SK本舗導入事例 #7専門学校桑沢デザイン研究所 様

【3Dプリンター】ユーザーズボイス

#7「専門学校桑沢デザイン研究所」様

youtube チャンネルより一部抜粋(記事用に一部文言を文語に修正しております) :https://www.youtube.com/watch?v=57CJbZVFV1E

専門学校桑沢デザイン研究所は、東京都渋谷区に所在するデザイン専門学校です。

1954年設立当時、各回気鋭の教育者・芸術家・デザイナーたちが発足した日本初にして最先端のデザイン学校です。

ゼミや一部授業でSK本舗のプリンターを使用いただいておりその活用方法についてお話を伺いました。

 

Chapter1.2年生:授業での活用


Dプリンターを導入しているのは「プロダクトデザイン専攻」という学科です。

まずは、プロダクトデザイン専攻2年生の「インターフェース」という授業を見学させていただきました。

この日は授業最終日で、生徒が自ら考案したプロダクトをプレゼンして、先生が好評を行っていました。

 

 

~インターフェースの授業を担当:生駒 崇光先生~

インターフェースっていうのはですね、「ヒューマンマシンインタフェース」と呼ばれる人と機械との間をどういう風なインターフェースで繋ぐかという、そういうことをやってる授業でして、例えばカメラといったセンサーだったりボタンみたいなスイッチみたいなものとかを含めてですね。

人と機械が接するポイントをどうデザインして新しい製品を生み出すか?そんなことを授業でやっています。

結構インターフェースってテーマは広いので、人と機械が何かしら接するタッチポイントがあればどういう製品でもいいよっていう感じで授業をやってます。

その中で、今日の発表では半年間ほど色々授業で考えてきたことを課題発表でやってもらったんですけど、例えばアレルギーを検査するデバイスをどういう風な形に作ったらいいか、どういうセンサを使ったらいいか、みたいな形で考えてくれて発表してくれた子とかもいますし、全然違うところで言えばカメラとかそういうセンサーをたくさん使って周りの空間を認識する製品だとかですね、他にも本当に家具みたいなものを作る方とか、結構色んな方がいます。

本来であれば桑沢は工作室があるので、学校に来て粘土だったり木を削ったり、スタイルフォームという発泡スチロールみたいのを削ったりしてモックアップを作ってくる授業が多いんですけど、今年はやっぱりコロナということもあって授業が結構オンラインメインになってきたんですね。

なので、僕的には授業の当初からですね、3Dプリンターとか、なるべく自分のアイデアをすぐ形にできる機材などを使ってモックアップを作ることなども推奨してきました。

結構最後の辺りではあったんですが、実際にプリンターでものを出してみる、みたいなことも一部トライしてる生徒などがいました。

  

~2年生 濱田さん~

「アレシル」という、食物アレルギーの患者が日々の生活の中でアレルゲンを摂取してしまうことを防ぐ、助けになるデバイスを考えました。

一番のコンセプトが、ポケットに入れて手軽にいつでも持ち運びができるコンパクトさっていうところです。

使い方は電源ボタンを長押しして、料理の上をかざすことでセンサーが情報を受け取ってスマホと連動しているんですけど、それをAIが解析してアレルゲンかどうかっていうことを判断してこのアレシルがLEDで光って、もしアレルゲンがある状態だったらカチカチカチと光ってユーザーに対して教えてくれます。

[専用のアプリを介して使用状況を集積することでアレルギー治療に役立てる、という活用を想定されています]

アレルギーの治療の最終目的っていうのが「その食べ物を最後まで食べられるようになる」

ってことなんですけど、そうすと、もしこのセンサーがより高度なものになればアレルゲンの量を測れるようになると、その患者本人がこのアレルゲンの量を見て「あ、これだったら食べれるから挑戦してみようかな」ってなったりすることでよりアレルギーの治療に貢献できるのではないか、と考えました。

 

~実際に出力してみて~

[先生の協力を得つつ、3Dプリンターで出力したモックアップついても伺いました]

実際に触れてみて

例えばこれがケースの断面なんですけど、私、この断面の厚みを1mmに設定して出力してもらったら割れてしまって、強度が足りなくて割れてしまって。

先生がこれだったらいいんじゃない?って1.5mm厚で出力してもらったものがあるんですけど、こっちの方が自分のイメージにすごく近かったので、やっぱ出力して良かったなと思ったことと、後、ここのカーブはすごくうまくできたなって感じられたのとあと、ここのR(角の丸み)が握った時にすごく痛くて、もっともっとここのRは削っちゃっていいなって思いました。

あとそれから、(ケースに)入れた時に、ここの隙間がちゃんとないとスムーズに出し入れできない、ってことと、でも逆にあり過ぎると中で本体が暴れてしまうので、そこはもうちょっと出力して、しっかり考えていきたいなと思いました。

