【2024年版】3Dモデリングの基礎知識と初心者がつまずきやすいポイント・後編
大好評の前編から引き続き、後編でもまた3Dモデリングにおいて初心者がつまずきやすいポイントを見ていこう。前編でも基本的な解説は下が、まだまだハードルを感じてるという方もいるだろう。
まず後編の最初に取り上げるポイントとしては、「ソフトがうまく使えない」という点だ。前編で見たように、スカルプト、ポリゴンモデリング、CADなど3Dデータの作り方は様々あるが、いずれにせよモデリングソフトを使用する。このソフトの操作が難しくてつまずいてしまう人も多い。その上でいくつかアドバイスをしてみたいと思う
モデリングソフトつまずき回避の4カ条
さて、モデリングソフト操作におけるつまずき回避の4カ条を紹介しよう。
・複数のチュートリアル動画を見よう
・全ての機能を使おうとしなくていい
・ネット検索をうまく使いこなそう
・ソフトが合わない時はソフトを変えよう
この4カ条を守って取り組めば、誰でも確実にモデリングソフトを一定レベル使えるようになるはずだ。
・複数のチュートリアル動画を見よう
まず、「チュートリアル動画を見よう」について。同じソフトを使う場合でも、作りたいものによって、進め方が違ったりする場合がある。だから、自分の使用しているソフト、作りたいものに応じたチュートリアル動画を見つけて、それらを複数見ることで、基本的な動作を学ぶことができる。
たとえば、スカルプトでソフトはzbrushを使って人物フィギュアを作りたいって場合、そのケースだけでもチュートリアル動画は多数ある。たとえば、こんな具合だ。
複数見て自分に合う動画を見つけるといいと思う。3Dに関しては文字の説明より、動画の方が分かりやすい。
・全ての機能を使おうとしなくていい
どうしてもいろんな機能を使いたくなってしまいがちだが、実際のところ、たいていのものは最低限の機能だけでつくることができる。便利そうだからと色々と覚えようとしてしまうと逆に混乱してしまうんだ。
だから、まずは基本の機能だけをつかって好きなものを完成させてみるのが大事だと思う。テクニカルなことに挑戦するのは、もうちょっと先でも遅くない。変に気合い入れすぎると逆にやる気が続かない。
モデリングの上では「やる気が出ない」というのも結構大きな問題である。最初はいかにシンプルに、いかに単純な作業のみで作るかが肝心だろう。
・ネット検索をうまく使いこなそう
モデリングをはじめて間もない方の中には必ず同じところでつまずいてしまうという方も多くいるはずだ。チュートリアルも万能ではない。そうしたとき、ネット検索の力が問われることになる。自分が必要な情報を必要な形でゲットする力が肝心だ。
ただ、ここにも一つ難点がある。日本語圏はいまのところ、3Dモデリング情報においてはまだまだ十分に整っているとは言えない。有用性の高いサイトは英語のものが多く、これもまたつまずきのポイントになっている。
google翻訳やみらい翻訳などの翻訳ツールをうまく使って、必要な情報にアクセスするのがよいと思うぞ。とにかく情報収集はこれに尽きる。翻訳ツールも今はすごい精度が高い。英語力がなくてもツールを使えば問題なく英文のサイトも読めるくらいには向上してる。積極的に英語検索してみてほしい。
・ソフトが合わない時はソフトを変えよう
こちらはシンプル。色々と試してみたものの、なんかイマイチ使い勝手が悪いな、よく分からないなと感じたら、違うソフトをつかってみるのがいいだろう。前編でも説明したように、スカルプト、ポリゴンモデリング、CAD、どの方法でモデリングをするかによっても、適性が全く違う。自分の用途、目的に一番見合ったソフトを見つけるのが上達への近道なんだ。
たとえば美少女フィギュアの「顔」パーツを作る上で
ここまで3Dモデリングのつまずきやすいポイントを見てきたわけだが、最後に実践編として、もうちょっと具体的な目的に沿ったアドバイスをしてみよう。ここでは「美少女フィギュア」の制作における顔パーツのモデリングについて取り上げてみたい。
作り手にとって最大の悩みとしては、自分が作りたい美少女キャラクターになかなか「顔が似ない」という問題だろう。顔は美少女のアイデンティティ。思い描いた顔を作りたいのは当然だ。その上でいくつかポイントをまとめてみた。
・曲線がなめらかであること
美少女の大事なポイントは、とにかく曲線がなめらかであること。なるべく少ないポリゴン数で始め、なめらかさをくずさないように形をつくっていこう。そして、無駄に触りすぎないことが大事だ。形の変形はなるべく一発で決めること。気にいるまでなんどでもやり直せるのがデジタルの利点だ。
・よく観察すること
うまく形がつくれないという場合はとにかくモデルをグルグルまわしてよく観察するのがいいだろう。カメラを引いてシルエットを見よう。初心者は細かいところにこだわりすぎて全体のバランスが見えなくなりがちだ。
・ラインの角ばりに注意
ラインが角ばりすぎているというのも割とよく見がちだ。顎がとがりすぎ、鼻筋が通り過ぎ、頬が平面すぎてこけて見える、などなど。少女において柔らかさは命。絵では尖っているようにみえても、立体では丸みがあるはずだ。
・やり直す勇気を持とう
うまく造形できない場合、時にはゼロからやり直す勇気も必要だ。初心者ほど「せっかくここまでつくったから…」と、いつまでも失敗作を触り続けてしまい、前に進めなくなりがちだ。
・正面だけじゃなく斜めからの角度も大事
正面は似ているが横や斜めからの角度が似ていない、というのもありがちだ。イラストは大抵一つの角度しかない。複数の角度からのイラストがあっても、そこには必ず2Dの嘘があり、立体としては正しくないことがほとんどだ。絵を重ねて完全に一致していることよりも、絵からうける印象と、3Dモデルからうける印象が同じであることが大切だ。2Dを3Dに「翻訳」する意識で臨もう。
・好きなフィギュアからスタイルを学ぼう
そのキャラクターの魅力をいかに表現するかがモデラーの腕の見せ所。美少女フィギュアはリアルの人間の骨格とはちがうので、目をどう表現するか?鼻は?頬の形は? など、表現のしかたはそれぞれのスタイルであって、正解というものがない。既存の好きなフィギュアをよく観察して、元の絵をどう解釈して表現しているのか学びとり、スタイルを取り入れよう。
・必ず最後に愛は勝つ
色々と書いたが、最終的には「自分こそがこの子を一番うまくつくれるんだ!」という愛が大事だ。2次創作のフィギュア制作は至高の愛情表現だ
是非とも参考にしてほしいポイントばかりだ。もちろん、どんなモデリングにおいても作るものに対する情熱は欠かせない。前後編で紹介したようなアドバスをもとにハードルを乗り越え、皆さんも3Dモデリングに挑戦してみてほしい!