礼に始まり礼に終わる。どうも、合氣道初段、SK広報のエリナです、おすおすっ!

3Dプリンターはアートの世界でも大きく活用されている。今回は、いま最も注目すべき3Dプリンターを使用したアーティストとその作品を、自称アートファンの私が厳選して紹介してみたい。

 

1.オラファー・エリアソン

 

まず、紹介したいのは今まさに東京都現代美術館で展覧会「ときに川は橋となる」が開催中(~2020.9.27/https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/)の世界的アーティストであるオラファー・エリアソンさんだ。自然との共生、サステナビリティなどのテーマのもと、光や水などの自然現象を取り込んだ大胆な作品で知られるオラファーさんは、同時に最先端科学に対しても常に敏感に反応し、制作に取り入れてきたことでも知られる。

 

 

当然、3Dプリンターも例外じゃない。たとえば、今回の展覧会ではアイスランドの海岸に打ち上げられた氷河の氷をスキャンし、3Dプリンターで再現したという模型が展示されている。実はオラファーさんは以前、グリーンランドから取り出した本物の巨大な氷をロンドンの市街地に複数持ち込み、通行人達にそれが溶けていく様子を見せることで地球温暖化に対する問題提起を行うといった作品も発表したことがある。

今回は3Dプリンターによる再現ではあったが、展示を見た感想としては、見事な造形力のおかげで本物に勝るとも劣らない迫力となっていて、「氷」の放つメッセージについて深く考えさせられた。

 

 

いずれにしても、オラファー・エリアソンさんは今最も注目されているアーティストの一人、展覧会期中に見ておいて損はないはずだ!

 

2.AKI INOMATA

 

続いては日本の若手アーティスト、AKI INOMATAさんを紹介する。INOMATAさんは人間と動物、人間と異種との関係性をテーマにした作品で知られる作家さんで、たとえば、自分の愛犬の毛で作った毛皮のコートを自分が纏い、一方の愛犬には自分の切った髪の毛で作ったコートを纏わせるというような、非常に面白い作品を作っている。

 

 

そんな彼女は科学技術についても、積極的に作品制作に取り入れていて、その中で3Dプリンターも作品制作に取り入れているようだ。たとえば、作品「やどかりに『やど』を渡してみる」という作品では、3Dプリンターで作った「やど」をやどかりに差し出し、実際にその「やど」にやどかりが引っ越した様子を撮影して作品化している。人工的な技術もまた大いなる自然芸術の一部であるということを感じさせてくれる、非常に面白い作品だ。

 

 

3.ヘザー・デューイ=ハグボーグ

 

アメリカはフィラデルフィア州出身のヘザー・デューイ=ハグボーグさんもまた、3Dプリンターを使ってとんでもない作品を作っている。現在ニューヨークを拠点にしているヘザーさんは、ニューヨークの街頭で収集した煙草の吸い殻、チューインガムなどからDNAを採取、そのDNAサンプルからそれらの人物たちの肖像を3Dプリントして作品化しているのだ。

 

 

ヘザーさんは2019年のあいちトリエンナーレに参加しており、上述の作品を「Stranger Visions」というタイトルで発表していた。実際に私も作品を見たが、なんとも奇妙な気持ちにさせられたぞ。ヘザーさんによれば「われわれはいつでも気づかぬうちに、いろいろな場所で自分のDNAを撒き散らかしている」とのこと。煙草の吸い殻やガムをポイ捨てした人たちがいつか顔写真付きでポイ捨ての罪で捜査されるようになるかもしれない…なんてな。

 

 

4 .「未来と芸術展」

 

続いてはアーティストではなくある展覧会だ。この「未来と芸術」展は2019年から2020年にかけて森美術館で行われた展覧会のタイトルなのだが、アーティストの想像力に3Dプリンターが加わるととんでもないことになるという、良き事例集のようでもあった。

たとえばパリを拠点に活動するXTUアーキテクツは未来の建築やデザインを考える建築会社であり研究所でもある。「未来と芸術展」にはアーティストとして参加し、着脱可能なモジュールによって、自由自在に変形可能な未来の空中都市の構想を作品化した「Xクラウド・シティ」を展示。モジュールは全て3Dプリンターで出力されたもので、実際の都市構想としても未来の都市建築の要となる移動するモジュールは3Dプリンターで作られるのだそうだ。

 

 

また、ディムート・シュトレーべさんという人は、ゴッホの自画像をベースに、ゴッホの失われたという方耳を、ゴッホの末裔の方から採取したDNAによってバイオ3Dプリンターで出力するという、奇想天外な作品「シュガーベイブ」を展示していた。培養液に浮かぶゴッホのものらしき「耳」はかなりクレイジーだったぞ!

 

 

あるいはエイミー・カールさんという人は、従来の心臓の機能改善を提案すべく、新しい血管系構造を持つ心臓を3Dプリンターで作成し、「進化の核心?」という作品にして展示していた。「本作は、再生医療が進化の過程における自然選択を上書し、その道筋を変更する可能性があることを示唆します」とのこと。

 

 

うーむ、アートの想像力、恐るべし!

 

5.ろくでなし子

 

最後は先日、裁判が終了したばかりのこの人、デコまんアーティストのろくでなし子さんだ。2014年に、自身の女性器(!)を3Dプリンタ用データにし、活動資金を寄付した人々にダウンロードさせたことで逮捕されたというニュースは世間を大いに騒がせた。

 

 

その後、表現の自由をめぐって裁判闘争が繰り広げられ、2020年7月ようやく最高裁の判決が出たところだ(部分有罪)。もちろん、どんな作品も好みは分かれるところだとは思うが、おそらく今日の日本で一番有名な3Dプリンターアートは、ろくでなし子さんのデコまんシリーズじゃないだろうか…。

 

 

まとめ

 

というわけで、いかがだっただろうか。

ここで紹介したのはほんの氷山の一角……というか、もはや最近ではあえて取り上げるまでもないほどに、アート制作の現場に3Dプリンターは溶け込みつつある。今回取り上げたのはいずれも、とりわけ注目すべき3Dプリントアートたちである。

実際、3Dプリンターがなかったなら生まれなかったであろう作品も増えている。もちろん、人力による絵画や彫刻も素晴らしいが、技術革新によって新しい表現が生まれるというのは歴史の常でもある。果たして、今後、どんな3Dプリントアートが登場することになるのか。これからも注目していきたいところだ!