 

Dプリンターを活用するメリット

モックの大量生産ができることだと考えてて、しかもその大量生産できるモックが自分で数字を制御してから出せるモックなので、

例えば長さが1cm2cm3cmってどんどん変えていったり、それこそ0.5とかコンマ単位で変えていくことができるので精度をどんどん上げることができるな、と思っているのと、私たちが普段使うモックに使う材料ってスタイルフォームとかケミカルウッド(1)にかくもう自分の手で切って切って、貼り合わせてって作るものなので、どうしても強度に弱かったりとか折れちゃったりとかするんですけど、

でもそれが強度が強くて落としちゃった時に絶望しなくていいっていうのは凄くいい点だと思っていて、どんどん色んな人に、試して試してって言いやすいなと思ってて、とてもいいものだと思っています。

 

(1)模型制作の材料として使われる、加工のしやすい素材

スタイロフォームはスポンジに近く、ケミカルウッドは木のような質感を持つ

 

 

 

Chapter2.卒業制作での活用

[3年生の卒業制作では、SK本舗の3Dプリンターを生徒が自ら使用してサンプルの制作を行っています。FDMの機種が3台と、光造形の機種が1台ゼミ室に常設されており、事由に使用できます。3年生の方にプリンターの活用についてお話を伺いました。]

 

~3年生 眞田さん~

 

卒業制作の概要

桑沢デザイン研究所三年の眞田と申します。

僕は空港の航空便などを整備するような特殊車両を自律走行化しようというふうに考えていまして、特殊機能の部分だけをモジュール化して、それはライントレースカーのような自律走行化した原動機で、そのモジュール化した特殊機能っていうのを連結して引っ張っていけるような、それで、特殊機能のモジュールっていうのは飛行機の周りに置いて、それを飛行機の整備にあてて効率化を図る、やっぱり今航空業界って結構需要が増してきているので、そこに対応するあの一部の手として自律化をすればある程度空港の円滑化を図れるのではないかと思って、僕は今そういう風な提案を考えています。

 

 

Dプリンターの使用目的

プラモデルのようなあの何分の一とかいう、そういうスケールを縮めた実物のものを縮めたようなプラモデルみたいなものを発表の時には見せたいなと思っていまして、最近学校にも導入される3Dプリンターを使ってその大まかな外見を作ったりとか、細かいパーツを作ったりとか、スケールを縮めたようなミニチュアというか、そういうものをメインに作って提示できたらなと思っています。

 

Dプリンターを使ってみて

プリンターがあるっていう予備知識はあったんですけど、プリンターを実際に自分の手でを調整したりとか、印刷したりっていうのはこの学校に来たのが初めてですね。 

3DCADを結構動かすのが好きで、結構高校の頃からその授業で取ってたりもしたんで、でもやっぱりそれって画面の中だけの3D立体なので、やっぱりそれが、自分が他の作業をしている間に3Dプリンタでニョキニョキ出てくる、その感じっていうのが結構完成した時には、画面の中にあったものが出てきたみたいな感じでなんかすごく驚いたというか、これは便利だすごいなみたいな風には一番最初に思いましたね。

 

◆SK本舗のFDM方式プリンターについて

今メインでゼミ室で使ってるのは、FDM形式ではあるんですけど、結構そのFDMの先入観として、やっぱり積層が結構荒く、目立っちゃうみたいなのがある。

 僕結構、出した後に塗装とかするんですけど、その塗装の下準備、パテ盛ったりとかっていうのがやっぱりどうしても必要かなとは思ってたんですけど、なんか、いざ出してみてその積層っていうのが、積層、あるにはあるんですけど、意外とその積層のギザギザというか、そういうのが小さいというか細かいなっていう風なのが第一印象で、パテ盛って削るにも、そのパテも少しでいいとか、削る量も少し抑えて、その作業効率がちょっと良くなったとか、民間の人が扱えるプリンターでもここまでの精度の、ここまでの荒さで、このお手軽さで出せるんだな、みたいなのがありました。

 

光造形のプリンターについて

自分で1個削り出した大元のパーツにつける細かいパーツっていうのが3Dで設計してるんですけど、そういうのをFDM方式で出しちゃうと、細かい部分がやっぱり潰れちゃったりするんで、そこら辺は光造形で細かいパーツだけ分割して配置して、細かいパーツだけを光造形の方で印刷して、ちょっとやすったりして、ぴっぴ、と付けてっていう感じで、細かいものですね、精度が必要なものとかに光造形は使わせていただいています。

 

実際に扱ってみたら意外とすんなりできた。

ちゃんと設定とか掃除とかしてあげれば問題なく使いやすく、精度の良いものがやっぱり出せるので、結構光造形は使わせていただいております

 

