世界初の3Dプリント超合金ギアボックスがハイパーカーに革新をもたらす|CzingerVehiclesの挑戦
自動車の心臓部も3Dプリントされる時代に
すでに自動車製造において3Dプリンターは欠かせない技術となっている。
世界の大手自動車メーカーのほとんど全てが3Dプリント技術を導入しており、特に外装に関わる部品などは3Dプリント技術を導入することによって様々な合理化が進められた。
一方で自動車の動力を司るエンジン周辺の製造に関しては、3Dプリント技術の使用は限られている。それゆえ、3Dプリンターで自動車の全てを一括で3Dプリントするという夢は、いまのところ果たされていない。
しかし着実に技術は進んでいっている。たとえば、ハイパー電気自動車メーカーであるCzinger Vehicles(以下、ジンガー)は、最近、世界初となる3Dプリント自動車用ギアボックスケースを設計したことを発表した。
Czinger Vehiclesが開発したハイパーカー「21C」
ジンガーが開発した超合金3Dプリントギアボックス
ギアボックスとは自動車の変速機のケースのことだ。変速機やステアリング系などのギヤ機構そのものを指すこともあり、エンジン部分と合わせていわば車の心臓部にあたる重要な部位だ・
今回、ジンガーが英国の自動車エンジニアリング会社Xtracとの提携のもと、トポロジー最適化ソフトウェアを使用して設計したのは、独自のアルミニウム合金で印刷されたギアボックスケースだった。
Czinger Vehiclesが開発した世界初の3Dプリントギアボックス
このトポロジー最適化ソフトとは、近年、アディティブマニュファクチャリング (AM) においてしばしば使用されるソフトである。特にAIを用いたジェネレーティブデザインとの組み合わせが増えており、設計段階における構造効率を最大化するために主に使用されている。どうやら、今回はジンガーの親会社であるDivergent Technologiesが独自に開発したソフトウェアが用いられたようだ。
ジンガーの創設者によれば、今回開発した3Dプリントギアボックスは「真に最高のパフォーマンスを発揮する業界初の信じられないほど優秀なギアボックス」とのこと。またジンガーを代表するハイパーカーである21Cに搭載することで、その性能がさらにアップするであろうことも示唆している。
Czinger Vehicles「21C」
ハイパーカーのロマンは尽きることがない。その次なる進化の鍵を担っているのは、間違いなく3Dプリンターだ。