
3Dプリントモデリングにおけるボイド対策
3Dプリントにおける「ボイド」とは、データや物理的な出力において空隙や穴が発生してしまう現象を指します。ボイドが発生すると、完成品が弱くなったり、プリント自体が失敗したりする原因となります。ここでは、3Dプリント用のモデリングでボイドを防ぐための対策やコツを解説してみたいと思います。
ボイドが発生する原因
ボイドは、モデリング段階での設計ミスやデータの処理エラーにより生じます。主な原因として以下のようなものがあります。
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非マニフォールドジオメトリ
3Dモデルの面が互いに正しく閉じていない場合、ボイドが生じやすくなります。
例:重複する面やエッジ、孤立した頂点など。 -
薄すぎる壁
モデルの壁がプリンターの最小出力厚みを下回ると、プリントできずに穴が開く場合があります。 -
内側の隙間や閉じた空洞
内部に未解消の隙間があると、データ上では問題なく見えても、スライサーが正しく処理できません。 -
スライサー設定のミス
充填率やレイヤー厚の設定ミスにより、意図せずボイドが発生することがあります。
ボイドを防ぐモデリングのコツ
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ジオメトリの一貫性を保つ
モデリングソフトの「法線方向を統一」や「非マニフォールドジオメトリを修正」機能を使い、モデルが一貫性のある形状になるよう確認しましょう。
おすすめツールと手順 - Blender: Edit Modeで「Merge by Distance」や「Clean Up」を使用。
- Meshmixer: 「Inspector」機能でエラー部分を特定・修正。
- Fusion 360: 「修復(Repair)」ツールを使う。
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壁厚を十分に確保する
プリンターのノズル径やレイヤー厚を考慮して、壁の厚みを適切に設定します。一般的には、FDMプリンターの場合、最低でも1mm以上の厚みを確保するとよいでしょう。 -
薄壁テストを実施
プリントテストを行い、実際に出力可能な最小厚みを把握することが重要です。 -
閉じた空洞を避ける
モデリング時に、内部に閉じた空洞(スライサーでサポートされない部分)ができないよう設計しましょう。これには「内部構造を設計する」または「内部を完全に充填する」方法があります。 -
モデルの一体化
複数のパーツを組み合わせたモデルでは、パーツ同士の接合部に隙間が生じやすいです。「Boolean演算」などの機能を使ってモデルを一体化しましょう。 - Blender: Boolean Modifierを使用。
- Fusion 360: Combineツールで「Join」を選択。
スライサーソフトでのボイド対策
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プレビュー機能の活用
スライサーソフトでのプレビューモードを活用して、実際にプリントされるレイヤーを確認しましょう。これにより、意図しない穴や隙間を事前に発見できます。
おすすめのスライサー - Cura
- PrusaSlicer
- Simplify3D
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充填率を適切に設定する
充填率(Infill Density)が低すぎると、モデル内部にボイドができやすくなります。用途に応じて適切な充填率を設定しましょう。 - ディスプレイ用モデル:10〜20%程度。
- 構造物や機械部品:30〜50%以上。
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サポート材の適切な配置
ボイドが発生しやすいオーバーハング部分やアーチ状の構造に、適切にサポート材を配置することでプリントの精度が向上します。 -
レイヤー設定を見直す
レイヤー厚やノズル径が不適切だと、プリント中にボイドが生じる可能性があります。モデルの形状に合わせて設定を調整しましょう。
プリント中のボイドを防ぐ運用上の注意点
- 素材の選択
- 一部のフィラメント(特に湿気を吸収しやすいナイロンやTPUなど)は、プリント中にボイドを引き起こしやすいです。素材の保管方法に注意し、プリント前に乾燥させましょう。
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プリンターのキャリブレーション
プリンターのノズルやプラットフォームが正しくキャリブレーションされていないと、均一にフィラメントを出力できず、結果的にボイドが発生することがあります。 -
出力速度の調整
プリント速度が速すぎると、フィラメントの供給が追いつかず、ボイドが発生しやすくなります。適切な速度に調整しましょう。
トラブルシューティング|ボイドが発生した場合の対応
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モデリングに原因がある場合
モデルを修正し、非マニフォールドや空洞部分を解消。 -
スライサー設定が原因の場合
充填率を増やす、壁厚を増加、またはサポート材を追加。 -
プリンターの問題の場合
ノズル詰まりや湿気吸収フィラメントを確認し、必要に応じて交換。
ボイドを防ぐことで3Dプリントの品質を向上
3Dプリントのモデリング段階でボイドを防ぐことは、高品質なプリントを実現するための重要なステップです。ジオメトリの整合性を保つ、適切な壁厚を確保する、スライサー設定を最適化するなどの基本的な対策を意識しながらモデリングを進めましょう。これにより、失敗を減らし、より精密で美しいプリントが可能になるはずです!
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