高速連続印刷が可能な二重波長SLA3Dプリント技術「SWOMP」
光造形を刷新するサンディア国立研究所の先端的研究
ステレオリソグラフィ(SLA)による3D印刷が消費者市場で普及して久しい。
これらの積層造形技術は、一般に単一のUV光源とFRP樹脂の重合に限定されている。それが意味することは、オブジェクトがレイヤーごとにプリントされ、各レイヤーが前のレイヤーだけでなく、樹脂バットの底にある透明(FEP)フィルムにも付着するということだ。
その結果として生じるフィルムからの層の剥離は、印刷プロセスの一時停止を必要とするのみならず、印刷される部分に大きなストレスを与える。このSLAが抱えている壁に関しては、長年にわたっていくつかのソリューションが開発されてきた。その中でも、現在最新のソリューションの一つがサンディア国立研究所が研究しているSWOMP(Selective Dual-Wavelength Olefin Metathesis 3D-Printing)技術だ。
やや専門的な話にはなってしまうが、一般的なFRPベースのSLA樹脂とは異なり、SWOMPでは、1970年代から商業化されているリングオープニングメタセシス重合(ROMP)樹脂を使用している。これはこれまでの光造形3Dプリンティングにおいては使用されていなかった。SWOMPではさらにシクロペンタジエン(DCPD)に、光活性オレフィンメタセシス触媒としてHeatMet(HM)を選択している。これにより、重合を選択的に不活性化するために使用できるフォトベースジェネレータ(PBG)が追加され、UV感度が著しく向上するという。
画像引用/サンディア国立研究所
分かりやすくまとめると、SWOMPとはこれまでとは技術的にも大きく異なる二重波長の光造形3Dプリント技術であるということだ。
理論的にはSWOMPではSLAの難点であったフィルムへの重合樹脂の付着を防ぐだけでなく、既存のFRPベースの単波長SLAよりもはるかに速い印刷速度を持ち、また高速連続印刷も可能になるという。より詳しい内容については以下の論文を参照していただきたい。
サンディア国立研究所「Continuous Additive Manufacturing using Olefin Metathesis」
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202200770
どうやら現在サンディア国立研究所はこの技術を開発および商業化するパートナーを探しているそうだ。これはこのような二重波長SLAプリンタがいずれメーカーによって市場に投入される可能性があるということを示している。光造形を刷新するSWOMPの今後の展開に注目したい。