SK本舗ユーザーのリレーコラム#06「HOW TO 3D PRINT」前編(まっつく)
原型師のまっつくです(Twitter ID:@mk2_mattuk)
普段、光造形方式の3Dプリンターを使ってフィギュア制作をしています。今回のレポートでは下記のフローの4~8の項目について、使用する道具と共に解説していきます。出力回数だけはそれなりにこなしているので、理屈というよりは実作業で自分なりに気が付いたこと、ちょっとしたコツみたいなことも書いていきます!(あ、フィギュアの出力を想定しています)
3Dプリント(光造形)のフロー
1.3Dデータ制作
全ての始まり!楽しく造りましょう!出力サイズを頭に入れて細かくしすぎないように注意!(自分で造らなくてもネットでフリーデータをDLする手もありますが)
2.データのエラーチェック
Windows標準で入ってる『3D Builder』で読み込むと閉じてないポリゴンになってないか等チェックして修正してくれます!
3.サポート付け&スライスデータ作成&出力設定
『CHITU BOX』や『Form Ware』もしくは3Dプリンター側で各種設定を行います。ここのあたりは数字だらけで、む、むづかしいです、、わ、わたしに質問しないで下さい^^;
4.3Dプリントするぞ!
出力開始です!冬はとにかく部屋を温めるといいよ!
5.プラットフォームから収穫
出力品が、がっちりくっついてると剥がすの地味に大変!
6.サポート取り
ニッパーや超音波カッターを使いサポート外します。小さく細かい出力品はサポート付けたまま先に洗浄した方がいいです。臨機応変!
7.出力品洗浄
レジンをIPA (水性レジンは水道水) で洗います。そして圧縮空気で水気を取ってしばし自然乾燥させます。
8.二次硬化
UVライトでカッチカチに完全硬化させます。
9.出力作業完了
積層跡やサポート跡をスポンジやすりで磨いて表面をきれいにして、原型として仕上げます。
まっつくは、出力設定等については全く素養がありません!造形がしたいが為に嫌々使ってる(^^;)せいか3Dプリンターの設定はいつまでたっても詳しくならんのです、、 元来、機械や電気がめっちゃ苦手なんです(早く何にも考えずクリックひとつで簡単に出力できる日が来ませんかね、、)
やり方はひとそれぞれだと思いますので、このレポートは『へぇ~こういうやり方をする人もいるんだな』ぐらいに読んでみてください。 と言い訳(!?)が終わったところで、はじまりはじまり~
4.3Dプリントするぞ!
先述のフローでも述べている通り、3Dプリントの一番の敵は冬の寒さです!冬は部屋を暖める事と、プリントに関係するものをとにかく温めるのが吉です!今回紹介する道具は3Dプリント専用の道具では無く、全てAmazon等の通販で入手可能です。
使用する道具
①ヨーグルトメーカーレジン液を暖めるのに使います!1000㎖レジンのアルミボトルをそのまま温めちゃいます。
②電気ストーブ&キッチンタイマー
プラットフォームを温めます!温めすぎないようにキッチンタイマーでアラームを設定しよう!
③電気毛布
3Dプリンターを丸ごと温めます!電気毛布はタイマーをオフれる製品を選びます。
作業工程
冷たいレジンはプリント失敗しやすいです!ヨーグルトメーカーを使ってレジンを温めてからレジンタンクに注ぐ事でプリント失敗を防ぎます。レジン満杯のボトルだと温まるまで時間が結構かかるので、空ボトルに1/3~1/2程注いだものをヨーグルトメーカーに入れて温めます(なるだけ使用する量だけ温めましょう)
レジンを温めたら、次にプラットフォームを温めます。プラットフォームも冷たいままだとレジンが定着しづらいのです! 足元用の小さい電気ストーブでプラットフォームを1分程温めます。危ないので目を離さず、そしてキッチンタイマーでアラームをセットしてうっかり温めすぎないようにします。(手で触れないぐらい熱くしちゃダメよ!)
温かいレジンをバットに注ぎ、温かいプラットフォームをプリンターにセットしてプリントを開始しました。しかしプリント完了までには時間がかかります。プリンターのある部屋ごと暖房で温めれば問題ありませんが、そうでない場合はプリンターを温めるのです!という訳でプリンターを電気毛布で覆ってスイッチON!(タイマーをOFFに出来る電気毛布じゃないとプリント完了までにタイマーで勝手に電源OFFになっちゃうぞ)もし温かさが足りないと感じたら、電気毛布の上からバスタオルとかさらに被せると良いです。
無事に出力できました!PC画面で見ていたものが実際の物質として錬成でき喜びが最高潮に達します!
