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NFT市場で次に盛り上がるのは「3Dプリンターアート」か?

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NFT市場で次に盛り上がるのは「3Dプリンターアート」か?

 

6900万ドルのデジタルデータ

 

今年、最もホットな話題とはなんだろうか。

日本国内的に言えば、東京オリンピックの開催は世間に賛否を巻き起こした一大現象だったと言えるかもしれない。では世界的にはどうだろうか。まず昨年以来のコロナの問題、ワクチンの問題がある。しかし、こちらも発生から2年目に突入し、状況は依然として揺れ動き続けているとは言え、話題としての新鮮さは欠く。すると2021年に端を発して、世界中を最も熱くさせた話題とは一体どれなんだろうか。おそらくその答えは一つしかない。「NFT」だ。

NFTについてはすでに様々なところで解説がなされているためご存知の方も多いだろう。

NFT、すなわち非代替性トークン。ざっくりとした説明をしておくと、これまでデジタルデータに関してはオリジナルという概念がなかった。それらはネットワーク上でいくらでもコピー可能なものとしてあり、せいぜいが著作権によって上映や展示などの使用に関して法的な制限が設けられていたくらいだった。この状況を変えたのがNFTだ。仮想通貨イーサリアムのブロックチェーン技術を用いて、オリジナル/コピーという二分法の存在しなかったデジタルデータに「オリジナルデータ」という概念を持ち込むことに成功。これによって世界で唯一のデジタルデータの存在が認められることとなり、あるデータが本物であるという保証を持った「作品」として取引可能になったのだ。


このNFTの存在を世に知らしめたのは、アーティストBeepleのデジタル作品「Everyday:The First 5000 Days」だった。同作品は2021年のはじめ、現代アートオークションの大手クリスティーズにおいて、6900万ドルという驚異的な金額で落札された。これはアート界において一つの事件だった。なんせ今までは展示上映権としてくらいしか売りようがなく、そもそも所有することが難しいとされてきデジタルデータが、あらあめてアートコレクションの対象として売買できるように(それもこんな高額で)なったのだから。

 

 

BeepleのJPEGコラージュ「Everyday:The First5000Days



この一件によってNFTは一挙に話題となり、多くのアーティストや著名人がNFT市場に参画した。テクノの大御所であるエイフェックスツインの新作ミュージックビデオの映像データ、あるいはTwitterの創設者であるジャックドーシーの最初のTwitter投稿なども取引の対象となった(こちらは300万米ドルで販売された)ことは記憶に新しい。

現在、話題としては一旦沈静しているようにも見えるが、水面下ではいまだにNFTアート市場は活況を呈している。いまだ手探りの段階であり、それだけにフロンティアを狙う作家や買い手たちがシノギを削りあっているのだ。

 

 

NFTアートの魅力と注意点

 

アート作品の良いところは、一度値がついたら基本的に価値が下がらないところだろう。これは通常の投資財とは明らかに異なる点だ。もちろん、作家の人気や評価が下がれば売ることが難しくはなってしまうが、1000円で買ったものが翌年に500円で売られているというような悲しい事態はまずない。

一方で価値の膨らみ方は企業株などよりもはるかにすごい。たとえばバスキアを例にとってみよう。バスキアはかつて路上で絵を売ってた時代もある。当時の値段は一枚10ドル程度。それが現在ではどうか。元ZOZOTOWN代表の前澤氏がバスキアの作品を落札した価格は1億1050万ドル、日本円にして約123億円だ。

もちろん、これはかなりレアなケースだが、5万が50万くらいならば無名レベルの作家でもザラにある。そのアーティストが業界で生き残っている限り、キャリアとともに作品の値段は上がっていくものだからだ。

とはいえ、作家全員が10年後にも生き残っているというわけではなく、そこを見抜くだけの審美眼は求められるところだろう。また、アートを投資目的で購入するという行為は基本的には「邪道」でもある。アートはアートのために、ノット・フォー・マネーというのは、それはそれで大事な美意識だ。さりとて、アーティストを応援しながら、利益を得ることもできるというのであれば、それはウィンウィンであるとも捉えられる。もし少しでも興味があるならば、今のうちにマーケットに参画しておくのも一手かもしれない(その際、節操のない青田買いは若手作家の今後のためにも控えよう。キャリアの浅い段階で値段ばかりが上がってしまい後々に作品が販売しづらくなってしまうケースもある。投資意識ばかりが先行して業界を荒らしてしまっては、誰にとってもマイナスにしかならない。アート売買には品位が欠かせないのだ)

ただし、気をつけなければならない問題もある。NFTの中でも人気の高いCryptoPunksというジャンル(デジタルキャラクター画像から構成されるNFTアート)があるのだが、まさに先日、このCryptoPunksに関して事件が発生したのだ。

何が起こったのか。まず背景としてCryptoPunksの爆発的な値上がりがあった。今年の頭の段階ではCryptoPunksは1枚数十万円くらいが相場だったが、そこから徐々に値上がりを続け、現在では平均5000万円くらいで取引されるようになっていたのだ。中でも、あるCryptoPunksがとんでもない価格で売却される。その額、なんと500億円。Beepleどころの話ではない。当然、すぐに話題となった。

 

 

 



しかし、この話には続きがある。実はこれ制作者による自己売買だったことが判明したのだ。制作者はフラッシュローンでクリプトをレンタル、そのクリプトによって高額落札を装ったらしく、いわば自作自演の「インチキ」だったのである。まだまだ出来上がったばかりの市場ということもあり、こうした不正や騙しによる値段の吊り上げも起こりやすい。参入される際はくれぐれもご注意いただきたいポイントだ。

