3Dプリンターでは何を作れるの? ジャンル別にまとめてみた
3Dプリンターを買ってはみたものの何を作ればいいか分からない
低価格で高性能な機器の登場により、ますます一般層への普及が進んでいる3Dプリンター。「最近ようやく3Dプリンターを初めて購入してみたんだ」という人もまだまだ多いのではないだろうか。
せっかく3Dプリンターを購入した以上、どしどし使わなければもったいない。しかし、ノリに任せて3Dプリンターを購入してはみたものの「一体これで何を作ればいいんだ?」と迷われている方もいると思う。3Dプリンターで作ることができるものは数多く、それゆえに逆に迷ってしまうというわけだ。
もちろん、自分にとって必要なものを必要な時に出力すればいい(これぞ3Dプリンターの理念でもある)わけなのだが、とはいえ、3Dプリンターの扱いに慣れていく上では、やはり最初のうちは色々なものの出力にトライしてみたほうが上達も早い。
では、出力物がなんでもいいのかと言えば、全く使うあてのないものを出力してしまったのだとしたら、これはちょっともったいない気がする。素材を購入するのにだってお金がかかるのだ。無駄遣いはなるべく避けたいものだろう。
そこで今回は、「最近3Dプリンターを買ってはみたものの何を作ればいいか分からない人」に向けて、3Dプリンティングの練習として「もってこい」であり、かつ日常生活の役に立ちそうな「もの」をピックアップしてご紹介したい。
3Dプリンターで作れるもの:日用雑貨7選
スマホケース
ほとんど全ての人が日常的に使っているアイテムといえばスマホだ。ただ、スマホは変えるごとにサイズが変わってしまい、その都度、ケースを新調しなければなならなかったりもする。また日常的に目につくということもあってか、スマホケースは3Dプリンターのライトユーザーにとって、大変ポピュラーな出力品となっている。
簡単に作れるので副業的に販売している人も!
サンダル
複雑な構造のスニーカーを作るのは難しいけど、サンダルならば割と簡単に3Dプリンターでもつくることができる。デザイン力がある人なら、他の人とは違う個性的なデザインのサンダルに挑戦してみも面白いかもしれない。
上の動画は3Dプリントサンダルを提供しているRecreus Sandalさんのもの。自宅等での3Dプリントを可能にするため、thingiverseからもstlデータがダウンロード可能になっている。
コースター
自宅にいくつあってもそれほど困らず、かつ実際に使用することができる日用雑貨といえば「コースター」だ。シンプルなデザインのものならモデリングの初級練習にもちょうどいい。もちろん、複雑な文様をあしらったオリジナルコースターをつくるのもありだ。
上の迷路型コースターはデータ配布サイトで公開されていたもの。コースターで検索してみるとみんなの様々なアイディアを見ることができる。
歯ブラシ立て
意外とあると便利なのがこの「歯ブラシ立て」。普段、雑貨屋さんであえて買おうとはしない雑貨筆頭でもある。構造もシンプルなため練習にもちょうどいい。
慣れてきた人は下の動画に倣って歯ブラシそのものを出力してみるのもありだろう。
花瓶
プラスチック製の花瓶はまず割れないという点で非常に便利。インンテリアとしても機能し、かつ3Dプリンターならではの造形に挑戦することもできる。こだわろうと思えばとことんこだわってつくることもでき、初級者から上級者まで、楽しむことができそうだ。
お店で買ったら逆にめちゃくちゃ高価そうな奇抜なデザイン!
