米国企業が3Dプリンターを使って電気自動車を完全自動製造|オートメーションと〈ものつくり〉の未来とは?

米国企業が3Dプリンターを使って電気自動車を完全自動製造|オートメーションと〈ものつくり〉の未来とは?

 

3Dプリント技術が目指している到達点

 

3Dプリンターの本質は立体物を自動で出力することにある。


つまり、その理想形は、造形から組み立てに至る製造の全行程を、オートマティックに行うことにある。それも、シンプルな構造のオブジェクトのみにとどまらない。大量の部品によって複雑に構築されたような精密機械も、その射程には含まれている。

たとえば自動車だ。すでに自動車業界は部品やカスタムパーツに関して、多く3Dプリント技術を導入している。世界各国の名だたる自動車メーカーにとって3Dプリント技術はすでになくてはならない技術になっている。

ただ、現状において自動車一台を丸々3Dプリントしたという例はない。パーツそれぞれは3Dプリントすることが可能だとしても、それらを組み立てていく過程において、なんらかの手作業の介入が必要とされてきた。

今、米国アーカンソー州に本拠を置くAMBOTSが、そうした状況に一石を投じようとしている。AMBOTSが試みているのは、自動車の完全自動製造だ。今回、AMBOTSが行なった小規模なデモンストレーションは、その可能性を十分に示すものだった。


 

 

 

小型電気自動車を製造するAMBOTSのオートメーション

 

AMBOTSのデモンストレーションでは、同社の3Dプリント技術がロボットプログラムと接続することによって、自動車製造の全行程を自動で行うことが試みられた。

まず3Dプリンターが電気自動車のフレームを製造、さらに別の3Dプリンターがカバープレートを印刷する。その工程が終わると、輸送ロボットが3Dプリンターを移動させ、他のコンポーネントを3Dプリントしていく。こうしてパーツの全ての3Dプリントが完了すると、ピックアンドプレースボットに自動的に搬入され、それらの組み立てがロボットによって行われる。

残念ながら、その際に取り付けられる、モーター、バッテリー、マイクロコントローラーなどは既製のものだが、組み立ては基本的にオートマティックに行われる。組み立て後の接着硬化も同様で、レーザーボットが自動的に行なってくれる。ちなみに、こうした様々なマシンの移動を制御するのは、作業領域に設置されたグリッドフロアだ。このグリッドフロアが、製造工程の全体を管理する監督の役割を果たしていく。

こうして完成したのが以下の小型電気自動車だ。

 



製造工程のオートメーション化については、20世紀を通してその実現がさまざまに目指されてきた。しかし、それは常に障壁に阻まれてもきた。進歩した3Dプリント技術は、その最後の障壁を突破するポテンシャルを秘めている。

今回、AMBOTSはその夢がかなりの高い水準で実現しつつあることを示した。ここからの課題は、それが実際の製造タスクに適用できるかどうかを検討していくことだろう。少なくとも、今回の作業領域を、実際の工場のサイズにスケールアップすることは技術的、物理的にも可能だと言われている。こうした自動製造が一般化した暁には、自動車の製造コストは大幅に抑えられることになるだろう。

 



もちろん、労働の現場から人間の役割をこれ以上減らして良いのだろうか、という問いもある。しかし、それはまた別の議題だ。あらゆるものが自動化されたとしても手仕事の魅力が消えるわけではない。むしろ、その時ようやく「ものつくり」は次の段階に入るのだと言えるかもしれない。