そしてもう一点、NFTアートに関しては「そんなものアートと呼べない」という批判も起こっている。たとえば難解な現代アートを「作品」たらしめている要素の一つにステートメントの存在が挙げられる。要はその作品がいかなるコンテクストに基づいて制作されたものかを作家自身が説明するテクストだ。このステートメントがNFTには存在しない。作家の中にはネットから拾ったjpg画像をアートと言ってNFT販売しているものもいる。そんなものアートとして成立していないではないかという批判は、ある意味ではもっともなのだ。

しかし一方で、現代アートは常に「アートとは呼べないもの」の中に新しいアートの形を見出し、その領域を拡張させてきた歴史がある。NFTアートは現時点のアートの定義からは外れているかもしれないが、そうであればこそ、アートの新しい姿であるとも言いえてしまうのだ。なんだかややこしい話だが、重要なポイントはNFTアートの位置付けはまだ業界的にも定まっていないということ。それはすなわち、そこになんらかのフロンティアがあるということでもあるのだ。

 

 

NFTと3Dプリンター

 

さて、ここでNFTを取り上げたことには理由がある。NFTは何もアート作品に限ったものではないからだ。デジタルデータであれば、基本的にNFTとして販売することができる。たとえば3Dプリンター出力用の3Dデータ。こちらもまたNFTとして販売が可能なのだ。

実際、NFTアートのデジタルマーケットプレイス大手であるRaribleやOpenSeaには3Dプリント出力を前提としたデジタルデータを販売している方がすでにちらほらいる。たとえば、Danit Pelegもその一人だ。彼女は3Dプリントファッションのパイオニアとして知られる存在だが、やはり一歩目が早い。Danitは進むべき新たな領域としてNFT市場を見定めたのだ。

Danitの仕掛けは次のような具合だ。まず彼女からNFTを購入すると、その人はNFTナンバーに割り当てられたフォルダーにアクセスできるようになる。このフォルダ内には印刷設定の手順や、個々のピースを完成した衣服へと組み立てるガイドなどの多数のファイルが収納されている。これによって洋服の製造を通さない、一切の物理的なプロセスを経由することなく、衣服を販売することが可能となる。

 

 

Danit Pelegの3DプリントファッションはRaribleで購入できる。



Danitいわく「私はバイヤーに制限をかけません。私の作品で彼らが何をしているのか、それを追うことは非常にエキサイティングです」。

購入者は自分で衣服の素材や色を選択することができ、それによって独自のオブジェクトが作成されることになるそうだ。こうなると、もはやファッションデザイナーとカスタマーの境界線はどこまでも曖昧。やがてはコレクション全体をNFTで販売することも視野に入れているとのことで、どうやらDanitはかなりNFTに本気らしい。うまく発展していけば、今後、大きなビジネスチャンスを生むことになるだろう。

 

3Dプリントアートが今後の主流となる?

 

あるいは、オープンソーステクノロジーに基づいたアートを提供するLoan Floreaは、3Dプリントを前提としたアートオブジェクトをNFTとして販売している。「これは3Dプリントアートが新しい形のアートになるための最初のステップです」とLoanは言う。

また同時に、3DプリントNFTアートの存在はある種の法の抜け穴もついているという。たとえば、1000万のNFTアートを買ったとしよう。そのデータを自分で出力した作品を持って国外に移動しようという時、その作品は税関においてはアート作品として認識されないというのだ。なぜなら、それは自分で3Dプリント出力しただけの単なるオブジェクトに過ぎないのだから。これぞまさにフロンティア。制度では捉えきれない最先端がここにあるということだ。

 

 

Ioan FloreaのGコード



Loanによれば、現状において多くのプラットフォームがまだJPEGアニメーションやビデオなどの従来のデジタルメディアを優先しているという。3Dプリントデータは芸術形式として新しく、認知度が低いからだ。しかし、それはすなわちブルーオーシャンであるということ。今後、このジャンルは主流になっていくだろうとLoanは見ている。

あるいは技術やルール設定の部分で改善されるべき点、議論されるべき点はまだまだある。現状ではあるNFTデータと同じようなデータを別の誰かが自身のオリジナル作品として販売することを防ぐ手立てがシステム内にはない(従来通り著作権違反などで訴えることは可能)。今後、第三機関などが立ち上がっていくことで、そうした問題は徐々に整備されていくことになるに違いない。

NFTに関しては「まだよく分からないし様子見かな」という方がおそらく多いと思う。しかし、どんなジャンルもそうだが、火がついてからでは得られるものもまた小さくなるのだ。ビットコインを思い出して欲しい。2009年、最初にビットコインが誕生した時、その価格は1円以下だった。それがわずか12年間で130万倍以上も値上がりしている。今後まだ上がっていく可能性は十分にあるが、ここから130万倍になることはもはやありえない。NFTにしても同様だろう。

たとえば、あなたが3Dデータの制作者なら、第二、第三のBeepleを、今ならまだ狙えるかもしれない。あなたがもし購入者なら、第二、第三のBeepleの作品を、今ならまだ安価で買えるかもしれない。もちろん、一切の保証はない。しかし、少なくとも現時点で言えることは、そこには夢があるということだ。

NFT元年である2021年がもう間もなく終わろうとしている。ここでどんな判断をするか次第で12年後の未来が一変するかもしれない。



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