が、しかしこの段階ではまだ安心はできません!もうご存じだとは思いますが、これからまだ大変な作業が待っているのです。先ほどの喜びを胸にこれからの作業に立ち向かっていきましょう!
5.プラットフォームから収穫
出力したままの状態ではまだ完全硬化しておらず出力品は非常に壊れやすいです。しかしプラットフォームを温めてからプリントを開始したので、ラフト部分はしっかりプラットフォームに定着しているはずです。出力品を壊さないよう慎重に取り外しましょう。プラットフォームへの食いつき具合でここはある意味、使用するレジンの性質の違いが一番わかる工程かも~
※プラットフォームについたレジンをある程度ティッシュで拭います。
(それでもぬるぬる過ぎてどうしてもやりずらい場合はプラットフォームごと軽く洗浄しちゃいましょう。臨機応変!)
使用する道具
①カッターナイフ&折線無し替え刃プラットフォームとラフトの間に差し込んでちょっとだけ隙間を開けるのに使います。
②ステンレス粘土ヘラ (&電動砥石)
カッターで開けた隙間に差し込んでテコの原理で出力品をプラットフォームから引きはがします。
③ニトリル手袋
レジンでぬるぬるです!素手で触らないで!使い切りのニトリルゴム製が必須です。めっちゃ使うので100枚入りを買いましょう (もっと耐久性が欲しい!)
④空のスプレーボトル
中にIPAを入れてプラットフォームをきれいにする時に使います。
作業工程
普通のカッターより折れづらい『折線無しの替え刃』に付け替えて、刃をプラットフォームとラフトの間に差し込んで隙間を開けます。あくまで隙間を開けるだけです。使用するレジンの性質によっては全く歯が立たない場合があると思いますその場合、カッターでは危ないので無理せずカッターの使用は諦めます(対処法は後述します)
初めから折らない刃が付いているカッターナイフをAmazonで見つけました!『プラス 折らないカッターオランテ』という商品です。使ったことないけど試してみる価値あり!?
カッターで造った隙間にステンレス製の粘土ベラを差し込んでテコの原理で引きはがします。が、しかし、粘土ベラを買ったままの状態では使いづらい為、少々カスタマイズします。
先っぽを電動の砥石で薄く研いで隙間に差し込みやすくします。電動の砥石は本格的なものではなく、おもちゃのような小型のものをヤフオクで入手しました。次にペンチで首を少し曲げます。これでテコの原理であまり力をかけずに引きはがすことができます。
ステンレス製粘土ベラの良いところは、既製品のスクレーパーより長さがあるので、プラットフォーム全面を使って出力した場合に端から端まで一気に差し込んで出力品を引きはがせるところです(※TransFormとMega8Kのプラットフォームはデカすぎるので除く)
又、カッターの刃が全く歯が立たず隙間を作ることのできない硬いラフトの場合、粘土ベラのお尻をトンカチで叩いてノミのような使い方をすることも可能です。
この場合、激しい振動や無理な力がかかって出力品が破損する恐れがあります!サポートをある程度、先に取ってからプラットフォームから引きはがすのが良いかもしれません。
(透明レジン全般と、あと短時間で硬化するタイプのレジンは適正な露光時間の範囲が狭く硬くなりがちです。よってプラットフォームからはがしづらい傾向にあります)
ステンレス製粘土ベラはAmazonでは見つかりませんが楽天で検索すると5本セットの品が見つかります。真ん中の、先が平たく且つお尻が丸くなっているタイプ がトンカチで叩いてノミのように使えておススメ!
出力品を外したら、プラットフォームを次の出力に備え綺麗にします。その際、空のスプレーボトルにIPAを入れてシュッと吹きかけてからティッシュでふき取ると簡単に綺麗に出来ます!
無事プラットフォームから取り外せました。次は3Dプリントといえばサポート材!出力の際になくてはならないものですが、出力し終わったら無用の長物!そして外すの面倒! 過剰につけすぎたサポートは付けた自分を叱りたくなります!そしてサポートだけ取りたいのに根元の出力品ごとえぐられると心もえぐられます(悲)
https://mk2.stores.jp/ ←こちらでオリジナルフィギュアを販売しています!応援よろしくお願いいたします!
SK本舗ユーザーのリレーコラム#06「HOW TO 3D PRINT」後編(まっつく)
後編は近日公開予定。