KFCが動物性たんぱく質から作る3Dプリント・ナゲットを開発中

 

礼に始まり礼に終わる。どうも、合氣道初段、SK広報のエリナです、おすおすっ!

バイオ3Dプリンターによる食用人工肉プリンティングの先端情報については、SK本舗でも以前から関心を持って取り上げてきた。まだまだ一般化には至っていないものの、その精度の向上は日進月歩。昨年にはイスラエルのアレフ・ファームズ社が宇宙空間での人工肉の培養に成功して話題となったが、バイオ3Dプリンターでの人工肉プリントが一般化すれば、一般家庭においても、必要な時、必要な分だけ、肉をプリントできる日が来るかもしれない。

そうした期待が渦巻く中、この度、ついにあの大手ファストフード・フランチャイズであるケンタッキーフライドチキン(KFC)が、3Dプリントでのナゲットのプリントテストを始めていることを発表 した。

 

画像引用:KFC

 

KFCによれば、 ロシアのバイオ3Dプリントの研究開発機関である3D Bioprinting Solutionsとの協力のもと、現在、3Dプリント・ナゲットの開発が進められているという。フライドチキンの代名詞的な存在であるKFCだ。当然、生半可なものは作れないだろう。目指されているのは、本物の鶏肉の食感と味の再現である。

以前ご紹介したイスラエルのベンチャー「Redefine Meat」社のバイオプリント人工肉や、Novameatの「Steak.2.0」などは、いずれも主に植物性タンパク質を合成し、肉そっくりの食感を再現することを目指したものだった。しかし、どうやらKFCは動物性タンパク質を使用している らしい。

 

画像引用:Redefine Meat

 

すると本来、バイオ3Dプリント人工肉技術が見据えている食糧問題のソリューションには繋がらないのではないか、とも思ってしまうが、KFCによれば、たとえ動物性タンパク質を使用していても、従来の鶏肉からの生産より環境に優しい商品になるそうだ。また、従来よりも少ない添加物で作ることができるため、食べる人の健康にとってもクリーンな食品になるらしい。

チキンといえば、今年の4月に中国のマクドナルトが「5Gチキン」を発表して話題となった。結局それは中国マクドナルドのちょっとしたジョークで、実際に5G技術で作られたチキンが存在したわけではなかったのだが、KFCの方はどうやら本気の様子。詳細はまだ不明とはいえ、来年にも店頭に並び始めるのではないだろうかと期待している。

 

 

環境に優しい「肉食」のあり方とは何か

 

ところで、いまや「環境に優しい」はマーケティングにおいて欠かせない要素だ。さすがはKFC、時代の空気を敏感に捉えているその嗅覚が素晴らしい。

実際、2050年に世界人口は約93億人まで増えるということが予想されている。そうなった時、仮に人類の全員が現在のアメリカ風の肉中心の食生活をした場合、2014年に生産された肉の約4.5倍が必要になると言われている のだ。もともと肉食というのは経済効率が非常に悪く、たった1kgの(ケンタッキーはチキンだが)牛肉を育てるためにも、牛に与える食物は13kg、水は14000ℓが必要とされる。

 

 

さらに、牛が出すメタンガスをはじめ、畜産によって発生する温暖化ガスは、人間社会全体が出す温暖化ガスのうち14.5%を占めており、これは車や飛行機など人間が使用している交通機関が排出している温暖化ガスを足し合わせたものと同じくらいである。そういう意味で、「肉食」は環境負荷が非常に高い。ただでさえ気候変動が叫ばれる今日、「脱肉食」が単に綺麗事としてではなく、人類生存のための必要条件として語られ始めている のだ。

そうとはいえ、一度知った「禁断の果実」を止められるかと言えば、簡単じゃない。どんなにダメだと分かっていても「お肉を食べたい」と願ってしまうのが、私たちイブの末裔の宿命だろう。もちろん、現在ではヴィーガンやペスカタリアンなど、多様な食のスタイルが実践されてはいるが、世界から「肉食」を完全に抹消するということはやはり困難だし、最低でも数万年間は続いてきた食肉文化をここで完全に終わりにしてしまうというのも、一抹の寂しさがある

だからこそ、環境負荷が低く、かつ美味しい「人工肉」の存在に期待が集まっているというわけなのだ。そして、その際、3Dプリンター技術が鍵となるのであれば、その技術の振興の末端にいる一人として、これ以上ない幸いである。

というわけで、今後もバイオ3Dプリンターと人工肉の動向には注目を続けていきたいと思う。以上、ケンタッキーの新たなる挑戦について、広報エリナでした。