レジン洗浄に使用したIPAをクリーンに廃棄するための奇想天外な方法|鍵となるのはトイレットペーパーの芯
レジン洗浄後のIPAはどう処理するのが良い?
光造形3Dプリンターを使用する場合は、出力後にパーツをIPA(イソプロピルアルコール)で洗浄するのが一般的なプロセスだ。
このプロセスにおいて排出されることになる、高濃度のレジンを含む汚れたIPAは、基本的には廃棄されるだけの運命にある。しかし、このIPAをどう処理すべきかというのがまた悩みどころだ。どうすればクリーンに廃棄することができるのか。
最近、ある人物がこのレジン溶解IPAをクリーンに廃棄するためのある実験を行い、注目を集めている。
実験を行ったのはプログラマーでありライターのヤン・ムラゼクという人物。彼はトイレットペーパーの芯を使ってこのレジン溶解IPAを上手に廃棄するという、奇想天外な試みを行った。
ヤン・ムラゼク氏
IPA層からレジンを段ボールチューブで引き出し硬化させる
これまでレジン溶解IPAをクリーンに廃棄しようという場合、方法はかなり限られていた。多くみられるのが、汚れたIPAを容器に入れて太陽の下で蒸発させるというものだ。日光によってIPAが蒸発すると容器には固形化したレジンだけが残る。硬化した樹脂は廃棄物として安全性が高く、この時点で一般ゴミと共に捨ててしまって問題ないのだ。ただ、これはそれなりに時間がかかる上、まあまあ面倒臭い。
では、ヤン・ラムゼクの場合を見てみよう。彼はチューブ状にした段ボール、つまりトイレットペーパーの芯を使用して、溶解したレジンをIPA槽から引き出し、さらにUVソースを使用して、チューブ状でレジンを硬化するという方法を試みた。
より具体的には以下の通りだ。
まずチューブ(芯)の下3分の1を汚れたIPAの中に浸け、一方、上部をUVLEDで照射する。同時にIPAをマグネティックスターラーで攪拌しながら、モーターによっチューブをゆっくりと回転させていく。すると溶けたレジンがチューブの下部に絡まり、それが上方からのUVライトで硬化される、というサイクルが生まれる。
この繰り返しだ。硬化したレジンの薄い層がゆっくりと形成され、十分な時間が経過すると、レジンロールの出来上がり。なお、レジンから分離されたIPAは再利用できるほどきれいになるというから一挙両得である。
ヤンによれば、この廃棄メソッドはかなり安定しているらしいが、それでもまだ不完全な部分はあるという。モーターの速度調整を失敗すると、IPAが硬化したレジンに閉じ込められてしまうことがあり、細かな調整を必要としているようだ。いずれにせよ、これがデバイス化されたら、エコな上にIPAの節約にもなり、非常に便利であることは間違いない。
もし、上記した方法以外で汚れたIPAの廃棄に際してオススメの方法があるという方がいたら、是非教えていただきたい。
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