箸置き
こちらもコースター同様、数あっても困らない日用雑貨だ。シンプルなものであれば、それこそ3Dプリンターを購入して最初の出力にもちょうどいいかもしれない。デザイン性の高い箸置きを作れたなら、友人へのちょっとした贈り物などにも喜んでもらえるだろう。
こちらは木質フィラメントを使用した木目調の箸置きの制作動画。まるで木工職人の工芸品みたいだ。
ペン立て
ペン立てもまた3Dプリンターでよく作られている雑貨の一つだ。元がシンプルな構造だけに、リボルバー型のペン立てや、漢字を造形的にあしらったペン立てなど、作り手の創意工夫のなされたオリジナルペン立てもある。ぜひ、誰も見たことがないような、独特なペン立て作りに挑戦して欲しい。
下の動画は3Dスキャナーを使って自分ペン立てを制作したという方の動画。実に独創的だ。
メガネ
3dプリンターではメガネだって作ることができる。軽くて強度も高い新素材として注目されており、日本にはまだ普及率も低い状況ではある。 しかし、各メーカーで製造が開始されていることもあり、今後は一般的に販売される可能性も十分に考えられる。
ハンコ・スタンプ
ハンコやスタンプを3Dプリンターで作ることも可能だ。とくに光造形3Dプリンターは、ハンコやスタンプ作りに適しており、滑らかで高精細な造形ができる点や平面のXY解像度も高く、ハンコやスタンプに求められるような均一性も再現することができる。
入れ歯
入れ歯を3Dプリンターで作ることは難しいと思うだろう。しかし、そんなことはない。 既に産総研などが3Dプリンターで入れ歯を作成する方法を開発している。3Dプリンターを使って直径50マイクロメートル以下のコバルトクロム合金粉末をレーザーで加熱して溶かし、幾層にも重ねていくことで入れ歯を作り上げることができる。 また、フリープリント デンチャーなど3Dプリンタ用樹脂を使用することで、短時間で精度の高い入れ歯を簡単に作成することができる。
時計
3Dプリンターを使って時計を作ることも可能だ。例えば、3Dプリンターを使って機械式時計のムーブメントや高級時計のケース部分を作ることもできる。 ただし、3Dプリンターで作った時計は、耐久性に欠ける場合があるため注意が必要だ。
3Dプリンターで作れるもの:フィギュア編
フィギュア
3Dプリンターで作れるものと言えば、やはりフィギュアだ。好きなアニメキャラやオリジナルキャラなどを手軽に作成することができる。 3Dプリンターでフィギュアを作るには、機器や材料だけでなく、3Dデータを用意する必要がある。しかし、3DCADや3DCGソフトを使えない方でも、3Dモデルのダウンロードサイトや、初心者でも扱いやすいソフト、3Dスキャンサービスを利用することができる。 SK本舗の初心者向け導入セットは、口コミにおいても「簡単にフィギュア出力ができた」と評判だ。
https://skhonpo.com/products/sk-3dbeginnerset1
プラモデル
3Dプリンターを使ったプラモデル作りも人気だ。特にガンダムシリーズのキャラ作りの様子をYouTube動画で公開している方も多い。他にもレトロな車や戦闘機を1/700のサイズで作成していたりと楽しみ方も様々だ。
鉄道模型
NゲージやTTゲージなど好きな車両を3Dプリンターで作成することも可能だ。 3Dプリンターには「熱溶解積層法」や「光造形方式」などのさまざまな方式があるが、鉄道模型を作る場合は光造形方式の3Dプリンターを購入することをおすすめする。 他にも信号や鉄橋など細かな構造パーツも作成でき、3Dデータをダウンロードすることで、モデル作りも含め3DCADが操作できない初心者でも気軽に始めやすいと言える。
自動車模型
これまでにさまざまな自動車模型が製造・販売されているが、欲しい車両の模型が販売されていないケースもある。そんな時に3Dプリンターがあれば、欲しい車両の模型を自作することができる。 もちろんスープラやスカラインなど人気車両をオリジナルの形で作成することも可能だ。
建設模型(家など)
3Dプリンターで建設模型を作る方法の特徴は、手作りの模型よりも正確な形状を再現することができる点だ。 また、3Dプリンターで建設模型を作ることで、建築物の外観や構造をより詳細に確認することができる。 さらに、3Dプリンターを使用することで建築物の内部構造や配管などの細かい部分まで再現することができるため、3Dプリンターで家を作り販売する業者も増えているほどだ。
ジオラマ
3Dプリンターを使ったジオラマ作りの特徴は、非常に高精細な造形が可能である点だ。3Dプリンターと3Dスキャナーを使用すれば、忠実に再現することができる。 また、熱で溶かした樹脂を用いる「熱溶解積層法」か、紫外線の照射によって硬化するレジンを用いた「光造形法」を選ぶことができる。
