SK本舗導入事例 #8多摩美術大学メディアセンターstudio fabCAVE様
【3Dプリンター】ユーザーズボイス
#8「多摩美術大学メディアセンター studio fabCAVE」様
youtube チャンネルより一部抜粋(記事用に一部文言を文語に修正しております) :https://www.youtube.com/watch?v=h9kTyWt5FwM
多摩美術大学内メディアセンター内には学生が自由に利用できる施設「studio fabCAVE」があります。施設内には光造形式、FDM方式の各種プリンターがあり学生は少額の材料費を支払うことで出力を代行してもらえます。
今回は、studio fabCAVEの運営をされている村穂様や実際にサービスを利用している学生さん方にお話を伺いました。
※メディアセンターではデザイン研究の一環として、Macを中心に
古いコンピューターをコレクションしています
Chapter1.studio fabCAVEとは
[まずは、studio fabCAVEを運営している村穂様にお話を伺いました。]
ここは2020年に新しくできた施設で、学生に3Dプリンターの体験をしてもらうというという、新しい施設になっています。
フィラメントを出す熱積層式と、レジンを固める光造形の2種類の機器を揃えています。
各学科を問わず、メディアセンターとして(学生は)自由に利用できる施設になっております。
データさえ持ってきてもらえれば、どんな色で出したいとか、どんな素材で出したいとかを相談して出力する場所になります。基本的には、データをもらってサポート材を付けて出力する、という作業をこちらでしています。
イメージ的にはホームセンターでおじさんに図面を渡すと木の板を切ってくれる、みたいな感じの作業をしています。
使ったことのない学生さんが来ると、エラーが多いデータがくるので、それを直しつつ、失敗のなるべくない出力ができるようにしています。
[studio fabCAVEにはSK本舗取扱いの「Phrozen Sonic Mini」など小型の機種が7台、そして大型の「Phrozen Shuffle XL」を2台導入頂いております。
◆機種の選定理由
光造形は時間がかかるので、台数を揃えたかったというのがあります。
モノクロの液晶を使っていた「Sonic Mini」が当時一番早かったので、出力が。
そこで、SK本舗さんでいろんなバリエーションで売ってるのを見つけてお願いしました。
同時に、大きめなプリントもできる「Phozen Shuffle XL」を2台導入させていただいて、
小さくてもいいから早く出したいという需要と、時間がかかっても大きいのを出したいという需要をうまく振り分ける形になっています。
◆導入にお勧めの機種は
一番導入しやすいのは「Phorozen Sonic Mini」だと思います。
実際、解像度的には4Kとか8Kが出ましたけれど、実際に作ってみると、2Kでも十分細かくてきれいですし、ピクセルの開口が大きいので失敗が少ないんじゃないか、というのはあります。
初めて使うに際しては、安価であるということもありますけれど、本当に失敗が少ないので、安定性があるものがいいんじゃないかと思います。
◆学生の使用目的
基本的には講評で使う、授業で使いたい、というのがメインであります。
その他に、自分の個展で展示するものを作ったり、本当に趣味で、3Dプリンターで自分で作った人形を出したり、という人もいるので、メインは授業なんですけれども、自由利用ができますよ、というところで自分の使ってみたい、という事で使える施設になってるんじゃないかと思います。
◆モックと完成品、どちらの出力が多いか
両方だと思います。
授業の中でも講評の前段階の先生とのやり取りでモックを使って、そのモックがOKならば、それを完成品にリファインしてっていう感じの使い方をする人もいれば、いきなり完成品(のデータ)で持ってくる人もいるので、どっちが多いというのは特になくて、両方をみんな使い分けてるって感じにはなりますね。
結構まんべんなく来ていまして、日本画、油画、版画、彫刻、工芸、ファイン系ですね。あとはプロダクトデザインの子もいれば、情報デザイン関係もかなり来ています。こないだまで、テキスタイルの子が全然来ていなかったんですけど、最近一人来てくれて「やったら面白い!」って言って結構リピーターで来てくれるようになりました。
◆利用料について
材料費はほぼ原価でとっていて、利益が出るような感じではないですね。
実際に出力したものを測りにのせて、これはグラム5円の材料、これはグラム10円の材料っていう感じで経理を通して入金するようになっています。
