世界的メディアが選んだ2022年に使うべきCADソフトウェア
2022年に最高のCADソフトウェアはどれ?
3Dプリンターで何かを出力するためには、出力の元になる3Dデータが欠かせない。CADソフトウェアとは、この3Dデータをデザイン、モデリングするためのソフトウェアのことだ。
そもそもCADとは「Computer Aided Design」の略で、「キャド」と読む。かつては手作業だった設計や製図をコンピュータで行うためのソフトウェアとして開発され、様々な分野において活用され続けてきている。
今回はこの3DCADデータを作成するためのソフトウェアの中でも今最も注目のソフトウェアを紹介したい。参照するのは、先日、世界的3Dプリントメディア「ALL3DP」がリリースした、「2022年に最高のCADソフトウェア」という記事だ。
まずは以下にラインナップを示したい。
SketchUp
Vectary
Onshape
SelfCAD
AutoCAD Web
TinkerCAD
必ずしも3Dプリント用のデータ作成に適したソフトウェアに限らない。ブラウザベースで使用できるCADソフトウェア全体の中から機能性に優れたソフトウェアが紹介されている。
ちなみに、当メディアでは以前にも3Dデータ作成ソフトについて、基礎的な情報を紹介したことがある。以下の記事では3DCADソフトと3DCGソフトの違い、そのメリットデメリットなどについても解説している。こちらも併せてご参照いただきたい。
【2021年度版】3dプリンターのデータ作成方法とオススメ作成ソフト4選
https://skhonpo.com/blogs/blog/datasakusei4?_pos=4&_sid=988ec5f60&_ss=r
世界的メディアが選ぶ6つのCADソフト
さて、では2022年にオススメの3DCADソフトウェアを順番に見ていこう。
SketchUp
TrimbleのSketchUpは、専門家に最も人気のあるCADソフトウェアの1つだ。建築家や造園家や商業用インテリアデザイナーなどの関連分野に最適な「スケッチ」「押し出し」機能を持ち、すでに多くのユーザーに親しまれている。
フルでインストールするとかなり重いアプリケーションになるが、SketchUpShopというブラウザベースのバージョンもあり、こちらは非常に使いやすい。もちろん、SketchUpShopでは部分的に使用できない機能もあるが、まず試してみたいという方はブラウザ版からトライしてみるのがいいだろう。
SketchUpの特筆すべきポイントはSketchUpWarehouseと呼ばれる、簡単にインポートできる何千もの3Dモデルがソフトウェア内に用意されているところだと言われている。これはブラウザベースのSketchUpShopでも使用可能であり、大変便利だ。
また初心者にも使いやすいと定評があり、さらに無料枠も用意されていることから、とっつきやすさも利点の一つ。なお欠点としては、パラメトリックCADモデラー(※)の履歴機能がないため複雑なエンジニアリングには向かないということなどが指摘されている。
※パラメトリックモデラーについては日経XTECHの以下の記事がわかりやすい。
https://xtech.nikkei.com/dm/article/COLUMN/20130705/291110
【SketchUp】https://www.sketchup.com/ja
Vectary
Vectaryはテクニカルなデザイナーよりも芸術系コミュニティを対象としたブラウザベースのCADソフトウェアだ。エンジニアリングに使用されるシステムであるパラメトリックモデラーの一種ではあるが、Vectary自身が自身の機能をハイブリッドとして定義しており、あくまでも芸術的なアプリケーションとして打ち出されている。
特徴はその強力なレンダリング機能だと言われる。ライブレンダリング機能が備わっているため、作業中にもデザインがどのように機能しているかを知ることができる。また、VectaryはオンラインARビューアー機能を持つため、現実の空間でデザインを見ることもできるという点も魅力の一つだ。
そして何より優れているのは、全てのバージョンが無料で商用利用できるという点だろう。機能のほとんども無料利用枠で使用できる。ただ、無料枠においてはユーザーを25プロジェクトに制限し、バージョン履歴を禁止し、プロジェクト共有とWebARビューアーへのアクセスが制限される。もし全ての機能にアクセスしたければ月額12$、年額99$のプランに加入する必要がある。
【Vectary】https://www.vectary.com/
Onshape
Onshapeは現状で最も高度なオンラインCADソフトウェアの一つとして知られている。ブラウザベースのソフトウェアとしては信じられないほど強力なCADを詰め込み、最先端のプロフェッショナルユーザーや企業に適したプログラムを提供する、ブラウザで使用可能な最高水準のパラメトリックモデラーだ。
Onshapeの優れた点としてまず充実したコラボレーションツールの存在を挙げることができる。Onshapeはあらゆるプロジェクトに「ブランチアンドマージ」機能を提供してり、これによりデザインの編集を分岐して特定のイテレーションと区別することができる。これは大規模なオープンソースプロジェクトなどに最適な機能だ。
一般的にOnshapeは高度な製品設計などに最適なソフトウェアとして知られており、芸術的な3Dモデリングには向いていない。また、通常のユーザー向けには開かれておらず、企業組織を対象としたソフトウェアとして提供されている。商用利用するためには年間1500$が掛かる点からも、3Dプリンターの一般ユーザーが使用することは考えづらい。あくまでも、こういうソフトウェアもある、という程度に認識しておいてほしい。
【Onshape】
https://www.onshape.com/ja/
SelfCAD
SelfCADは非常にユニークなオンラインCADソフトウェアだ。シンプルさと堅実さ、またTinkerCADのような初心者向けソフトウェアとしての親しみやすさも兼ね備えている。TinkerCADよりも多くの機能を提供しているが、より高度なソフトウェアと比較すると少し控えめだ。要するに、一般向けとプロ向けのちょうど中間くらいの機能を持つソフトウェアだということだろう。
基本は無料で使用できるが、高度なメッシュモデリング機能を使用する場合は有料となる。またスライサーも統合されており、スライサーソフトいらずなのもありがたい。インタラクティブなチュートリアルも搭載されていて、コミュニティと技術を共有することもできる。
【SelfCAD】
https://www.selfcad.com/
AutoCAD Web
AutoDeskが提供する、CADソフトウェアの代表的な存在として知られるAutoCADのブラウザ版。注目は非常に簡略化された2DDWGエディタだ。通常のAutoCADのような高度なオプションはないが、デスクトップで開くなどの便利な機能がもたらされている。
すでにAutoCADを使用している方が、より迅速なオンラインソリューションを探しているという場合、このAutoCAD Webが最適な答えとなる。
【AutoCAD WEB】
https://www.autodesk.co.jp/products/autocad/overview
TinkerCAD
最後はすでにお馴染みのTinkerCADだ。すでにお使いの方も多いだろう。おそらく一般に最も知られているオンラインCADソフトウェアだ。
完全に無料のソリッドモデリングプログラムで、主にCAD初心者を対象にしている。ソフトウェアのシンプルな性質により、多くの場合、シンプルなデザインを作成するためのソフトウェアとして用いられているが、一般の3Dプリンターユーザーにとっては、決してそこまでの不足は感じないはずだ。
子供や若者向け機能として、TinkerCADでデザインしたデータをMinecraftやLegoなどの人気ゲームに取り込み使用することができるという機能もある。また初心者向けにかなり充実した、ガイドやレッスンのプロジェクトも含まれている。ギャラリー機能も充実しており、他の人の作品などを閲覧することで、制作のインスピレーションを得ることもできる。
そして何より完全に無料のソフトウェアであるという点も魅力だ。ただ、やはり初心者向けではあるため、より高い機能を求める人には物足らないのも事実だろう。さらなるステップを求める人はまず上述したSelfCADを試してみるといいかもしれない。
【TinkerCAD】