仏像
3Dプリンターで仏像を造形することも可能だ。 和歌山県では、仏像の盗難が多発していることから、和歌山工業高校の生徒が3Dプリンターでレプリカを作成し、本物は博物館で保管、レプリカを寺で公開する「お身代わり仏像」に力をいれている。
3Dプリンターで作れるもの:ファッション編
アクセサリー
3Dプリンターを使用して、オリジナルのデザインで自由にアクセサリーを作成することができる。従来の製造方法では実現できなかった複雑な形状やデザインを実現することも可能となった。 3Dプリンターで金属アクセサリーを作る場合、3Dプリンターで出力された原型を鋳造することが一般的だ。鋳造には、金属粉末を使用する「金属粉末焼結法」や、レーザーによって溶接する「レーザー溶接法」があるため、金属製のアクセサリー作りに必要な3Dプリンターや材料を揃える必要がある。
ドレス
海外では、ドレスを3Dプリンターで製造されている。3Dプリンターでドレスを製造することで、より正確な形状、厚み、動きを表現することができる。 3Dプリンターを使用して製造されたドレスはファッションショーでも目にする機会が増えており、今後のファッションショーには必要不可欠なものとなるだろう。
3Dプリンターで作れるもの:部品編
ネジ
3Dプリンターを使用して作成されたネジは、従来の製造方法で作成されたネジと同様に使用することができる。ただし、3Dプリンターで作成されたネジは、従来の製造方法で作成されたネジよりも強度が低い場合があるため、活用できるシーンは限られる。
パーツ
3Dプリンターを使用して作成されたパーツは、ネジと同様にさまざまな用途に活用することができる。ただし、金属などのパーツに比べると強度が低い場合があるため、こちらも活用できるシーンは限られる。 とはいえ、プラモデルのパーツや自動車の部品などにも代用することができる。
金型
金型はプラスチックや板金などの加工には欠かせないが、1つ製造するにも100万円を超えるものは珍しくない。 しかし、3Dプリンターで樹脂金型を作成することにより、コストを大幅に削減することが可能となる。本来、金型は完成までに1ヶ月以上かかることも珍しくないが、3Dプリンターの場合はデータを作成できれば樹脂金型が完成するまでに1日から数日と非常に早いため、短期間で量産に取り掛かれるのは大きなメリットだ。
3Dプリンターで作れるもの:医療器具編
デンタルモデル
口腔内スキャンにより、3Dプリンターで歯列模型やインプラントガイドなどを作成することが可能だ。多くの病院ではスキャンまではできるが、具現化まではできていない。この具現化を3Dプリンターが可能とし、本来歯形をとって外注化する工程を削減しするなどのメリットが魅力だ。
マスク
3Dプリンターでマスクを作ることも可能だが、マスクの作成にはデータが必要だ。しかし、現在はモデルデータを公開しているサイトも増えているため、そのモデルデータを利用することで初心者でも簡単に3Dプリンターでマスクを作成することが可能だ。 新型コロナウイルス感染症などマスクの重要が高まり、品薄になった時には3Dプリンターの出番がくるだろう。
義足
義足まで3Dプリンターで作ることが可能だ。 フィリピンでは義足が約40万円と高価な物であり、平均月収が日本よりも低いため気軽に購入することは難しい。しかし、3Dプリンターを使用することで価格を約1/10まで抑えることに成功している。 このように、3Dプリンターのメリットを活用することでコストを大幅に削減することが可能となる。
3Dプリンターで作れるもの:アウトドア編
ルアー
3Dプリンターでオリジナルルアーを製作する際には、FFF(熱溶解積層法)方式の3Dプリンターがおすすめだ。 価格もリーズナブルであり、高温にも強いABS樹脂も使用できる。 サイズや形状も簡単に調整して作成でき、市販にはないオリジナルルアーでシーバスやヒラマサなどを狙うことができるのも魅力だ。
自転車のサドル
自転車のサドルは、既に3Dプリンターで製造された「フィジーク ANTARES VERSUS EVO R3 ADAPTIVE」や「スペシャライズド S-WORKS POWER WITH MIRROR」などの商品が販売されている。液体ポリマーを使用することで緩衝効果があり、ロードバイクのサドル特有のお尻の痛みが軽減されると評判だ。
上達のためには「1に出力、2に出力」
いかがだっただろうか。3Dプリンター上達の道は1に出力、2に出力。経験値こそが技術を磨く上での最も大事な要素だ。
いま特に出力したいものがない、という方は、試しにここに挙げた雑貨の出力に挑戦してみてはいかがだろうか。暮らしのほとりに自分でつくったものが溢れているというのは、とても豊かなことだ。
皆様の「ものつくり」ライフに幸あらんことを。