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FDMのインフィル密度の目安

Q. FDMのインフィル密度(Infill %)は何%にすればいい?

インフィルは造形物内部の充填率を示す設定で、強度・重量・造形時間・フィラメント消費をすべて同時に左右します。用途別の定番レンジを押さえておけば、毎回スライス画面で迷わなくなります。

結論:装飾・フィギュアは10〜20%、日常用途は20〜30%、構造部品は50%以上が目安

装飾品・プロトタイプなら10〜20%で十分で、機能部品は30〜50%、強度が必要な構造部材は50%以上が一般的な推奨です。無闇に上げても強度の伸びは頭打ちになり、時間と材料だけが増えていく関係を理解するのが先決です。

用途別のインフィル密度レンジ

用途 目安密度 特徴
フィギュア・装飾・プロト確認 10〜15% 軽量・短時間・材料節約。強度はほぼ壁任せ
日常使いのケース・整理ボックス等 15〜25% 実用の標準値。スライサー既定も近い
機能部品・治具・ジグ 30〜50% 落下・押し付けに耐える中強度レンジ
荷重・繰り返し応力がかかる構造物 50〜80% ここまで上げるなら壁枚数増も併用
金属代替・完全中実 100% 重くなる。時間・コストとのトレードオフ

※ 出典:Sovol3D「Infill Percentage」、UltiMaker「3D printing infill density」、OrcaSlicer Wiki「strength_settings_infill」の公開ガイドを参照。

判断基準

  • 強度の伸びは逓減する:25%→50%で強度は概ね+25%、50%→75%で+10%前後の増加にとどまる、という整理が一般的です。70%超は時間と重さに対する対価が小さくなります。
  • 強度は密度より壁枚数が効く:曲げ・引張強度は外壁のほうが支配的です。同じ重量・時間で強度を稼ぎたいならインフィル20%+壁4枚のほうが、インフィル40%+壁2枚より強くなる場合が多くあります。
  • パターンとの組み合わせ:Gyroid・Cubic・Honeycombなどパターン別に、同密度でも剛性比と等方性が変わります。方向依存を避けたいならGyroidが無難です。

注意点

  • 天井張り(Top Shell)不足はインフィルを上げても解決しない:薄いTop Layerのまま密度だけ上げると、天井が波打つ「ピロー現象」の原因になります。Top Shell Layersを4〜5層確保するのが先です。
  • 柔軟素材のインフィル挙動:TPUは高インフィルにすると弾性のある硬質体に近づきます。柔らかさを活かすなら10〜20%に抑えます。
  • 透光性を狙う造形:ランプシェード等は5〜10%まで落とし、壁枚数も2〜3枚に抑えます。
  • スライサーの既定値は用途に合っているか確認:プリンタープロファイルの既定値は汎用設定で、用途によっては高すぎ(時間が伸びる)/低すぎ(強度不足)のことがあります。

運用のコツ:壁枚数・Top Shell・インフィルをセットで設計する

強度設計の実務では、インフィル%を単独で決めるのではなく「壁枚数(Wall Loops)・トップ/ボトムシェル層数・インフィル%・パターン」の4点をセットで考えます。たとえばスマホスタンドなら壁3〜4枚+Top/Bottom 4層+インフィル15%Gyroidで十分ですが、工具の取っ手など応力集中が強い部品は壁4〜5枚+インフィル40%Cubicが一つの型です。まず壁・シェルを詰めてからインフィル%を下げるほうが、同等強度を短時間で得られるケースが多くあります。スライス後に外壁厚・天面厚をプレビューで確認し、荷重方向と積層方向の関係も併せて検証します。

まとめ

インフィル密度は装飾10〜20%、日常20〜30%、構造50%以上が基本線です。ただし強度は密度より壁枚数のほうが支配的で、50%以上に上げる前に壁枚数・Top Shellのレイヤー数を見直すのが先決です。「強度=密度を上げる」という短絡を避ければ、時間とフィラメントを大きく節約できます。