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スキャンデータをSTLに変換して3Dプリントする手順(Scan-to-Printワークフロー)

Q. スキャンしたデータを3Dプリンターで出力する手順は?
A. 4ステップで完了します。(1) スキャナー専用ソフトでスキャン取得 → (2) BlenderまたはMeshLabでメッシュ穴埋め・最適化 → (3) STLで書き出してスライサ(Bambu Studio・Chitubox等)に投入 → (4) 印刷・後処理。所要時間は形状の複雑さによりますが、簡単な小物なら合計1〜3時間です。

最終更新: 2026-05-16|SK本舗(Revopoint・Shining3D 正規代理店)確認済み

3Dスキャナーで実物を取り込んでも、そのままでは3Dプリンターでは出力できません。スキャンデータには穴・浮きポリゴン・ノイズが含まれることが多く、メッシュ修復→STL書き出し→スライサ投入の手順を踏む必要があります。これがいわゆる「Scan-to-Print」と呼ばれるワークフローです。

本記事では、SK本舗で取り扱うRevopoint・Shining3D(Einstar/EinScan)のスキャナーで取得したデータを、Bambu Lab・ELEGOO・Phrozenなどの3Dプリンターで出力するまでの具体的な4ステップを、推奨ソフト・所要時間・難易度・典型的な失敗例とともに整理しました。Scan-to-Printの全体像・概論は 3Dスキャンから3Dプリントまでのワークフロー解説 もあわせてご覧ください。本記事は手順step-by-step特化版として、各ステップの実作業を深掘りします。

必要な道具・ソフトウェア一覧

Scan-to-Printを始めるために必要な道具・ソフトを、目的別に整理します。スキャナー本体以外は、ほぼすべて無料ソフトで揃います(公式情報、取得日:2026-05-16)。

用途 推奨ソフト 価格 難易度
スキャン取得 Revo Scan 5(Revopoint純正)
EXScan / EXScan H(Shining3D純正)
無料
(本体付属)
★★☆
メッシュ修復・最適化 Blender(無料・活発開発中)
MeshLab(無料・オープンソース)
Autodesk Fusion(個人無料枠)
無料 ★★★
FDMスライス Bambu Studio
Orca Slicer
Cura
無料 ★★☆
光造形スライス Chitubox(無料版/Pro版)
各機種純正スライサ
無料(Pro有償) ★★★

出典:Revopoint公式(revopoint3d.com)/Shining3D公式(shining3d.com)/Blender公式(blender.org)/MeshLab公式(meshlab.net)/Bambu Lab公式/Chitubox公式(chitubox.com)/Autodesk公式マーケットプレイス(2026-05-16取得)。

Meshmixerについての注意:かつてScan-to-Printの定番ツールとして広く使われてきたAutodesk Meshmixerですが、Autodesk公式マーケットプレイスのFAQで「the tool is no longer in development and will not be supported by Autodesk moving forward(開発終了・今後Autodeskによるサポートなし)」と明記されており、後継としてFusionが推奨されています(公式情報、取得日:2026-05-16)。現在も動作はしますが、これから本格的にScan-to-Printを始める方には、活発に開発が続いているBlenderまたはMeshLabのほうがおすすめです。

所要時間・難易度の目安

形状の複雑さによって所要時間は大きく変動しますが、典型的な目安は以下のとおりです。初めての方は、まずは小物(手のひらサイズ)から始めるとつまずきにくいです。

対象 スキャン メッシュ修復 スライス+印刷 合計目安
小物(〜10cm)
例:フィギュア頭部
10〜20分 15〜30分 1〜2時間 1.5〜3時間
中物(10〜30cm)
例:靴・ヘルメット
20〜45分 30〜60分 5〜15時間 6〜17時間
大物(30cm以上)
例:椅子・人体半身
45分〜2時間 1〜3時間 分割印刷で1〜数日 2日〜1週間

※印刷時間はFDMの場合の目安。光造形(SLA/DLP)は積層厚と造形範囲によりさらに大きく変動します。

Step 1:スキャナーでデータを取得する

最初のステップは、スキャナー本体と純正ソフトでスキャンデータを取得する作業です。スキャンの良し悪しがそのまま最終出力の品質に直結するため、ここを丁寧にやることが Scan-to-Print 成功の半分を占めると言っても過言ではありません。

