3Dプリンターって何?
3Dプリンターって何?
1. 3Dプリンターとは何か?
3Dプリンターは、デジタルデータを基にして物理的な3次元オブジェクトを作成するデバイスです。これは、コンピュータ上で設計した3Dモデルをリアルな物体に変えることが可能です。プリンターは特殊な材料を薄い層に印刷し、それを何百もの層に重ねることで立体的な形状を作り出します。この技術は1980年代に初めて登場し、今日ではプロトタイピングから製品製造まで、さまざまな産業で広く活用されています。
2. 3Dプリンターの仕組み
3Dプリンターは一般的に「積層」プロセスを使用して3Dオブジェクトを作成します。このプロセスは、特定の材料(プラスチックや金属など)を薄い層に分解し、それらを一層ずつ積み上げて最終的な形状を作り出します。データは3Dモデリングソフトウェアで設計され、それが3Dプリンターに送られ、物理的なオブジェクトとして出力されます。
3. 3Dプリンターの仕組み
後ほど別のページで詳述しますが、主要な3Dプリンターの種類には、FFF方式、(FDM方式とも言います)、SLA方式(ステレオリソグラフィー)、DLP方式、LCD方式、SLS方式(セレクティブ・レーザー・シンタリング)、SLM方式などがあります。これらはそれぞれ異なる技術と材料を使用します。
4.プリンターで印刷出来るもの
3Dプリンターは、プロトタイピング、製品設計、医療、建築、教育、芸術など、さまざまな分野で活用されています。さらに、3Dプリンターはカスタムパーツや独自のデザインを製造するためのツールとしても使用されます。産業界では、製品のプロトタイプを製造したり、カスタムパーツを作成したりするために3Dプリンターが使用されます。教育分野では、生徒が3Dモデリングやエンジニアリングのスキルを磨くためのツールとして活用されます。医療分野では、個々の患者に合わせた医療器具や義肢、人工骨などを製造するために使用されます。また、芸術家たちは独自の彫刻や装飾品を作成するために3Dプリンターを使用します。
家庭用3Dプリンターではフィギュア・模型等のホビー系やジュエリー、部品・治具、便利な小物などを印刷することができます。また、業務用の大型3Dプリンターや金属プリンターを使用すると家を印刷できたり、金型や自動車の部品などを印刷できたりします。
そして3Dプリンターには印刷するにあたり様々な材料が存在します。家庭用3Dプリンターであれば基本的にプラスチック樹脂(レジン・フィラメント)ですが、チョコレートを印刷できたり、特別な業務用の3Dプリンターだと金属(チタンやアルミニウム等)や繊維、バイオ系素材などを材料に印刷することもできます。
そのため現在は家庭だけでなく製造業、医療歯科業、健康医療産業、ハイテク産業、アパレル産業などでも幅広く利用されています。また、今後は化石を復元したり、考古学における重要建築物の再現、犯罪科学における骨や身体の復元や、犯行現場で採取した大きく損傷した証拠を復元することも可能になると言われています。つまり3Dプリンターは、形さえわかれば何かを作成するだけでなく、過去を再現することも可能なのです。3Dプリンターは様々な可能性を秘めています。
5. 3Dプリンターを使用するメリット
3Dプリンターには多くのメリットがあります。それらは時間とコストの節約、複雑な形状の製造能力、カスタム製造の容易さ、環境にやさしいなどです。また、作りたいものをすぐに作れる、閃いたデザインをすぐに現実のものにできる手段としては最善となります。
(1)迅速なプロトタイピング: 伝統的な手法でのプロトタイピングは時間と費用がかかりますが、3Dプリンターを使用すれば、デザインを直接3Dモデルとして出力することができます。この短縮された製造サイクルは、製品開発プロセスを大幅に加速します。
(2)コスト効率: 3Dプリンターは一部品から数百部品までの小ロット生産に非常に効率的です。これは伝統的な製造方法と比較して大幅なコスト削減をもたらします。材料の廃棄が少ないため、材料コストも節約されます。
