
3Dプリントシューズのオンラインプラットフォームが始動|HILOS STUDIOの躍進
オンデマンドでハイクオリティの3Dプリントシューズを作成
これまで様々に紹介してきた通り、いまやシューズ産業において一般的な技術となった3Dプリンティングだが、ここにきてまた大きな地殻変動を迎えようとしている。
その地殻変動の震源となるかもしれないのがHILOS STUDIOだ。
HILOS STUDIOとは、3Dプリンティングを使用した靴製造の新興企業。先日、マイアミのアートバーゼルにおいてHILOS STUDIOはある新プロジェクトを発表、それが大きな波紋を呼んでいるのだ。
その新プロジェクトとは、3Dプリント靴製造のオンデマンド・プラットフォームの確立だ。アートバーゼルではファッションハウス《UNKNOWN UNION》がデザインし、HILOS STUDIOによって製造された高級サンダルが披露され、HILOS STUDIOの高い技術力が示された。
HILOS STUDIOのCEO兼共同創設者であるエリアス・スタール氏によれば、これはシューズ業界にとって極めて重要な瞬間であるという。実際、これはすごい可能性を秘めたプロジェクトだと言えるだろう。
これまで、靴の製造は各ブランドが独自の製造ラインによって靴を製造してきた。しかし、このプラットフォームの誕生により、今後ブランドやデザイナーはオンデマンドでハイクオリティの3Dプリントシューズを作成できるようになる。すると、在庫の必要性がなくなり、無駄が削減される。これは各メーカーやブランドにとっても経済的であり、また環境に対しても優しい。
HILOS STUDIOの中核理念の一つにサステナビリティがある。同社が採用しているMultiJetFusion (MJF) テクノロジーにおいては、製造されるソールはその80%をリサイクル素材から作られた熱可塑性ポリウレタンをベースに3Dプリントされており、これは標準的な製造方法と比較して、製造にかかる水の無駄とCO2排出量が劇的に減少することが示されている。
また同社の技術力にかかれば、女性のファッションシューズのみならず、テクニカルなアウトドアシューズから、ハイブランドの高級シューズまで幅広い範囲を網羅することもできる。
実は少し前にあのNIKEの元幹部がHILOS STUDIOに300万ドルを投資して話題になっている。メディアからの注目度も高く、すでに複数のメーカーがHILOSの技術を使用していることを思うと、今後、この業界でHILOSが主要プレーヤーとなっていく可能性は十分にあるだろう。
シューズ産業の今後を変えるゲームチェンジャー。今後の展開が楽しみだ。