1-1. スキャナーと対象の準備

  • 対象物の前処理:透明・鏡面・濃色(特に黒)は構造化光単独では苦手なので、必要に応じてスキャンスプレー(ボディパウダー、ベビーパウダー、専用スプレー)でマット化します。
  • 環境:直射日光・強い屋外光は避け、室内の安定した照明下で実施します。Einstar 2は最大110,000lux耐光ですが、Revopoint INSPIRE 2など多くの機種では室内推奨です。
  • キャリブレーション:機種ごとに初回・移動後・季節変動時にキャリブレーションが必要です。EinScan H2など業務機ほど厳格です。

1-2. スキャン実行(純正ソフトの使い方)

各メーカー純正ソフトの操作概要は以下のとおりです(公式情報、取得日:2026-05-16)。

  • Revopoint機種(POP・INSPIRE・MIRACO・Trackit系)Revo Scan 5を使用。新規プロジェクト → 機種選択 → 「Texture」(テクスチャあり)/「Marker」(マーカーモード)/「Body」(人体)など対象モード選択 → スキャン開始。複数回のスキャンを「Frame Group」として後で結合可能です。
  • Einstar 2 / Rockit / VEGAEXStar(旧EXScan H)またはEXScanを使用。プロジェクト名・機種・モード選択 → キャリブレーション → スキャン。Einstar VEGAなど一部機種は本体内処理が可能でPCなし運用にも対応します。
  • EinScan H2EXScan H専用ソフトを使用。白色光モード/IRモード/HDRモードを対象に応じて切り替えてスキャンします。

1-3. データの後処理(純正ソフト内)

純正ソフト内で行える後処理が、後段のBlender作業を大幅に楽にします。必ず実施しましょう。

  • Mesh化(Meshing):点群(Point Cloud)から三角ポリゴンメッシュへ変換。「Watertight」(穴埋め+密閉化)と「Unwatertight」(穴を残す)を選択できます。Scan-to-Print用途では原則Watertightを選びます。
  • Simplification:ポリゴン数の削減。10万〜50万ポリゴン程度に抑えるとスライサで扱いやすくなります。
  • Smoothing:表面の微細ノイズを平滑化。かけすぎるとディテールが失われるので軽めで。

1-4. ファイル書き出し

スキャナー純正ソフトから書き出す形式は、3Dプリント用途ではSTLまたはOBJが標準です。Revo Scan 5は無料でSTL/OBJ/PLY出力に対応、EXStarも同様にSTL/OBJ/PLY出力に対応しています(公式情報、取得日:2026-05-16)。

  • STL:形状のみ。3Dプリント標準。色情報なし。
  • OBJ + MTL + テクスチャ画像:形状+色+テクスチャ。フルカラー出力(Bambu Lab AMS、PolyJet等)や記録用途に。
  • PLY:研究・解析用途。3Dプリントには通常使わない。

Step 2:BlenderやMeshLabでメッシュ修復・最適化

スキャナー純正ソフトの後処理だけでは、3Dプリントに耐える「水密(watertight)」状態にならないことが多いです。穴・浮きポリゴン・反転法線・非マニフォールド面などを修復するのがこのステップです。Blenderが現在の標準的な選択肢ですが、操作に慣れていない方は、ボタン一発の「Filters → Cleaning and Repairing」が豊富なMeshLabのほうが手早く結果を出せます。

2-1. Blender でのメッシュ修復(おすすめ)

Blender(無料・blender.org)は活発に開発が続くオープンソース3Dソフトです。スキャンデータの修復は以下の手順で行います。

  1. インポート:File → Import → STL(または Wavefront OBJ)でスキャンデータを読み込み
  2. 編集モードへ移行:Tabキーで Edit Mode
  3. 非マニフォールド検出:Select → All by Trait → Non Manifold で問題箇所をハイライト
  4. 穴埋め:穴の縁を選択 → Mesh → Fill(F キー)または Bridge Edge Loops
  5. 浮きポリゴン削除:Select → All by Trait → Loose Geometry → Delete
  6. 法線統一:Mesh → Normals → Recalculate Outside(Shift+N)
  7. ポリゴン削減:Object Mode → Modifier → Decimate でRatio 0.5〜0.1指定(10万〜50万ポリゴンに調整)
  8. 書き出し:File → Export → STL(バイナリ推奨)