(3)複雑な形状の製造能力: 3Dプリンターは、内部構造を含む非常に複雑な形状も印刷できます。これらの形状は、伝統的な製造プロセスでは作成できないか、または非常に高コストとなるものです。
(4)カスタム製造の容易さ: 3Dプリンターは、個々の顧客のニーズに応じて製品をカスタマイズするのに理想的です。これは、身体に合わせて作られた義肢や歯科用具、パーソナライズされたジュエリーなど、さまざまな用途に利用できます。
(5)環境にやさしい: 3Dプリンターは、"必要なだけの"材料を使用するため、材料の消費と廃棄物を最小限に抑えます。また、デジタルデザインと直接製造の組み合わせは、製造に伴う輸送やストレージの必要性を減らすため、環境負荷を減らす可能性があります。
そしてなんといっても、3Dモデリングや3Dスキャナーで作りたいもの、欲しいものを即座にご自身で製作できるという強みが3Dプリンターにはあります。
6. 3Dプリンターのデメリットや注意点
3Dプリンターは非常に有用なツールですが、完全に問題がないわけではありません。高品質の3Dプリンターは非常に高価で、維持と材料のコストもかかります。また、3Dプリンターを操作するには特定のスキルや知識が必要となり、操作が複雑なものもあります。オペレーションスキルが重要になってきます。
さらに、長時間の印刷時間や出力品質のバラつき、限定的な材料の選択肢なども問題となり得ます。また、出力した作品には知的財産権の問題や、例えば拳銃の製造など安全性の問題も考慮しなければなりません。
7. 3Dプリンターで本格的に印刷するためには
3Dプリンターを使ってどのようにプリントアウトするのでしょうか。
2Dプリンター、いわゆる日常で使用するプリンターはまず紙をセットし、コピーしたいものをスキャンして印刷します。またはPC等から印刷したいデータをプリンターへ送って印刷します。
実は3Dプリンターも同様のことを行っています。プリントアウトしたい3次元の物質をスキャンしてデータ化し、それを印刷します。もしくはPC内で3Dのデータを作成し印刷します。
3Dプリンターは印刷するデータ、いわゆる3Dモデルを作成するにあたりCADといったソフトウェアを利用して自身でデザインする必要があります。この自身でデザインすることを「モデリング」と言います。
モデリングを簡単にするために3Dスキャナーというものが存在しますが、残念ながら現在は2Dプリンターのようにさっとスキャンしてそのまま印刷できるようにはなっていません。スキャンした後に多少CADなどでデータを整える必要があります。しかし、行っていることは本質的には2Dプリンターと同じです。
ちなみに、この3Dスキャナーの値段がピンからキリまであり、業務用だと高額ですが近年は業務用に匹敵する性能を持ちながら個人でも手の届きやすい3Dスキャナーが登場してきました。
【参考】SK本舗取り扱い3Dスキャナー
さらに、すでに誰かがモデリングしたデータを使ってプリントすることも可能です。データは無料で使用できるものから有料のものまで様々です。まずは誰かにモデリングしてもらったデータを使用して3Dプリンターに慣れることから始めるのも1つの手です。段々と自分で工夫したい点などが出てきたらモデリングを勉強してみるのはいかがでしょうか。
3Dデータに関しては下記よりダウンロードできるサイトを紹介しています。
Appendix: 具体的には以下のステップで3Dプリントします。
モデリング(設計): 最初のステップは、印刷したいアイテムの3Dデザインを作成することです。これは、CAD(コンピュータ補助設計)ソフトウェアを使用して行われます。具体的にはFusion360、Zbrush、Blender、3DCADなどのソフトがございます。
モデルの準備: モデリングが完了したら、その3Dモデルを3Dプリンターが理解できる形式に変換する必要があります。通常は.STLや.OBJといった形式が使用されます。
