2022年、100棟からなる3Dプリント住宅街の建設があの高級エリアで着工
テキサス州オースティンに100棟の住宅を3Dプリント
技術的発展の著しい3Dプリント住宅業界から新たなニュースが届いた。
2022年、アメリカはテキサス州オースティンで、100世帯分の3Dプリント住宅の建築が着工されることが決まったのだ。
建設を手がけるのは国際的な建築会社BIG-Bjarke Ingels Group、積層造形を手がけるのはICON、さらに米国を代表する住宅建築業者のLennarの三社だ。
3Dプリント建築では近未来的なデザインが追求されがちだが、今回、この三社が手掛けた住宅は典型的なアメリカの「郊外の家」の美学を現代的にアレンジしたデザインとなっている。材料もまた伝統的な建築材料を用いており、さしずめ新しさと古さの融合といったところだろうか。
画像提供:ICON
3Dプリントを用いることで、曲がりくねった曲線状の壁が可能となることから、形状は従来の建築と比較してもより自由になる。
各住宅の屋上にはソーラーパネルも設置され、建設プロセス、建設後の運用を含めて、環境を意識した持続可能性が追求されているというところもポイントは高い。
米国では約500万戸の新築住宅が不足状態
今回、この住宅街が建設されるオースティンというエリアは、米国でも最も繁栄しているエリアの一つと言われており、2021年には住宅価格の中央値が過去最高の575,000ドルに達していた。現在はやや落ち着いているが、人気エリアであることには変わりない。住宅の買い手も急増しており、そうした背景もあり、今回の住宅街建設が決まったようだ。
画像提供:ICON
ICONはこれまで、ホームレスのための仮設3Dプリント住宅や、メキシコにおいて1日3ドルで暮らす家族のための3Dプリント住宅コミュニティを提供してきている。こうした住宅問題を解決する上で欠かせないのがコストの削減だ。3Dプリント建築は何より建設にかかる日数を大幅に縮減できる。人件費だけを見ても大幅なコストを節約できるのだ。
ICONが使用している住宅3Dプリンター「ヴァルカン」(
画像提供:ICON)
現在、米国全体で約500万戸の新築住宅が不足状態にあるという。品質、美しさ、持続可能性を損なうことなく、住宅不足を解決するためには3Dプリント技術が欠かせないのだ。
実際、耐久性も優れているとのことで、ICONの3Dプリント建築が用いる先端材料は、従来の建築材料よりも強力で長持ちすると考えられている。こうしたことから、ICON以外の様々な企業がこの分野に参入しており、以前、記事でも取り上げたMighty Buildingsはカリフォルニアのランチョミラージュに3Dプリント住宅コミュニティを建設して話題となった。
このままのペースで進めば、5年後には世界各地に3Dプリント住宅街が乱立している可能性もある。果たして日本はどうなるか。今後の展開を注視していきたい。