Stratasysの先端3Dプリンターがつくりだしたブライダルドレスが「美しすぎる」と話題に
ファッションに特化したStratasyの3Dプリンター「J850TechStyle」
3Dプリントファッションが注目を集めている中、Stratasys社は昨年、テキスタイル、衣類、sクセサリー、靴に特化した3DプリンターとしてJ850TechStyle3Dプリンターを発売して話題となった。
J850TechStyleでは、Stratasysの独自のインクジェット技術を利用しており、Agilus30CMYインクおよび複数のショア値を使用して 600,000 を超える異なる色を3Dプリントすることができる。これは以前の PolyJetマシンとは異なり、VeroVivid樹脂と、柔らかく滑らかな感触を提供する透明コーティングVero ContactFlexを使用した布地3Dプリント専用に設計されたもので、デニムや綿、ポリエステル、リネン、さらに革などの様々な素材に対応可能だという。
たとえば、先日、イスラエルを拠点とするオートクチュールのウェディングドレスデザイナーであるエイダ・ヘフェッツがミラノデザインウィークで披露したオーダーメイドドレス3点の制作にも、J850TechStyleが用いられていた。
ヘフェッツは今回、3Dプリント技術を用いたことにより、他の方法では不可能だった複雑な幾何学形状をデジタルで作成できるようになったと述べており、また今後の全てのコレクションにおいて3Dプリント技術を使用していく意思を示している。
3Dプリンターだからこその複雑な幾何学的デザイン
なんでも今回のドレスのデザインテーマは「フラワーオブライフ」というもので、古代エジプトの時代から存在した「神聖な幾何学模様」と称されるパターンをデザインに取り入れたとのことだ。
ヘフェッツいわく「Stratasys3DFashionテクノロジーがなければ、このような複雑な幾何学的デザインを実現することはできませんでした。手作業でこのレベルの対称性を実現することは不可能だったからです。3D プリンターを使用すると、数式を使用して新しいフォームをデジタルで作成し、それらを布地に直接印刷して、パターンを完全に複製することができます」とのこと。実際、そのドレスは見るからに繊細で美しく、ドレスデザインの新たな可能性を感じさせて余りあるものだ。
さらに3Dプリントをファッション現場で利用することの魅力はデザイン的な先進性にとどまらず、こうしたユニークなデザインをより迅速かつ低コストで生産できるようになるということだ。いわゆる「凝ったデザイン」の衣服は、価格帯の面で庶民にはハードルが高い。しかし、3Dプリント技術を利用することで、ユニークで繊細なデザインのファッションを楽しむ敷居が下がっていくかもしれないのだ。
ちなみに地味婚などと言われることが多い最近だが、世界的にはブライダルドレス市場は急成長中だという。ザイオン・マーケット・リサーチの新しいレポートによると2022年に約442億ドルと評価されており、2030年までには732億ドルに成長するとも推定されている。3Dプリントメーカーがその恩恵に預かる可能性もありそうだ。
いずれにせよファッションとテクノロジーの融合は目覚ましい。今後も注目していきたい。