オーバーハング構造の3Dプリントを可能にする話題のアルゴリズム「Arc Overhang」とは何か
出力失敗だと言われてきた「オーバーハング」だが…
オーバーハングという言葉をご存知だろうか?
元々、オーバーハングは「二階のせり出し部分」のことを指す建築用語だった。しかし、現在では様々な業界で使われている言葉となっている。3Dプリンターの世界においても基本的には同じ意味だ。つまり、造形物のうち空中に浮いている部分のことを指す。
3Dプリンターユーザーなら分かるように宙に浮いてしまっている部分は支持力が弱い。そのため、完成した際に崩れてしまったり垂れてしまったりする可能性が高いのだ。
一般的にオーバーハングは3Dプリントにおける失敗であり、すでにオーバーハングしないための対策法などについては様々に紹介されている。
しかし最近、サポート材なしでオーバーハングの3Dプリントを可能にするスライスアルゴリズムが注目を集めている。これは「Arc Overhang(アーク・オーバーハング)」と呼ばれるもので、冷却設定と自己支持アークの拡張によって、通常では不可能なオーバーハング構造を可能にするものだ。
まず以下の動画をご覧いただきたい。
オーバーハング構造を3Dプリントするための鍵、それは重なり合う円弧(アーク)構造だ。これによってほぼ全ての形状でオーバーハングの可能性が開かれるようだ。
このアルゴリズムはMarlinファームウェアを実行しているほぼすべてのFDM3Dプリンターと互換性があり、0.4mmノズルに最適だと言われている。プリンターのファンを「全開」に設定し、できるだけ低温で印刷することも重要であり、また小さな円弧が冷えて安定する時間を確保するためにも、印刷速度を下げる必要もある。
造形としてはややラフな感じもするが、これはなかなか魅力的なオプションだろう。ちなみに、この「アーク・オーバーハング」アルゴリズムは下記リンク先のGitHubリポジトリで入手できる。
https://github.com/stmcculloch/arc-overhang
興味がある方は是非とも試してみてほしい。