3Dプリントした亀の甲羅がサバクガメを絶滅から救う
3Dプリント技術によって捕食者に危害を加えることなく絶滅危惧種を保護
現在、地球上に絶滅危惧種と指定された生物は約3700種以上も存在する。長い地球の歴史を考えれば、種の滅亡や新種の誕生はこれまでなんども繰り返されてきたことであり、絶滅そのものを否定する必要はない。
とはいえ、現在は人間の活動の影響によってこれまでにない速度で生態系バランスが変化してしまっているという状況である。こうした生態系バランスの変化は当然、人間の暮らしにも影響を及ぼす。仮にそれが直接的には生活と関係がなさそうな種の絶滅だとしてもも、まわりめぐって様々な結果をもたらしたという事例には枚挙にいとまがない。
だからこそ現在、様々な形で絶滅危惧種の保護活動が行われているのだが、その活動においても3Dプリンターが一役買っている。今回紹介するのは米国のモハーベ砂漠に生息する絶滅危惧種サバクガメの保護活動だ。
画像引用/https://www.youtube.com/watch?v=a60-tToFA8U
このサバクガメの保護活動を主導しているのは、スタートアップ企業のHardshell Labs。同社はデザイナーのFrank Guercioとの協力により、3Dプリンターを使ってこのサバクガメの精巧なダミーを出力した。その目的は、サバクガメの子を捕食するカラスを追い払うためだ。
画像引用/https://www.youtube.com/watch?v=a60-tToFA8U
この精巧なダミーサバクガメの甲羅の内部には仕掛けがあり、カラスのクチバシに突かれると人工的なブドウの香りを放出するようになっている。なんでもカラスはこのブドウの香りが苦手らしく、この香りを嗅ぐと飛び去るのだそうだ。
画像引用/https://www.youtube.com/watch?v=a60-tToFA8U
なるほど、これは名案だろう。カラスを傷つけることなくさらにサバクガメを守ることができる。サバクガメがブドウの香りを放つことを学習したカラスは、もうサバクガメを襲うことはない。もちろんその上ではダミーのサバクガメが本物のサバクガメと瓜二つである必要があるが、現在の3Dプリンティング技術は甲羅の複雑な形状を再現するだけの性能がある。
画像引用/https://www.youtube.com/watch?v=a60-tToFA8U
この方法は今後、様々な種の保護に役立てられる可能性があるという。捕食者に危害を加えることなく、絶滅危惧種を保護するための鍵は3Dプリント技術にあるようだ。