまく出ないということもある。プリントの出来はサポートだけでなく、レジンや機材の特性、照射時間とのバランスに左右されるものであり、まずはサポート以外にも失敗の原因がないか、見極める力を身につけることが必要だ。
まとめ
以上、サポート材の設置に関して、つまづきやすいポイントと最低限必要な知識とコツ、そしてさらなる上達のためのヒントを紹介して見た。
是非とも皆さんには「サポート材を制するものは3Dプリンティングを制す」を掛け声に、サポート材の道を極めて欲しいところだ。
また、サポート材の設置に関して、他にもこんなことが聞きたいというご質問がある方は、SK本舗のツイッター(@3dprinter_SK)のDM宛にタイトル「サポート材について」と明記の上、メッセージを送って欲しい。検証と考察を重ねて、記事にてまとめてご回答したい。皆様からのご質問、お待ちしているぞ!
というわけで以上、広報エリナでした!