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FDMで第一層が定着しない時の対処

症状とは

第一層(First Layer)の定着不良は、FDMプリンターで最も遭遇頻度の高いトラブルです。具体的には以下の形で現れます。

  • フィラメントのラインがプレートに付かず、ノズルの後ろをズルズルとついてくる(ノズル高すぎ)
  • 印刷途中でモデルの角からペロッと浮いて反り返る(ワーピング)
  • ラインに隙間ができて「ザラッ」とした表面になる(押出不足 or 距離遠い)
  • 印刷開始から数分以内に全体がプレートから外れてノズルが空中で空回り(通称:スパゲッティ)

結論

第一層定着の3大要素は「(1) ノズルとプレートの距離(Z-offset)」「(2) プレートの清浄性」「(3) 素材に合ったベッド温度」です。Bambu Lab公式Wikiも「ベッドレベリング前にノズル先端を清掃すること」「ノズルが高すぎるとラインが細く波状に、低すぎると縁が盛り上がる」と案内しています。まずこの3点を見直してから、他の要素(速度、ファン、ラフト等)を検討するのが効率的です。

原因と対策(1)ノズルとベッドの距離が適正でない

Bambu Lab公式の基準では、ノズル先端とベッドの距離は「A4コピー紙がわずかに抵抗を感じながら抜ける程度」=およそ0.1mm前後が目安です。自動レベリング搭載機(Bambu Lab全機種、ELEGOO Centauri Carbon/Centauri Carbon 2、ELEGOO Neptune 4 Pro/Plus、Creality K1系/K2系 等)では、レベリング前に以下を必ず実施してください。

  • ノズル先端の残留フィラメントを真鍮ブラシで除去
  • ベッド表面の油分・指紋をIPA(イソプロピルアルコール99%)で拭き取る
  • レベリング機能をON(Bambu Labでは印刷開始時の「Bed Leveling」を毎回有効)

手動調整機では、ライブZ調整(印刷中にZ-offsetを±0.025mm刻みで微調整)を使って、第一層のラインが隣同士でわずかに接するベスト状態に追い込みます。

原因と対策(2)プレートが汚れている・コーティング劣化

PEI、PC、ガラス、テクスチャードプレートのいずれも、皮脂・離型剤・粉塵で急激に定着力が落ちます。

  • 素手でプレートを触らない(縁だけ持つ)
  • 週1回以上、IPA 99% + キッチンペーパーで拭き上げ
  • PLAで定着が落ちてきたら、中性洗剤+ぬるま湯で洗って完全乾燥
  • PEIプレートは1〜2年で表面が摩耗。傷や光沢ムラが出たら交換を検討

原因と対策(3)ベッド温度が素材と合っていない

一次ソースに基づく代表値(フィラメントメーカー推奨を最優先)は以下です。

素材 ベッド温度 推奨プレート
PLA 50〜60℃ テクスチャードPEI、クールプレート
PETG 60〜80℃ テクスチャードPEI(グルースティック推奨)
ABS / ASA 90〜110℃ エンジニアリングPEI、高温プレート
TPU 40〜60℃ テクスチャードPEI

PETGはPEIと相性が強すぎて剥がれなくなる(逆にプレート側を剥離する)事故が有名です。Bambu Lab公式もPETG時は薄くグルースティック層を作ることを案内しています。

原因と対策(4)第一層速度が速い・ファンが強い

第一層は意図的に遅くするのが鉄則です。

  • 第一層速度:20〜50mm/s(高速機でも第一層だけは抑える)
  • 第一層ファン:0%(ABS/ASAはもちろん、PLAも第一層だけはOFFが安全)
  • 第一層ライン幅:100〜120%(若干太くしてプレート接地面積を増やす)
  • 第一層レイヤー高:0.2〜0.28mm(ノズル径0.4mmの場合)

原因と対策(5)反りやすい形状・素材

ABS、ASA、PC、ナイロンは熱収縮で角から剥がれます。大面積・薄肉・鋭角を持つモデルほど顕著です。

  • ブリム(Brim):5〜10mm幅で接地面積を増やす(最も手軽で効果大)
  • ラフト(Raft):収縮の大きい素材や凸凹プレートで有効だが仕上げ面が荒れる
  • エンクロージャー:ABS/ASAはほぼ必須
  • モデル側:角を面取り(フィレット)する、ウォールを鋭角にしない

原因と対策(6)エアフロー・室温

印刷中にエアコンの風、窓からの冷気、サーキュレーターの直風が当たると、プレート表面温度が局所的に低下して剥離します。プリンター周辺は無風に近い環境を維持してください。冬場(室温15℃以下)の印刷は、可能であればエンクロージャーや段ボールカバーで空気層を作るのが有効です。

予防

  • 印刷前にプレート・ノズル清掃をルーティン化
  • 素材切替時にベッド温度・第一層速度のプロファイルを切替
  • 大型・反りやすい形状はブリム5mm以上をデフォルトに
  • プレート交換やノズル交換後はZ-offsetを再調整
  • Bambu Lab機は「Bed Leveling」を毎回ONで運用

まとめ

第一層不良は「距離・清浄・温度」の基本3点で9割が解決します。自動レベリング搭載機でも、ノズル先端の清掃とプレートのIPA拭き上げをサボると必ずトラブル化します。素材ごとのベッド温度レンジを守り、反りやすい素材ではブリムとエンクロージャーで先手を打てば、失敗率は劇的に下がります。

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