Dプリンターを活用するメリット

デザインしたものが、3Dデータがあればすぐ形にできたりとか、そういう点ではその試作品とかプロトタイプっていうのを一からお金かけて作るっていうよりかは、形を見たりとか、そういう点では何個も形状の違うものを3Dがあれば、ポンポン出せていけるっていうのはやっぱり凄くいいなと思いまして、商品開発とかそういう上では結構自分の手でプロトタイプを作っていかなきゃいけなかった頃に比べたら、やっぱり格段に効率というか、高いスパンでプロトタイプというか、試作品を出せていけるっていうのは今後すごいメリットになるんじゃないかなと思っています。

 

 

Chapter3.講師インタビュー

 

[ここからは、講師の方にお話を伺っていきます。まずは、先ほどの授業も担当されていた生駒先生にお話を伺っていきます。]

 

~生駒先生~

僕はこの桑沢デザイン研究所で、インタフェースという授業を担当している生駒というものです。

よろしくお願いいたします。

 

プロダクトデザインにおいて実物を触ることの大切さ

桑沢は結構そこを大事にしてて、最初の頃の授業だと木をひたすら削るハンドスカルプチャーみたいな授業もあるんですけど、そういったところで触っていくことで、本当に使い易い形とか、気持ちいい形を模索する授業なんかもあるので、プリンタで簡単にものが出せるようになったんですけど、作る工数を飛ばせる分、逆に、触って確かめてまたデータにこれをフィードバックして、もう1回プリントしますみたいなそういうサイクルを重ねることでより良いデザインができるんじゃないかなと思っています。

 

別に失敗してもいいと思うんですよね。

だから、これで試してみて、デザインがうまくいかなかったらまた作り直せばいいっていうのがプリンターのすごく簡単で楽しいところなので、どんどんその次の次の、って、どんどん作って、色もこれじゃなかった、こっちの色の方がいいみたいな、色々試していけばいいのかなって思ってます。

 

◆SK本舗で取扱いのフィラメントについて

今回ち、色々たくさんのフィラメントをテストで使ってみたんですけど、結構最近のフィラメントの特徴としては、色が昔はだいぶ増えたなっていうのと、それがしかも結構安定供給されてきた。

例えば昔のフィラメントとかって一回使ってみたらもう二度と手に入らなかったりとか、そういうのが多かったんですけど、最近結構安定したフィラメントとかが供給されてくるようになってきて、日本の代理店さんとかがそれを扱ってくれるとまた同じのを買えたりとか、デザイナーっていい色が見つけられたら、それを結構使っていきたかったりするんですね。

 

そういう時に助かるなっていうのがあるのと、後はですね、色だけじゃなくて、最近は質感みたいなところも結構あの色々パターンが増えてて、例えばこれとかってマットグリーンっていうフィラメントなんですけど、普通のグリーンのやつってもっとテカテカしているんですね。

なのでちょっと品がないというか、デザイン的にはあんまり使いたくないようなものが多いですけど、これとかだと結構マットな感じで抹茶みたいな色だったりとか、落ち着いた色合いなので、なんかそういう形でデザイン的に評価も可能な色味のフィラメントっていうのが最近増えてきたのかなと思います。

 

例えば、このグレーとかって、デザイナーってよくグレーで形を見るんですね。

グレーって一番陰影が中間にあって形自体が見やすいものなので、サーフェイサーとかもよくグレー50%くらいの濃さのグレーとか使うんですけど、これとか結構それに近くてですね、形状を見る色としては凄くいいじゃないかなと思ってます。

 

[また、生駒さんは講師として授業をするだけでなく自らの会社で折り畳み式の電動バイクの開発も行っています。

ICOMA 『タタメルバイク』

折りたたんでデスクの下に収納できる点が特徴で、ハードウェアコンテスト「GUGEN2021」大賞を受賞ています。

総務省主催の「異能vationコンテスト」にも採択され公的な支援も受けながら開発が進んでいます。]

 

 

◆電動バイクの開発について

僕は、今個人でバイクを開発しておりまして、実際それをですねデザインしながら作りながら

先生もやってるという立場になります。

なので、今僕が作ってるバイクでも3Dプリンターを活用しながら、試作を作っているという状況です。

うちのバイク、凄い見た目がシンプルなバイクなんですけど、結構カスタマイズを売りにするバイクでして、通常バイクっていうと、強度のいるパーツとかにはやっぱり3Dプリンター使えないんですね。

