インフィルとは?3Dプリントの内部密度
インフィル(Infill)は、FDM 3Dプリントで造形物の内部を埋める構造のことです。外殻(シェル)の内側に格子状・ハニカム状・ジャイロイド等のパターンで材料を充填し、強度・重量・印刷時間のバランスを決める重要な設定です。
結論:インフィルは「密度(%)」と「パターン」の2軸で品質・コスト・時間を調整する設定
インフィルを100%にすれば中身が完全に詰まった状態になりますが、材料と時間を大量に消費します。0%ならば中空になり軽量化できる反面、強度や上面の仕上がりが犠牲になります。大半の実用造形では20〜40%程度が落としどころで、用途に応じて密度とパターンを選ぶのが基本です。
インフィル密度の目安
| 用途 | 推奨密度 | 特徴 |
|---|---|---|
| 試作・確認用モデル | 10〜20% | 短時間・低コストを優先 |
| 装飾・フィギュア系 | 15〜25% | 見た目重視、負荷小 |
| 一般的な治具・ブラケット | 30〜50% | 実用強度とコストのバランス点 |
| 機械部品・高負荷パーツ | 60〜100% | 強度優先、材料・時間は増える |
※密度を上げても強度は線形には増えません。60%を超えると増加量は緩やかになり、80%以上は時間と材料に見合う強度向上が得にくくなる傾向があります。強度が必要な場合は密度よりも「シェル(外壁)枚数を増やす」方が効果的なケースも多いです。
主要なインフィルパターンの特徴
- Grid(グリッド):直交する2方向の格子。印刷が速く、上面も比較的きれいに閉じる定番パターン。
- Gyroid(ジャイロイド):三次元的にうねる波状構造。全方向に均等な強度が得られ、軽量性と強度のバランスが非常に良い。
- Cubic(キュービック):傾いた立方体の3D格子。XYZ全方向の剛性が均等で、構造部品向き。
- Honeycomb(ハニカム):六角形セルが平面に並ぶ構造。材料効率が高く強度もあるが、印刷時間は長め。
- Triangle(トライアングル):三角形ベース。せん断に強く、方向性のある荷重に向く。
- Lightning(ライトニング):上面を支える最低限の樹状サポート構造のみを生成。強度は低いが印刷時間・材料を大幅削減できる。装飾造形向け。
どのパターンを選ぶか
強度優先ならジャイロイドまたはキュービック、スピード優先ならグリッドまたはライトニング、というのが基本指針です。柔軟素材(TPU等)でクッション性を出したい場合もジャイロイドが扱いやすい選択肢になります。上面の仕上がりが気になる場合は、インフィル密度を上げるよりも「トップソリッドレイヤー数」を3〜5層に増やす方が手軽で効果的です。
よくある勘違い
- 「密度100%=最強」ではない:100%でも層間方向(Z方向)の弱さは残ります。荷重方向に合わせて造形の向きを決めることの方が重要。
- 中が透けて見える:トップレイヤーの層数不足かインフィル密度が低すぎる典型症状。まずトップレイヤーを増やすのが定石。
- 密度を下げても印刷時間は比例しない:移動時間や外殻の印刷時間は変わらないため、20%→10%でも時間短縮は限定的なケースがあります。
- 強度=インフィルの責任ではない:FDM造形物の強度は「シェル枚数」と「層接着」に大きく依存します。薄肉パーツはインフィルを増やすより、外壁(ウォール)を3〜5枚にする方が効果が出やすいケースが多いです。
マルチマテリアル印刷でのインフィル活用
Bambu Lab AMSやAnycubic Kobra S1のようなマルチカラー対応機では、インフィルだけを安価なフィラメントで埋め、外殻だけを色付き・機能性フィラメントに切り替える「マテリアル分離」が可能です。装飾面は見た目重視の素材、内部は強度・コスト重視の素材と使い分けることで、材料コストを抑えつつ仕上がりを確保できます。Bambu Studioでは「Filament for sparse infill」のスロット指定で設定できます。
まとめ
インフィルは「密度」と「パターン」の組み合わせで、強度・重量・時間・材料コストを調整する設定です。実用部品なら30〜50%のジャイロイドが無難な出発点。そこから用途に合わせて増減し、シェル枚数やトップレイヤー数も併せて見直すと、品質と効率の両立がしやすくなります。
