これまでの3Dプリンティングの常識を覆す超高速造形3Dプリンター「LAKE」とは?
「LAKE」はこれまでにない速度で一度に大量の材料を硬化する
現在、ある光造形3Dプリンターがこれまでの3Dプリンティングの常識を覆すと話題になっている。
米国ノースウェスタン大学のスピンアウト企業Azul 3D社が開発した「LAKE」だ。
この「LAKE」は、これまでにない速度で一度に大量の材料を硬化させることが可能であるとされている。早速、こちらの動画をご覧いただきたい。
ご覧いただいたように、その速度は目をみはるばかりだ。これはLAKEに搭載された通称HARPと呼ばれる技術のデモ映像だ。なんでもHARPとはLEDライトエンジンを用いて一度に大量の材料を硬化するDLPシステムであり、それによって従来のDLP方式の3Dプリンターよりもはるかに大きな部品を、はるかに高い速度で生産できるのだという。
このHARPという技術が最初に発表された時は従来のDLPの20倍のサイズの部品を100倍の速度で製造できるということが大きく話題となった。それに比較すると、今回、発売が決まったLAKEの能力はやや控えめなようだ。一度に16000万個の別々のピクセルに光を照射することが可能であり、速度は格段に上昇しているが、HARPの本領発揮にはまだ至っていない。おそらくは「さしあたっての第一段階」ということなのだろう。
実際、Azul3Dの創設者であるチャド・マーキンは「LAKEプリンターは3Dプリンティングにとって画期的なものとなるだろう」という言葉に付け加えるように次のように述べている。
「これはほんの始まりに過ぎません」
ちなみに、チャド・マーキンという人物は3Dプリンターの進歩史において非常に重要な人物でもある。マーキンのこれまでについては以下の記事をご参照いただきたい。
デシモンとマーキンの友情〜3Dプリント技術の最先端をめぐり争う二人の天才〜
https://skhonpo.com/blogs/blog/friendship
LAKEはAzul3Dが今後数年間に発表する予定の一連の3Dプリンターの最初の一機。予約はすでに始まっており納品は2022年になるとのこと。
そして、すでにLAKEの次世代プリンターとして「SEA」のリリースも決まっている。そちらは2022年の第4期に予約を開始する予定だとか。どうやらAzul3Dの3Dプリント革新は始まったばかりのようだ。