現状、外部に委託するよりもかなり、1/10から1/100くらい安い状態なんですよ。
そういった意味では、その材料費を負担してもらうことで、うまくサイクルが回るような感じで施設が運営できるように考えています。
[レジンは「SK水洗いレジン」や「SK高靭性水洗いレジン」をメインにご利用いただいています。ゴムライクレジンやキャスタブルレジンは要望に応じて使用されています。]
◆水洗いレジンの使用感について
SK水洗いレジンは、使用感はすごい素直なので、使ってて失敗が少ない、安心感がある感じですね。SK高靭性水洗いレジンの方は強いからか、フィルムに貼りつくときがたまにあるのでそこらへんがちょっと、難しいかなと思います。ただやっぱり、強いのでできる限り使っていきたいなと思っています。
洗浄に関して、SK高靭性水洗いレジンはよく洗わないと表面に残り気味なので、そこらへんは新しい洗浄剤が出ましたので、それを使って試してみたいと思います。
◆導入を検討されている方へメッセージをお願いします
やはり、3Dプリンターというものはコンピューターの中にある、いわゆる架空のものが現実の世界に出てくる装置なので、今本当に黎明期、できたての機械です。
使えるのかな、とかそこまで必要ないんじゃないかな、という躊躇するところがあると思うんですけれども、昔のコンピューターにプリンターが付いたりディスプレイが付いたりしたように、3Dプリンターって将来的に標準の機能になると思います。
特に学校では生徒にその可能性を伝えることが重要だと思っています。
[studio fabCAVEで実際にプリンターを利用している学生様4名にお話を伺いました]
Chapter2.学生インタビュー
【学生インタビュー①】
情報デザイン学科情報デザインコースの大久保樹 3年生です。
学校ではいろんなことやるんですけど、WEBデザインとかプログラミングとか、それこそコマ撮りアニメーションを作ったりとか、いろんなメディアを通した表現を研究する学科で、いろんなことをやってます。
◆studio fabCAVEで出力したもの
ボードゲームを、今ルールを含めて作っていまして、こういう小さいプレイヤーが使うコマとか、フィールドのジオラマ的な細かいところを3Dプリンターで作っています。
このボードゲーム自体は「遊びのデザイン」という授業の一環で作っていまして、その授業の内容としては遊びのルールとかを研究して、自分なりの遊びを新しく開発してみるっていう授業です。その一環としてボードゲームを作っているっていう感じですね。
あんまり他のインターネット上にあるデータは使いたくないので、モデリング含めて全部やろうかなっていう風にやってます。
◆3Dプリントを使うメリット
(データが)できたものからドンドン刷っていくいただく感じにしています。すごい小さいので、刷る時間自体短く済むので、翌日には刷りあがったものがいただけるというのは手軽でありがたいなと思います。
あんまり、粘土をこねたりとか木を削ったりとかっていうのがあんまり得意じゃないので、もう3D上でモデリングしたものがそのままデータだけお渡しすれば、サポート材や設定含めて全部やっていただけるので、刷っていただいてる間待ってるだけでいいのはすごい簡単でいいところだと思います。
【学生インタビュー②】
カルエルと申します。今はメディア芸術コース4年に通っていて、学科自体は画像だったり写真、音楽とか色々と幅が広くて、その中で自分は、ファッションという概念について。それをメディウムとかを使って作品を作っています。
◆取り組んでいること
今は3Dプリンターをベースに使っていて、私自体が、デジタルメディア上の装いの在り方とそこにおける、コチラの所在の在り方みたいなものを考えていて、その時に3Dプリンターを使った装身具みたいなものを実空間とオンライン上で発表するっていう展示とか作品を最近は製作していました。
デジタル上だとマイナス20℃の世界とか、氷だけの世界で装いが成立する世界がもう普通にあって、そうなったときに、どういう装いをしたいんだろうってのをまず設計して、自分でナラティブみたいなものを作って、そこから一回こっち(現実)に出力するときに実際にいきなり大きいと、いろいろコストもかかるので、実際にこのくらいのサイズにしてみてまず出力したときにどう見えるか、とかどういう風に違和感があるかを言及してそこから大きいサイズに出力するって形で作っています。
◆3Dプリンターを使用したきっかけ