2-2. MeshLab での簡易修復(手早く済ませたい場合)

MeshLab(無料・meshlab.net)はメッシュ処理に特化したオープンソースソフトです。フィルタ機能が豊富で、ボタン操作中心に進められます。

  1. インポート:File → Import Mesh で STL/OBJ を読み込み
  2. クリーンアップ:Filters → Cleaning and Repairing → Remove Duplicate Vertices / Remove Unreferenced Vertices / Remove Isolated Pieces
  3. 穴埋め:Filters → Remeshing, Simplification and Reconstruction → Close Holes(穴の最大サイズを指定)
  4. 法線修正:Filters → Normals, Curvatures and Orientation → Re-Orient all faces coherently
  5. 書き出し:File → Export Mesh As → STL

2-3. 修復チェックリスト

Step 2 を終えたら、以下を満たしているか確認します。これが満たせていないとスライサ側でエラーや印刷失敗が起きます。

  • 水密(watertight):すべての面が閉じている。穴・隙間がない
  • マニフォールド:1つの辺を共有するのは2面まで(T字接続なし)
  • 法線が一致:すべての面の表裏が揃っている
  • ポリゴン数:おおむね10万〜50万(多すぎるとスライサが重い、少なすぎると形状が荒い)
  • スケール:実寸どおりか(スキャナーソフトでmm単位を選択していれば通常はOK)

Step 3:STL書き出し・スライサに投入

修復済みのSTLファイルを、3Dプリンター用スライサに読み込んで印刷データを生成します。FDM(フィラメント)と光造形(SLA/DLP)でスライサが異なるので注意してください。

3-1. FDM印刷の場合(Bambu Lab / ELEGOO Centauri / Creality / Anycubic Kobra系)

FDM機の代表的スライサは Bambu StudioOrca SlicerCuraです。Bambu Lab製品なら Bambu Studio、それ以外なら Orca Slicer か Cura が一般的です。

  1. プリンタープロファイル選択:使用機種(例:Bambu Lab X1 Carbon)とノズル径(0.4mm標準)を選択
  2. フィラメント選択:PLA / PETG / ABS / TPU等を素材ごとに設定
  3. STLを読み込み:Bambu Studio の場合「File → Import → 3MF/STL/STEP/SVG/OBJ」
  4. 向き・サイズ調整:「Auto-orient」で印刷向きを最適化、必要なら拡大・縮小
  5. サポート設定:オーバーハングがある場合「Enable Support」をオン(Tree Support推奨)
  6. レイヤー高さ:精度優先0.12mm、標準0.20mm、速度優先0.28mmが目安
  7. スライス実行:プレビューで層ごとに確認 → G-code出力 → SDカードまたはネットワーク経由でプリンターへ転送

3-2. 光造形印刷の場合(Phrozen / ELEGOO Saturn・Mars / Anycubic Photon Mono M7系 / Apex Maker / EMAKE3D)

光造形機の代表的スライサは Chitubox(無料版/Pro版)です。Chitubox公式によれば STL・OBJ形式に対応しています(公式情報、取得日:2026-05-16)。Phrozenの一部機種は純正の Formware や ChiSlicer も使えます。

  1. プリンタープロファイル選択:使用機種(例:Phrozen Sonic Mighty Revo)を選択(解像度・造形範囲・LCDマトリクスが自動設定される)
  2. レジン選択:使用レジンに合わせて露光時間・ベース層設定をプロファイル化(メーカー公式の推奨値があれば適用)
  3. STLを読み込み:「Open File」または「Add File」で読み込み
  4. 配置:プラットフォームに対して逆さ吊り下げ前提で配置(bottom-up光造形の特性)。傾斜角を15〜45°程度つけると吸引力が軽減されます。
  5. サポート生成:「Auto Support」で密度Medium〜Heavyを選択 → オーバーハング・先端部に手動でサポートを追加
  6. レイヤー高さ:標準0.05mm、高精細0.025mm、高速0.10mmが目安
  7. スライス実行:プレビューで島部(浮いている部分)がないか確認 → 機種ごとの拡張子ファイル(.ctb / .pwmx / .pm7m等)でUSB保存またはネットワーク転送

