
3Dプリントシーフード製品「THE FILET」がスーパーマーケットに|「本物と変わらない!」と評判
間もなくマーケットチェーン「REWE」にて販売開始
もはや欧米では一般的な存在へとなりつつある3Dプリントミート、一方で少し遅ればせながらも進められてきた「シーフードを3Dプリントする技術」。この技術の前線に関しては、これまでも本欄にて紹介してきた。
実はついに3Dプリントシーフードが一般的なスーパーの店頭に並び始める。商品名は「THE FILET」。フードテックのスタートアップである「Revo Foods」が開発したこの新商品、なんでも間もなくオーストリア全土に店舗をもつスーパーマーケットチェーン「REWE」にて販売開始されるという。
この「THE FILET」はRevo Foodsの特許取得済みのMassFormer技術を使用して生産されている。この技術は、魚のフィレのサクサク感とジューシーな食感を再現することに成功しており、前世代の代替肉商品に比べて大幅な改善を示しているとのことだ。
主成分であるマイコプロテインは糸状菌由来で、優れた栄養価と自然な肉のような食感で知られている、実際、この製品はタンパク質とオメガ3の含有量が高いことを示すニュートリスコア評価において「A」判定を得ており、栄養面においても非常に優れた製品であることが分かる。本物の魚肉は使用していないため、これはいわゆる「ヴィーガンシーフード」に位置付けられる。
こうした質の高い代替シーフードの登場は、漁業における乱獲防止や魚類の養殖において必要とされる資源の過剰消費を抑えるという点でも大いに期待されている。
RevoFoodのCEOは今回の「THE FILET」の展開について次のように述べている。
「産業規模の3Dフードプリンティングのマイルストーンにより、私たちは創造的な食品革命、つまり顧客のニーズに正確に応じて食品が作られる時代に突入しています。私たちは単にヴィーガンの代替品を作っているだけではありません。私たちは食品そのものの未来を形作っているのです」
3Dプリントシーフードの近未来
実際、今後瞬く間にこうした商品が世界中に普及していくことになるだろう。今回、「THE FILET」を販売するスーパーマーケットチェーンの「REWE」は年間に95億ユーロ以上を売り上げるオーーストリア最大のチェーン。またマーケットでの展開に先駆けてRevoFoodは10月より欧州全土に向けてこの「THE FILET」のオンライン販売も開始している。
ユーザーからの反応はどれも高評価。本物のシーフードと比較しても見劣りすることがないとの評判もある。日本での販売が始まる日もそう遠くはないだろう。
未来のシーフード、といえば、OPEN MEALSが数年内に東京への開店を予定している「SUSHI SINGULARITY」の存在も忘れられない。2019年に情報がローンチされて以降、その扇情的なヴィジュアルイメージもあって、開店がまだかまだかと期待され続けている。
もちろん、本物の新鮮な魚介の美味しさを熟知している日本人としては、それがどこまで真に迫れているのか、というところは厳しくジャッジしなければならないところもある。ただ、技術は日進月歩。獲れたて鮮魚をその味においてしのぐようなシーフードを3Dプリントできる日だって、いつかは来るかもしれないのだ。