(利用してから)ちょうど1年経ったくらいで、その前までは(クラフト用の)レジンとかでやっていたんですけど、石膏みたいな型を作ってからそこにレジンの液を流してってやっていたんですけれど、液漏れしちゃったりとか、気泡とかでスカスカになって割れてしまうとかがあったんですけど、3Dプリンターだと細かい表現とかの結構再現率が高かったのでそこからは3Dプリンターを使うようにしています。
◆3Dプリンターのメリット
私は元々(クラフト用の)レジンとかを使ったときに細かい表現だったりをするのに結構手間だったりとかかなり苦労したんですけど、そういうところがすぐ出力できたりとか、できなかった表現の幅っていうのが格段に広がったので、1回それで試してみて出力するっていうこと自体はすごく可能性のあることだと思っていて、この施設でいつもお世話になっている方に相談しながら3Dプリントを出力しているので、私自身は結構アナログで機械音痴なんですけど、そういったこともサポートしながらやってくれるので自分的には3Dプリンターのおかげで表現の幅が広がったなと思っています。なので、オススメです
【学生インタビュー③】
彫刻科3年の杉本伊武紀と申します。
やっていることは、基本的に木彫や石彫などの造形、立体造形を主に専攻しています。
◆studio fabCAVEで出力したもの
今回は自由制作ということで、私はストップモーションを作ろうと思い当たりまして、それでロボット的なもの主人公にしたいと思ったときに3Dプリンターに触れてみたいなという風に感じまして、初めて今回これをZBrushで制作させていただきました。
本当に初めてのことばっかりだったのでよくわからないことが多かったんですけど、学校の先生方に教えてもらって、なんとかこの形までこぎつけた感じです。
関節の一部は在りもの、プラモデルのパーツを持ってきたりとか、目もプラモデル用のやつです。実際目を光らせなきゃいけないので、頭の中に電池を内蔵して、後から目をプラスチックで埋め込んだっていう形ですね。
◆3Dプリンターを使ってみて
思っていたよりも結構綺麗に形が出るな、っていうことはビックリしましたね。でも繋げるときにどうしても、多少大きさのズレが出てきてしまったので、それは正直大変でした。
このロボット作った経緯が、機械的なものを出力するのが楽だったので、こういうキレイな曲線とか直線みたいなものは実際手で作るとある程度時間がかかってしまうので、こういう風にすぐに出力できるっていうのはやはり魅力的なんだなとは思いました。
こういう機械的な物を作ったことはないのでわからないんですけれど、このくらいの作品でも2か月くらいはどうしてもかかってしまうので、出力してる間別のことができるという意味でもやっぱりこういう3Dモデルはいいなと思います。
【学生インタビュー④】
高田晴菜と申します。
メディア芸術学科の4年で、普段は本当にいろんなことをやっています。
3DCGもやっていますし、絵も描いたり、あと文章とかも書いたりしながら自分の気分の赴いたまんまに色んなことをしながら生活しています。
◆studio fabCAVEで出力したもの
この作品は2年時の「ライトオブジェ」という授業において作成しました。
テーマにしたのが 「葬式」なんですけれども、釈迦とか、そういった弔うような表情とそれと仏花とか、もうちょっと大きかったらこの心臓の中で菊の花が入ったりとかもする、結構細かい作品になるんですけれども、そういったものを作成しました。
◆初めて3Dプリンターを使用したときの感想
本当にうれしかったですね。
チクチクするとか、重いとか、すごい可愛いみたいな感じで、結構感動したのを覚えています。
◆studio fabCAVEのよいところ
それまでの立体物の造形は粘土とかはあんまり触ったことがなくって、3DCG上のZBrushで作ったものが多かったです。
3Dプリンターって、もしも自分で一人で買ってでやろうって思ったら、エラーを吐いてしまっただとか、これとか本当に繊細なので(サポート材の)タワーの量とかを調節しないと、完全に棒みたいな感じになってしまうこともあると思うんです。なので、こういったふうに専門でちゃんとわかってくださっている施設の方がもう「データ投げたら出しとくね!」ってしてくれるような教室があるというのは本当に助かっていて。
立体の物って手に取って味わって楽しいじゃないですか、そういった立体物を自分でつくって味わえるっていう身近に感じられる施設としてとっても素敵だと思っています。
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ご協力いただいた皆さまありがとうございました!!