世界が注目する3Dプリント製バイオリン「Karen」|リリースしたのは日本の楽器メーカー
長野の楽器メーカーが開発した3Dプリント製バイオリン
楽器の3Dプリントに関してはこれまでも種々の楽器の出力が試されてきた。しかし、そのほとんどは、「試しに出力してみた」というレベルのものでもあり、大規模な生産工程で利用できる高価な3Dプリント楽器となると、これまでほとんど例がなかったのも事実だ。
そんな状況を、ある楽器メーカーが変えようとしている。KATAHASHI INSTRUMENTS、この日本の長野県の楽器メーカーが開発したある3Dプリント楽器が、今世界中の3Dプリントメディアから注目を集めている。
今回、KATAHASHI INSTRUMENTSがリリースしたのは、スペインのデザインスタジオ Anima Design が提供するコンピュテーショナル・デザイン・システムによってデザインされた未来的な3Dプリントフレームを搭載したエレクトリック・バイオリン「Karen(可憐) Ultralight」だ。
楽器の基礎となる部分の全てを設計したのはKATAHASHI INSTRUMENTS。そこに加えてAnima Designが計算設計システムを使用して人間工学に基づき、可能な限りでの軽量化を果たした。
肝心のボディはリサイクル可能なナイロン素材を使用して3Dプリント、さらにネック部分はバーチフィンガーボードを備えたメープルウッドで作られている。もちろん、バイオリンをアンプに接続するための1/4インチのジャック、9Vバッテリーで駆動するプリアンプ、アクティブ/パッシブスイッチ、ヘッドフォン出力、さらにトーンコントロールノブも搭載されている。
気になる価格は1850ユーロ。ブラックピアノ、パールホワイト、ダークプラチナ、レッドカッパーの4色の展開だという。もちろん、新しいのは製造法ばかりではなく、音質にも徹底したこだわりが反映されているという。
KATAHASHI INSTRUMENTSのサイトによれば、この新しいバイオリンを「Karen(可憐)」と名付けたのは、女性らしい華奢な体型に加えて、立ち居振る舞いがエレガントである、という意味を込めてとのことらしい。実際、そのフォルムは実に独創的だ。
かつてなら楽器職人が複雑なデザインを求めた場合、それは数ヶ月、あるいは数年の作業を必要とするものだった。あるいは、使用している材料の特性に応じて、試みることが不可能な形態も多くあった。今回のKarenのフォルムも、3Dプリント技術なしでは実現しえない未来的なフォルムとなっている。
果たしてKATAHASHI INSTRUMENTSの挑戦は、バイオリンユーザーたちにどのように受け止められるのだろうか。
現在、ホームページより実際にKarenを購入することができるようになっている。日本の技術をベースとした楽器の未来を切り拓くエレクトリックバイオリン。気になる方は是非チェックしてみてほしい。
KATAHASHI INSTRUMENTS
https://katahashi.com/