スライシング: 次に、3Dモデルを薄い層に"スライス"します。これは、3Dプリンターが一層ずつオブジェクトを作成するために必要なステップです。スライシングは専用のソフトウェアを使用して行われ、各層の印刷パス、充填パターン、印刷速度などを設定します。
印刷: スライシングが終わったら、データを3Dプリンターに送信し、印刷を開始します。3Dプリンターは指定されたパスに従って材料を積層し、時間の経過とともに3Dオブジェクトを形成します。
後処理: 多くの場合、3Dプリンターから取り出した直後のオブジェクトは完成品とは言えません。サポート材料の除去、洗浄、二次硬化、表面の研磨(光造形機ではほとんど必要なくなってきています)、塗装、または他の仕上げ処理が必要になることがあります。
検証: 最後に、業務用の製品である場合は、設計仕様を満たしているかを検証します。これは、寸法の測定、形状の検査、または必要に応じて強度や機能のテストを含むことがあります。
3Dプリンターがもたらす未来
現在も様々なものを出力できる3Dプリンターですが、今後その技術がより発達したらどうなるのでしょうか。
金属、ガラス、生体材料、さらには食品までもが印刷可能な材料として開発されています。4Dプリンティングと呼ばれる新しい分野も登場しており、これは時間の経過とともに形状や機能を変える材料を使用します。
さらに、大規模なプロジェクトに対応するための大型3Dプリンターの開発も進められています。これにより、建築物や自動車部品などの大型アイテムの製造が可能になります。一方で、より小型で安価な3Dプリンターの開発も進んでおり、個人や小規模ビジネスでも手軽に3Dプリントを活用できるようになるでしょう。
このような技術革新とともに、3Dプリンターはさらに多くの産業で利用されるようになるでしょう。これらの進歩は、製造業の未来を形成し、我々の生活に新たな可能性をもたらすことでしょう。
また、現在まだ普及はしていませんが、指定した色と素材でアウトプットできる3Dプリンターというのも既に存在しています。使用者のその時々の用途に応じて様々な材質、デザイン、形状のものをプリントできる多目的3Dプリンターです。技術の進歩によりそのような多目的3Dプリンターが現在の2Dプリンターのように各家庭に普及したら、商品を買うのにお店に行く必要のない時代になるかもしれません。
現在はオンラインで商品を販売しているため店舗を持たないお店が存在します。しかしSCM(Supply Chain Management)を導入し、需要に合わせて商品を製造したとしても、最終的には在庫をストックする場所が必要です。
もし多目的3Dプリンターが普及する時代が来たら、業界によっては在庫も店舗も存在せず、商品のデータのみを売って、PC間のみで商品取引が完了する時代がやってくるかもしれません。
【参考】明日、僕たちは世界を「出力」する──3Dプリンターの普及は“大量生産大量消費”時代を終わらせるか|SK本舗・遅沢翔インタビュー①(HAGAZINE掲載)
もし必要な商品を自身で3Dプリンターからプリントアウトできるようになったら、廃棄物の削減やエネルギーの消費量削減など間違いなくSDGsに貢献できます。必要なものを必要なときに必要なだけプリントする時代の到来は未来を担う我々にとって非常に重要です。
まとめ
新しい技術が発明されたというニュースを聞いたとき、これは何に使う技術なのだろう? と思うことはないでしょうか。3Dプリンターについても、それが何に役立つ技術なのかピンと来ていない人もいるはずです。
今回の記事で、3Dプリンターではどのようなことが出来て、3Dプリンターを使いこなすためには何を勉強すればよいのか、大体わかって頂けたかと思います。しかし、これはあくまでも現時点での話です。この勉強シリーズを読んで「こんな使い方が出来るのでは!」と画期的なアイデアを発見し、それを元に新しいビジネスを始めてもらえるようなことがあれば、弊社冥利に尽きます。
新しい未来を一緒に築いていきましょう!