STLデータを修復する正しい手順とは?|エラーの種類と修復の方法
STLの重大な欠点とは?
工業、一般使用を問わず、多くの3Dプリンターで標準化されている拡張子といえば「STL」だ。
STLは三角ポリゴンによって形成されるCADフォーマット。すでに皆さんもご使用しているだろうこのSTLlには、いくつか欠点があることも知られている。
そのうちの一つがデータをコンバートする際に3Dプリントに適さない形状として書き出されてしまうという点だ。
上級ユーザーであれば、モデリングの段階から3Dプリントに適したデータを生成することで事前にこのエラーを回避することもできるだろう。ただ、まだモデリングに不慣れなユーザーや、3Dスキャンしたデータをコンバートするような場合には、どうしてもこのエラーが生じてしまいがちだ。
そうしたエラーが発生したデータを3Dプリンターで出力する場合、STLデータを適宜に修復する必要がある。
では、具体的に修復が必要などのようなエラーが起こるのだろうか。代表的な例を見ていこう。
修復が必要なSTLデータのエラー
1.穴
きちんと現実空間にオブジェクトが3Dプリントされるためには、3Dモデルのすべての頂点と頂点が接続され、かつ面によって囲まれている必要がある。しかし、STLデータにコンバートする際に、メッシュに小さな穴が開いてしまったり、隣接する三角ポリゴンに接続されていない頂点があったりする場合がある。こうしたケースでは3Dプリントする際に問題が発生しやすい。
2.ジオメトリ結合の失敗
3Dモデルは様々な形状の組み合わせから構成される。ここで重要なことはそれら形状同士がきちんと結合されているかどうか。3Dプリントの際にはそれら複数の形状が1つのオブジェクトとして解釈されるということが必須だが、コンバートの際、この結合が乱れてしまう場合があるのだ。
3.ノイズ
STLへのコンバートに際して、データに存在してはならない浮動三角ポリゴンなどが含まれてしまう場合がある。それらがデータにオーバーラップしたり交差してしまった場合、3Dプリントする際に問題が発生しやすい
他にも複雑なジオメトリを使用する場合、プリンタの解像度よりも細かいデータなどがエラーを起こす場合もある。いずれにせよ、それぞれのエラーに合わせて、必要となるのは修復作業だ。
STLデータを修復する方法とは?
ではSTLデータの修復は主にどのように行われているのだろう。
まず、STLデータの修復に関してはファイルを自動修正するための修復ツールが存在する。このツーールは非常に便利で、簡単なエラーならきちんと修復してくれる。
ただし、こうした自動修復も完璧ではなく、モデルに必要なデザイン的要素をエラーとして捉え、変形させられてしまうようなこともある。その場合、他のより細かい設定を行えるツールに頼るか、あるいはモデル自体の再編集を行う必要がある。
なので、STLデータの修復をする場合、まずは①自動メッシュ修復を行い、それでもし問題がある場合、、高度なツールを用いた②手動メッシュ修復に切り替え、さらにそれでも問題が解決しない場合は元のモデルに戻って③再モデリングを行う、という流れが良いだろう。
この際、使用するSTL修復ソフトウェアとしては、
シンプルな修復に関しては、アスポーズ、メッシュミキサーなど。高度な修復に関しては、フォームウェア、メッシュラボなどが知られている。
あるいはすでに使用しているスライサーソフト(CURAやPrusaなど)の修復システムを使用するのも良いだろう。
まとめ
いかがだっただろうか。
3Dデータとしてはあらゆる形状が存在可能だ。それこそ厚さ0.00ミリの面だって3Dデータ上は存在させることができる。しかし、それを現実の世界に出力するためには、現実の世界に合わせて適宜に修復する必要がある。
STLデータの時代がいつまで続くかについては諸説があるが、現状ではまだまだ主流。もしSTLファイルへのコンバートの際にデータにエラーが生じた場合は適宜に修復を行うことで、理想の出力品へと近づけることができる。
みなさん、是非ともSTLデータ修復ツールを使いこなして、楽しい3Dプリントライフをお送りください。
(関連記事)
「STL」時代はあと5年で終了? 次世代の3Dデータファイル形式はどれか!?