植物の感情を表現するプランターが話題に|3Dプリンターで自作も可能
もし植物ともっとコミュニケーションができたら
仕事の都合もあり動物のペットを飼うことは難しい。だけれど、せめて日々の暮らしに彩りを添えたい。そんな思いから観葉植物を家に飾っている方は少なくない。
確かに、植物は散歩に連れ出す必要もなければ、動物のように排泄物の掃除や世話をする必要はないだろう。ただ、植物もまた生命であることには変わらない。日光や水分をはじめとする適切な栄養を補給しなければ、瞬く間に枯れてしまう。
かくいう筆者もまた基本的には手入れが難しくないはずのサボテンをさえ枯らしたことがある。もちろん、放置していたわけではない。逆に干渉しすぎたのだ。世話焼きのつもりで水を大量にあげすぎていたことで、根腐れを起こしてしまったのである。
植物のプロであれば、おそらくそうなる前に植物から発せられるサインを読み取っていたはずだ(そもそも水をあげすぎたりはしないだろうけど)。だが、植物の素人にとって植物から発せられるサインを読み取るのはたやすくない。そのサインに気づいた頃には、植物はすっかり枯れきってしまい、再起不能になっているというケースも少なくないだろう。
もし植物の感情が、表情が、もっと簡単に読み取れたら、どんなに良いことか。枯らさないで済むだけじゃなく、もし彼らの気分をシェアできるなら、動物のペットに対して抱くような親密な感覚だって味わえるはずだ。
実は今、植物の気分が一目で理解できるプランターが話題となっている。その名はFytó。このスマートプランターが実現したのは、植物に豊かな表情を持つ「顔」を与えることで、それらをペットに変えることだ。
植物の感情を表現するプランター「Fytó」
Fytóは Raspberry Pi 2W上で動作し、容量性土壌水分センサー、LM35温度センサー、および光レベルを検出するLDR モジュールに基づく、植物の6つの感情をアニメーション絵文字を用いて表現してくれるプランターだ。
植物の状態が満たされている時、Fytóは幸せそうな顔をしている。あるいは、適切なタイミングで水を注いであげると唇をなめて「美味しい」と言わんばかりの顔をしてくれる。光が足りていない時は眠たそうに見える。水を必要としている時は、Fytóの顔は汗まみれになり、やがて顔が赤くなり、カラカラになる。あるいは熱くなりすぎているときは体温計を咥えて熱っぽい顔に変わる。
これはいわば植物の擬人化だ。その表情は確かに植物の状態とリンクしているが、普段ならそれは単なる状態としてしか認識できない。しかし、そこに「顔」が付与され、共感力を刺激する様々な表情を示されると、途端に状態は感情として認知され、あたかも植物と人間的なコミュニケーションを取っているかのように錯覚してしまうのだから不思議だ。
今回のFytóではアニメーション絵文字が採用されているため、その感情表現はごくごくシンプルなものだ。ただ、センサーをより精緻にしていけば、これ以上に複雑な表現を植物に与えることだってできるかもしれない。付属する「顔」も、より人間的にリアルなものにして、さらに言葉でそれを表現する機能も付与したら、もはや植物がペットを超えて、友達や家族の領域に達する日だってくるかもしれないだろう。そう思うと、Fytóは新しい人間と植物との関係のひとつの画期となるかもしれない。
ところで、なぜ今回このFytóを取り上げたのかというと、Fytóのこのポップなボディは3Dプリンターで作られたものなのだ。この流線的なシルエットもまたFytóの近未来感を演出する上で欠かせない。新しいアイディアの実現は3Dプリンターと共にある。
ちなみにこのプリンターは販売されているわけではない。youtubeやサイト上で作り方も公開されている。気になった方、是非この新時代のプランターの自作を試してみて欲しい。
作り方紹介サイト
https://www.instructables.com/Fyt%C3%B3-Turn-Your-Plant-Into-Pet/