
DARPAの援助によって実証された世界初となるシリコンフォトニクスチップによる3Dプリンター
光学チップによって数秒以内に手のひらに3Dオブジェクトを
単一のフォトニックチップのみを使用して数秒以内に手のひらに3Dオブジェクトを出力する——。
先日、米国の国立科学財団(NSF)や国防高等研究計画局(DARPA)の資金提供を受けているマサチューセッツ工科大学とテキサス大学オースティン校の研究者らが、世界初となるシリコンフォトニクスチップによる3Dプリンターの概念実証装置を発表したことが話題になっている。
シリコンフォトニクスとはシリコン電子デバイスの製造技術をベースとした高密度光デバイス集積プラットフォーム技術のこと。 超小型、低環境負荷、かつ経済性の高い光回路を提供することができ、さらに信頼性や電子回路との集積性にも優れていると言われている。
研究チームが提案しているのは、このシリコンフォトニクスと光化学の分野を組み合わせたチップベースの3Dプリンターだ。提案されたシステムでは、非機械的な3Dプリントを可能にするために、再構成可能な可視光ホログラムを単純な固定樹脂に放出する可動部品のない単一のミリメートルスケールのフォトニックチップのみで構成されている。さらに、可視光ビームステアリング統合光学位相アレイと可視光硬化性樹脂を使用して、チップベースの3Dプリンターのステレオリソグラフィに触発された概念実証バージョンを実験的に実証してみせている。
(画像)チップベースの3Dプリンターのコンセプト
これは、これまでにない非常にコンパクトでポータブルな、次世代の3Dプリンターのモデルだと言える。
その驚くべき能力は「数秒以内にサブミリメートルスケールのボクセル」を生成する能力にとどまらない。非機械的ステアリングの使用によって、この小さな3Dプリンターでは光源の方向を狙うためにミラーを使用するのではなく、電気信号で光学アンテナを導くものとなっている。
詳しくは以下の記事において読むことができる。
Silicon-photonics-enabled chip-based 3D printer
https://www.nature.com/articles/s41377-024-01478-2
果たしてシリコンフォトニクスチップ3Dプリンターは、AM業界にパラダイムシフトを引き起こすのだろうか。
現在、研究チームはホログラムベースのボリュメトリクス3Dプリントが可能なチップの構築を目指しているという。複数の夢の技術が重なり合った時、3Dプリンターは大きく変わるに違いない。
なお、ボリュメトリクス3Dプリントについては以下の記事を参照してほしい。
ボリュメトリク3Dプリント技術は新たな段階へ|最新研究により高精度の重合制御とマルチマテリアル造形が可能に
https://skhonpo.com/blogs/blog/volume2024?_pos=4&_sid=52d0dd0a4&_ss=r