
見た目、食感、味、栄養素まで再現した3Dプリントサーモンが登場
Plantishの積層造形フィッシュフィレ
シーフード3Dプリントの世界が今大きく盛り上がりつつある。
以前、この記事欄でもRevo Foodsによる3Dプリントサーモンを紹介したことがあるが、今回は昨年に設立されたオルトシーフードスタートアップであるPlantishの取り組みを紹介したい。
オルトミートに続くか? 3Dプリント「シーフード」に注目が集まる理由
https://skhonpo.com/blogs/blog/3dseafood
Plantishは、現在、ホールカットフィッシュフィレを低コストで大規模に製造する積層造形技術を開発している。
PlantishのCEOは「今こそ魚の時代です」と語っている。その上で現在、オルトシーフード産業の課題の一つは、丸ごとの魚の味、食感、口当たり、構造を再現することであると指摘している。
従来の魚の70%以上が、丸ごとの魚または切り身のいずれかとして、丸ごとの形で世界的に消費されているため、オルトシーフードもその形に成形する必要がある。
これまでPlantishは、動物の筋肉の複雑なテクスチャーを複製するために植物タンパク質に依存してきた。これによってサーモンをリアルな切り身として造形し、サーモンを食べる体験をリアルなものにしているのだ。
食肉が環境に与える影響については、現在、多くの警鐘が鳴らされている。一方でシーフードはどうだろうか。一説には現在のようなペースで魚の乱獲を続けた場合、世界は2048年までにシーフードを使い果たすだろうと言われている。
一方で現在の世界のシーフードの半分は養殖によって補われている。すると、水産養殖を拡張すれば必要なシーフード量を満たすことができるという見解もあるが、養殖技術の中には環境副作用が報告されているものもある。
こうした背景から、Plantishはオルトシーフードによって海を救うことを目指しているのだ。
すでに今年の1月に100%植物ベースのホールカットサーモンフィレの試食会が行われた。食感や味だけではなく外見もまた本物と変わらないまでに作り込まれており、なおかつ栄養素もまた実際のサーモンに近似した値に調整され、たんぱく質やビタミンBが豊富に含まれているているという。
その超微細層から構成される積層造形技術については現在特許出願中のようだ。目指しているのは、「あなたにとってより安全で地球にとってよりよい」形へとサーモンをアップグレードすること。もちろん「美味しさ」はそのままに。
今後ターゲットにしていくのは、500億ドルを占めるといわれるサーモン市場、そして外食産業への対応だ。CEOは「今後2年以内に高級レストランにPlantishのオルトサーモンが取り入れられることを期待している」と述べており、実際その準備はできている。
日本もまた鮭を常食する文化がある。果たして、オルトサーモンの焼き鮭定食をカジュアルに食べれる日は来るのだろうか。続報を待ちたい。