ただ、うちのバイクで全く強度に関係ない、いわゆる外装になっているようなパーツが結構ありまして、そういうところの外装パーツに、例えばこれはリアタイヤのサイドカバーみたいなパーツなんですけど、そこのフレームだったりとか、あとはなフロントの顔みたいな部分、フェイスのパネルみたいなものだったりとか、外装のパネルの角Rのパーツみたいなものにこうカラバリが入るだけで結構アクセントになったりするので、そういったところにはプリンターを施策にもゆくゆくは量産でユーザーさんがこういう感じで、勝手にプリントしてカスタムしてくれる、みたいなところまでできないかなと考えています。

 

Dプリンターの可能性

3Dプリンターが本当に身近なところにあれば、今までパソコンの中でしか描いてなかった形が現実にこう召喚されるというかですね、すぐ形になってくるわけですね。

それで何が起きるかっていうと、結局僕らが作ってるような「もの」なんです。

プロダクトデザイン、ものを作っているので、実際に現実に存在した時に、それがどういう機能を持っててどういう印象を受けて、というのがすぐ分かるっていうのは、これはもう本当に画期的なことで、それが昔だったらどっかの業者に頼んで何日かかったとかしたのが、今は本当に一日あれば、なんだったら一時間あればですね、すぐ出てきちゃうので、すごい時代になったなと思ってます。

なので、若い方がですね、これをどんどん活用してですね、本当、今日考えたアイデアをすぐ今日のうちに形にそして、明日には次のアイデアはひらめいてるみたいなそんな感じで、早くどんどんものを作っていってですね、新しいプロダクトをデザインしてもらえればいいなと思っております。

 

[続いて、プロダクトデザイン分野専任講師の本田 圭吾先生にもお話を伺いました]

 

~プロダクトデザイン分野 分野責任者 本田 圭吾先生~

桑沢デザイン研究所のプロダクトデザイン分野で分野責任者をしています本田と申します。

 

SK本舗のプリンターを導入した理由

これまでも3Dプリンターは授業の自習機材の一部として使ってはいたんですけども、これをですね、もう少し多くの学生に自由に使えるようにしてみたいな、という風に思ってですね、数を増やそうかなとということで導入を考えました。

 

◆導入したプリンターの用途

今導入した機材については、卒業年次の学生たちの主に卒業制作の制作過程プロセスの中での試作用、検討用ということで使わせています。

 

SK本舗で購入して良かった点

学生が、一台の機材を複数人で共有をして自由に使っているので、一人で使うよりも結構不具合と言いますかね、調整が変わっていたりということで、結構壊したりしてるところがあるんですよね。

まあそういったところを、すぐに対応していただいている点が非常に助かっています。

 

◆学生へのフォローのために行っていること

学校に導入したものと全く同じものを検証用に自宅に一台置きまして、学生からの相談とか質問に答えられるようにしています。

自身のデザイン活動で試作したパーツとかをですね、検証用に出すといったことに使ったりしています。

 

[このバイクは本田先生がプロジェクトを主催する「スペダギ・バンブーバイク」です。竹や多摩産材などの多摩地域にある自然素材を活用しており地産地消を目指したランニングバイクの開発が行われています。]

 

◆導入してからの率直な感想

率直な感想としては非常にメンテナンスフリーに近い状態で今は使えています。

で、キャリブレーションも毎回やるようなことがなくて、出力終わったらすぐに次の出力をしても今のところ問題が出ていないですね。

そういう点でわりとどんどん出力できるかなっていう印象が今ありますね。

 

◆3Dプリンターの使い方を教える授業などはありますか?
3D
プリンターへの出力を前提にどういった造形をするかという、すごく簡単なあレクチャーはありましたけども、それを実践的にどんどん使っていくっていう授業は実はないんですね。

最近値段もこなれてきてて、学生自身もみんな割と自宅に所有してたりもしますので、まあ学校もしくは先生以上に彼らの方がよく知ってますね。

 

◆ものづくりにおける3Dプリンターの役割

まずはデザインの検討用としてスピーディにこう考えたものが立体化できるっていうのは、とても魅力というか重要になってくると思います。

もっともっと長い目で見れば、金型から解放されて、もの作りがもっと自由にそれから一人一人のことに変わっていく時代っていうのは来るんでしょうけども、現時点においてはやはりその『モノづくりをしている人達の検討プロセスのところでのスピードアップ』が目下のところの大きな魅力かなと。そういう役割だと思いますね。

 

◆導入を考えている方にメッセージをお願いします!
やっぱり自分の考えたものがある程度正確に形がすぐに出てくるっていうのは発見が多いですよね。

自分の技術によってこう形が作れなかったことでデザインが留まるようなことが少なくなるとは思いますが、そういう点で値段もそんなに最近では高いものではなくなっていますから、まずは導入して、一度使ってみお試しで使ってみるというのでももう十分な価値があるんじゃないかなという風に思いますね。

 

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ご協力いただいた皆さまありがとうございました!!