光造形の配置に関する補足:光造形機(bottom-up方式)では、造形物は天地逆でプラットフォームから吊り下がって出力されます。スキャンしたフィギュアを「足を下」に配置すると、頭部が最後に造形されることになり、吸引力で破損しやすくなります。一般的には15〜45°傾斜配置+十分なサポートが成功率を高めます。

Step 4:印刷実行と後処理

スライス済みデータをプリンターに転送し、印刷を開始します。スキャンデータは通常モデルより複雑な形状になることが多く、後処理(サポート除去・洗浄・二次硬化)も含めて時間を見積もっておきましょう。

4-1. FDM印刷の後処理

  • サポート除去:手・ペンチで切り取り。Tree Supportは比較的取りやすい
  • 表面処理:必要に応じてヤスリがけ、サーフェイサー、塗装
  • 接着:分割印刷の場合は瞬間接着剤・エポキシ等で接合

4-2. 光造形印刷の後処理

  • 洗浄:IPA(イソプロピルアルコール)または水洗いレジン用の水で5〜10分洗浄(洗浄機推奨)
  • サポート除去:未硬化状態でニッパー除去のほうがきれいに取れる
  • 二次硬化:UVライト(405nm)で2〜5分(メーカー推奨値に従う)
  • 表面処理:ヤスリがけ、サーフェイサー、塗装

よくある失敗パターンと対処

Scan-to-Printでつまずきやすい典型パターンを整理しました。Step 2のメッシュ修復で7割の失敗は防げます。

症状 原因 対処
スライサが「修復が必要」と警告 非マニフォールド / 法線反転 / 穴 Step 2 に戻り、BlenderかMeshLabで再修復
スライス後の層プレビューで断面が欠ける 水密(watertight)になっていない 純正ソフトでWatertight Mesh化、Blenderで穴埋め
出力物の表面がポリゴン感丸出し ポリゴン数不足 / Decimateかけすぎ 純正ソフトでMesh化時の品質を上げる、Decimateを緩める
FDMでサポート跡が汚い 向き設定が悪い / サポート密度過剰 Auto-orient再実行、Tree Supportに変更
光造形で途中で剥がれる 配置角度不足 / サポート密度不足 / 露光時間不適合 15〜45°傾斜+Heavyサポート、露光時間調整
寸法が実物と合わない スキャナー設定のmm/cm/m混在 純正ソフトでmm単位選択、Blenderで Scale 確認(Apply Scale)

スキャンデータの公開・販売も視野に(3D Data Japan)

Scan-to-Printで生成した3Dデータは、SK本舗が運営する 3D Data Japan(3d-data.skhonpo.com)で公開・販売することもできます。日本最大級の3Dモデルデータ配布プラットフォームで、自分のスキャン作品を他のクリエイターと共有したり、逆に他の方が作った参考データを探すことが可能です。

関連サイト:3Dモデルデータ無料配布・販売プラットフォーム → 3D Data Japan (SK本舗運営)。Scan-to-Printで生成したデータの公開・販売、3Dプリント用の参考データ探しにご活用ください。

スキャンしたデータを商用利用する場合は、対象物の権利関係(造形作家のフィギュア・著名建築物・有名キャラクター等)に注意が必要です。著作権・意匠権・パブリシティ権の確認は スキャンしたデータを3Dプリント用に変換する方法 や、関連する権利情報を必ずご確認ください。

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機種選びに迷っている方や、Scan-to-Printワークフローを業務導入したい方は、SK本舗お問い合わせフォーム よりご相談ください。スキャナーとプリンターの相性、用途に合わせた組み合わせをご提案できます。


本記事の確認体制:SK本舗(Revopoint・Shining3D 正規代理店)が、 各ソフトウェア公式情報・スキャナーメーカー公式仕様をもとに手順を整理しています。

最終更新:2026-05-16

一次ソース取得日:2026-05-16 (Revopoint公式 / Shining3D公式 / Blender公式 / MeshLab公式 / Chitubox公式 / Autodesk公式マーケットプレイス)

※ソフトウェアのバージョン・UI・対応形式はアップデートで変更される可能性があります。最新情報は各公式ドキュメントをご確認ください。