
FFF用フィラメント徹底ガイド― 素材ごとの特徴と使いこなし術
FFF方式の3Dプリンターで使用されるフィラメントには、さまざまな種類があり、それぞれ特性と用途があります。ここでは、代表的なPLA、ABS、ASA、PETGの4種類について、その利点、弱点、使用上の注意点を詳しく解説します!
PLA(ポリ乳酸)
PLAは、トウモロコシやサトウキビなどの再生可能資源から作られるバイオプラスチックで、3Dプリンター用フィラメントとして最も広く使用されています。
利点
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印刷の容易さ: 低い印刷温度(180~230℃)で造形可能で、反りや歪みが少なく、初心者にも扱いやすいです。
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環境に優しい: 生分解性があり、環境負荷が低いとされています。
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高い寸法安定性: 細部の再現性が高く、精密な造形が可能です。
弱点
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耐熱性の低さ: 約50℃以上で軟化し始めるため、高温環境下での使用には適しません。Bambu Lab Wiki
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脆さ: 衝撃に対する耐性が他の材料に比べて低く、割れやすい傾向があります。
使用上の注意
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高温になる場所や機械的強度が求められる部品には不向きです。
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長期間の屋外使用では紫外線による劣化が進む可能性があります。
ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)
ABSは、耐久性と耐熱性に優れたプラスチックで、工業用途でも広く利用されています。
利点
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高い耐衝撃性: 機械的強度が高く、耐久性に優れています。
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耐熱性: 約100℃までの高温に耐えることができます。
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後処理の容易さ: アセトン蒸気で表面を滑らかに仕上げることが可能です。
弱点
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印刷時の難しさ: 印刷温度が高く(210~250℃)、反りや収縮が発生しやすいため、加熱式のプリントベッドやエンクロージャーが推奨されます。
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臭気: 印刷中に有害な揮発性有機化合物(VOC)を放出するため、換気が必要です。
使用上の注意
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印刷時は適切な換気を行い、密閉された空間での使用は避けてください。
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エンクロージャーを使用することで、温度管理が安定し、反りを軽減できます。
ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)
ASAは、ABSに似た特性を持ちながら、耐候性を向上させたフィラメントです。
利点
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優れた耐候性: 紫外線や湿度に強く、屋外での使用に適しています。
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高い耐衝撃性と耐熱性: ABSと同等の機械的強度と耐熱性を持ちます。
弱点
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印刷の難易度: ABS同様、高温での印刷が必要で、反りや収縮が発生しやすいです。
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価格: ABSよりも高価な場合が多いです。
使用上の注意
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加熱式プリントベッドやエンクロージャーを使用し、温度管理を徹底してください。
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屋外での長期間使用を想定した部品に適しています。
PETG(ポリエチレンテレフタレート・グリコール変性)
PETGは、PETにグリコールを添加して改良されたフィラメントで、強度と柔軟性のバランスが良い素材です。
利点
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高い耐衝撃性: PLAよりも耐久性があり、割れにくいです。
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耐熱性: 約80℃までの耐熱性を持ち、PLAよりも高温環境に耐えます。
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吸湿性の低さ: 湿気による劣化が少なく、保管が容易です。耐水性も高いです。
弱点
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糸引きやすさ: 印刷中にノズルから糸を引く現象が発生しやすく、設定の調整が必要です。
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表面仕上げ: 光沢があり、指紋や傷が目立ちやすい場合があります。
使用上の注意
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ノズル温度(220~250℃)やリトラクション設定を適切に調整し、糸引きを最小限に抑えてください。
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耐久性が求められる機械部品や食品容器など、多用途に利用できます。
各フィラメントの選び方のポイント
どのフィラメントを選べばいいか迷ったときは、まず「どんなものを作りたいのか」「どんな環境で使うのか」をイメージすることが大切です。それぞれの素材には得意・不得意があるので、目的に合わせた選び方をしていきましょう。
まず、初めて3Dプリンターを使う方や、とにかく失敗を減らして楽に造形したい場合は、断然PLAがおすすめです。印刷の難易度が低く、反りも少ないため、扱いやすさではダントツ。フィギュアや小物、試作品など、見た目を重視した用途に向いています。
次に、ある程度の強度や耐久性が必要なもの、たとえば機械的な部品や実用的なパーツを作りたい場合は、ABSかPETGが候補になります。ABSはしっかりした強度と耐熱性がある反面、印刷が難しく、反りや臭いの問題もあるため、環境が整っている(エンクロージャーや換気がある)方向けです。一方、PETGはABSよりも印刷しやすく、強度も高め。衝撃に強く、割れにくいので、DIYや日用品にぴったりです。
そして、屋外で使うものや長期間日光に当たる環境での使用を想定している場合は、ASAを選びましょう。ASAは紫外線や雨風に強く、ガーデニング用のパーツや車・自転車関連のパーツなどに向いています。ABSと似た性質ですが、より耐候性に特化しているのがポイントです。
最後に、食品に接するような用途(※ただし必ず食品適合グレードか確認を)や、水周りなど湿気が気になる場所では、PETGが活躍します。吸湿性が低く、耐水性もあるので、衛生的で実用性が高いのが魅力です。
フィラメント保管の注意点
どの素材においても共通して大切なのが「湿気対策」です。
フィラメントは空気中の水分を吸収しやすく、吸湿してしまうと…
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ノズル詰まり
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造形中の気泡やバリ
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層の密着不良
などのトラブルが起きやすくなります。
保管のコツ
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使用後は密閉容器+乾燥剤で保管
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湿気が多い時期は真空パック+シリカゲルもおすすめ
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可能であれば乾燥ボックスやフィラメントドライヤーを導入すると安心
PLAは比較的吸湿に強いですが、PETGやナイロンなどは非常に吸湿性が高いので特に注意が必要です。
素材選びも3Dプリントの“楽しみ”のひとつ
3Dプリントって、ただ出力するだけじゃなくて、
「どの素材でどう作るか?」を考えるのも醍醐味なんですよね。
たとえば…
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プレゼント用なら見た目のきれいなPLA
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自転車パーツは屋外でも使えるASA
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DIY工具やガジェットには丈夫なABS
…などなど、目的に応じて選べるってとても面白いです。
いろんな素材を試して、「自分に合う一本」を見つけていきましょう!
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