
カスタマイズしたゲームのキャラが3Dプリント可能に!? 人気ゲーム『フォーオナー』が開始した画期的サービス
商機はプレイヤーとキャラクターの「絆」
「たかがゲーム」と言われた時代はもはや昔。今日、ゲーム世界は現実のリアリティと同等の、あるいはそれ以上の存在感を持って、私たちの日常の一部となっている。
とりわけゲームのオンライン化が一般化した今日においては、一つのゲーム空間への滞在時間が長く、また没入度も高いため、使っているキャラクターとの精神的な繋がりもまた強固なものとなっている。
こうしたプレイヤーとキャラクターの絆に着目し、そこに潜在的なビジネスチャンスを見出したのがゲーム業界の大手Ubisoftとヨルダンと米国を拠点とする企業MixedDimensionsだ。このMixedDimensionsは兼ねてより、ゲーム内に映し出されるキャラクターをそのまま3Dプリント可能にする技術の開発に取り組んできた。今回、その技術がいよいよ実装されることとなったのだ。
自由にカスタマイズしたキャラを安価でフィギュア化
もちろん、3Dマークアップを3Dプリント可能にすることには困難さもある。まず、3Dプリンターでは色の表現が難しいということ。これはしかし、近年のフルカラー3Dプリンターの進化によって解決されることとなった。
MixedDimensionsが使用しているのは日本のMimakiの最新のフルカラー3Dプリンターで、これによってユーザーを満足させるクオリティを実現するに足る高精細なカラーリングが可能となった。
このサービスでは、ゲームファンは、好きなキャラに好きな装備、好きなポーズをとらせたフィギュアを注文することができる。価格帯は25ドル~100ドルの幅であるとされ、オーダーメイドフィギュアとしては非常に安価だ。まさに画期的な取り組みであるが、今回はまずUbisoftの『フォーオナー』というゲームにおいて行われるという。
Ubisoftのシニアクリエイティブディレクターのジーン・ガヴィン氏によると、「フォーオナーでお気に入りのカスタマイズされたキャラをフィギュア化するということは、私たちが当初より持っていたビジョンでした。これは素晴らしい経験になるに違いありません」とのこと。
フィギュアはUbisoftから直接注文でき、プレイヤーはヒーローの種類を選択した上、鎧と武器を選択、さらにポーズやベース、サイズを選択できるそうだ。
Ubisoft https://merch.ubisoft.com/
ますます巨大化するゲーム業界
ゲーム業界はすでに1520億ドルの価値があると言われている。アバターなどの仮想商品だけでも年間150億ドルの収益があり、今回のような取り組みが一般化すれば、これは一大市場を形成することになるとも予測されている。
もちろん、単にビジネスとして面白いだけではない。MixedDimensionsの最高クリエイティブ責任者であるズハール・アブドゥル・ハディ氏は、「制作チームも私もゲームの大ファン。これはファンによってファンのために作成された技術です。ゲーマーたちがこの素晴らしいフィギュアを手にする日が待ち遠しいです」と語っており、これはゲーマーたちにとってもゲーム世界を現実世界でも身近に感じることを可能にする、素晴らしいサービスだと言える。
他のゲームメーカーもこれに追随することは間違いない。あなたがプレイしているゲームのキャラを、自在にフィギュア化できる日もそう遠くはないだろう。