白色フィラメントは3Dプリンターのノズルを摩耗させるって本当?
ノズルを摩耗させるのは炭素繊維のフィラメントだけじゃない
FDM3Dプリンターの素材であるフィラメントには様々なバリエーションがあるが、そのチョイスにあたっては注意しなければならないポイントも存在する。
たとえば金属または炭素繊維を含む特殊なフィラメントだ。こうしたフィラメントで3Dプリントを行うと通常のフィラメントを使用した場合に比べて3Dプリンターのノズルが摩耗しやすい傾向があると言われているのだ。
ただし、これはすでに3Dプリント業界ではよく知られた話。おそらくご存知であった方も多いのではないかと思う。
一方で最近、Slant3Dという名義でYouTubeにおいて3Dプリント情報を発信している3Dプリンターユーザーが、あるフィラメントに関して発生しかねないリスクについてを報告して話題になった。
そのフィラメントとは白色系フィラメントだ。
なんでもSlant3Dによれば、白色系フィラメントを使用した場合も、ノズルに摩耗が発生する可能性があるのだという。
摩耗の原因はPLAに添加されている着色剤
その原因は、フィラメントを白くするために添加されている着色剤とのことだ。白の着色剤には一般的に二酸化チタンが用いられており、これはその他の着色剤と比較した時に大きな粒子構造を持っている。たとえば黒の着色剤に用いられる原料と比較した場合、その粒子のサイズはおおよそ20倍以上の差となる。これが3Dプリンターのノズルにとって負荷となるというわけだ。
一般にノズルが摩耗すると、スライサ設定とノズルの状態が合わなくなってくるため、オブジェクトの外観が悪化したり、ベッドへの定着が悪くなったりする。それゆえ、こうした症状が出始めたらノズルの交換タイミングだとされている。当然、ユーザーにとってこれは避けたい事態だ。
Slant3Dのレポートが確かなものだった場合、これは多くの3Dプリンターユーザーを悩ませることになるだろう。白色のフィラメントは人気が高い。とはいえ、部品の消耗は出来る限り避けたい。いわゆるジレンマというやつだ。
ただしもちろん、通常のフィラメントを使っていても徐々にノズルは磨耗していく。今回の話もあくまで白色系フィラメントはその摩耗速度が通常よりも速いという話だ。
また対策の仕方もないわけではない。多くの3Dプリンターで使われている真鍮ノズルではなく、ルビーや硬化鋼などより硬度の高いノズルを使うことだ。そうすることで、粒子構造の大きいフィラメントに対しても耐久性が高まる。
この問題に関してはおそらく今後より精密な検証にかけられていくことになるだろう。技術というものは一歩進んでは二歩下がり、また三歩進んでを繰り返しながら発達していく。こうした、ともすれば負の発見を、さらなる正の進化へとつなげていきたいものだ。