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3Dプリントテクノロジーの40年史・前編──全ての始まりは小玉秀男の「ラピッドプロトタイピング」だった

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3Dプリントテクノロジーの40年史・前編──全ての始まりは小玉秀男の「ラピッドプロトタイピング」だった

3Dプリンター技術の発端は1980年に遡る

 

いまや第四次産業革命の「かなめ」と言われ、一般層にも普及が進んでいる3Dプリンターだが、その歴史は古く、実は1980年代まで遡る。一般的には2010年代以降のテクノロジーという印象があるが、3Dプリンターが最初に考案されたのはもう40年も昔なのだ。

 

 

3D Systems社が1987年に発表した光造形3Dプリンター「SLA-1」

 

 

そこで今回はあらためて3Dプリンターの歴史を振り返ってみようと思う。「過去に目を閉ざす者は、現在に対しても盲目となる」とはドイツの元首相ヴァイツゼッカーの有名な言葉だが、あるいは歴史を見返してみることで、あらためて見えてくる魅力もあるかもしれない。


3Dプリントテクノロジーがこれまで歩んできた軌跡を、あくまでも駆け足にではあるが、前後編で俯瞰してみよう。

 

 

世界最初の3Dプリンターをつくったのは小玉秀男という日本人だった

 

先にも書いたように、世界最初の3Dプリンターが考案されたのは今から40年前の1980年のことだ。ここで驚くべきは、これを最初に考案した人物は、なんと日本人だったのである。


その名は小玉秀男。名古屋で技術士として働いていた小玉は、新聞印刷の仕組みを3次元製造に応用し、現在の3Dプリンターの元となる光造形技術を使用した付加製造方を開発したのだ。


この小玉の開発の革新的なポイントは、従来の製造機械というものが物を削ることによって製造を行っていたのに対し、物を積み重ねていくことで製造を行う手法を編み出したことだ。これにより、それまでの方法では難しかった複雑なインターフェースも表現することができるようになり、実際、この技術は試作品製作などに導入されることになった。


ただ、この技術は当時「ラピッドプロトタイピング」と呼ばれていて、まだ「3Dプリンター」という名では呼ばれていなかった。小玉の開発した技術が「3Dプリンター」と呼ばれるようになったのは、それから7年後の1987年、アメリカにおいてだった。

 

 

※論文誌に掲載された世界で最初の光造形による立体地図(電子通信学会論文誌/1981)

 

 

3D Systemsとストラタシス――業界を席巻し牽引した二大勢力

 

小玉は自身が開発した光造形技術を特許申請していたのだが、その間に海外へ留学していまったため、なんと留学中に審査請求を行うことができず、特許申請が無効となってしまう。つまり、極めて革新的な技術を発明しておきながら、小玉氏はその特許を取得しないままにしていたのだ。


再びこの光造形技術に光が当たることになったのは1987年、アメリカでチャック・ハルが同じ技術に関して、特許出願を行なったのだ。その名称は「3Dステレオリソグラフィー」、そしてこのタイミングでそれを行うマシンとして「3Dプリンター」という呼称も登場している。


チャック・ハルはこの特許をもとにアメリカはサウスカロライナに3D Systems社を創業。今も続く世界最大規模の3Dプリンター企業の誕生だ。そして、翌年の1988年にはアメリカはミネソタ州のストラタシス社が熱溶解積層方式(FDM)による3Dプリント技術の特許を取得、3D Systemsに比肩する業界トップの企業として君臨することになる。

 

 

チャック・ハル

 

 

こうして、80年台後半にあらためて「3Dプリンター」として光を浴びたこの技術は、3D Systemsとストラテシスの二大勢力によって、その後、長らく牽引されることになった。

 

こう振り返ると、小玉はなんて惜しいことをしたのだろうと思わずにはいられないが、小玉の功績そのものは広く認められており、光造形法の発明者として、1997年にはチャック・ハルと共にイギリスの名誉ある民間発明賞であるランク賞を受賞。このランク賞の受賞者にはその後、ノーベル賞を受賞した人物もなどもいて、小玉に対してもまた「いずれはノーベル賞」との呼び声も高い。その功績は時を経て、正当に評価されつつあるのだ。

 

なお、特許取得を逃したことについては、以下のインタビューで小玉本人がその思いを語っているので、興味がある方は是非読んでみるといいだろう。

 


3Dプリンターで特許を逃した僕の「失策と教訓」(日経ビジネス)


https://business.nikkei.com/atcl/report/16/063000051/070500003/

 

 

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